MAG2 NEWS MENU

「死にたい」と口にした人へ言うべきこと、言ってはいけないこと

厚生労働省の統計によれば、平成29年の日本の自殺者数は2万1321人。人口10万人あたりの自殺者数16.8は先進7ヵ国で突出しています。そんな日本で、例年最も自殺者が多い3月は「自殺対策強化月間」となっています。そこで、メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者の柳川由紀さんは、周囲に「死にたい」という言葉を発する人がいる場合に、私たちに何ができるのか、どうしたらいいのかを教えてくれます。

若者の自殺が止まらない

年度末を迎えました。3月は、1年で最も自殺率が高い月ということをご存知でしょうか?しかも、月曜日は突出しているそうです。また、国際的に見て、日本の若者の自殺率がかなり高く深刻であることもわかっています。

内閣府は「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現に向け、今月を「自殺対策強化月間」としています。

自殺の動機トップは「健康問題」、2位「経済・生活問題」、3位「家庭問題」です。一方、19歳以下ではトップは「学校問題」、次いで「健康問題」、「家族」と続きます。

動機1位の健康問題は、精神疾患が圧倒的です。特にうつ病は、自殺者の98%が罹患していたことが多くの調査研究から確認されています。そして、このうつ病患者は、世界人口で3億人を超えたことが2015年のWHOの発表で明らかになっています。(※1)

もし家族や知人が「死にたい」と口にするようになったら─?私たちができることについてお伝えします。

1.「死にたい」と思うとき

自殺を考えるときは、2つ以上のストレス要因が重なったときだと言われています。そして、次の状態になったときです。

「生きることの促進要因 < 生きることの阻害要因」

生きることの促進要因は…将来の夢、家族・友人との信頼関係、経済的安定、問題対処能力、自己肯定感などがあります。

一方、阻害要因は…将来への不安・絶望、家族・友人への不信感、過労、借金、貧困、いじめ、病気、役割喪失感などがあります。ですから─、「生きることの促進要因」を増やすこと、「生きることの阻害要因」を減らすことです。

また、SOSの出し方を教えておくことや、「自分の居場所」を持てるようサポートすること、ツイッターやLINEなどのSNSによる受け皿を共有することなども必要です。

2.「死にたい」とは?

「死にたい」=「死にたいほど辛い」というサインです。そして、実際は「生きたいのに生きるのが辛い」という「生きたい」メッセージの裏返しなのです。

ですから慌てて「何てことをいうの?」「やめてよ、縁起でもない!」などと反応するのはやめましょう。相手は、自分を否定されたと感じ、心を閉ざしてしまいます。

まずは、「私はあなたに死んで欲しくない」と目を見てしっかり伝えることです。

3.「TALK」でアプローチ

「TALK」とは精神看護の原則で頭文字です。(※2)

T:Tell あなたのことを心配していることをはっきり言葉に出して伝えること

A:Ask 自殺を薄々感じているなら、その点についてはっきり尋ねること。真剣に向き合うなら、自殺について話題にしても危険ではなく、むしろ予防の一歩になるとされています。

L:Listen 傾聴です。絶望的な気持ちを真剣に聴くことです。

K:Keep safe 危ないと感じたら、相手を決して一人にせず、安全の確保した上で対処し、危険だと判断した場合は確実に関連機関に繋ぎます。

※1:WHOプレスリリース「2017年2月 Depression」より
※2:日本医師会 自殺予防マニュアル第二版 より

家庭教育アドバイス…「生きる力を持ち続けるには」

生きたい、でも生きるのが辛いから仕方なく「死」を選択してしまう。そんな悲しいことはありません。なぜ生きるのが辛いのか─?その人の価値観が受け入れられないから─です。

人は一人として同じ人はいません。みんな違います。私に大切な何かがあるように、あなたにも大切な何かがあります。そして、相手と共に「大切な何か」を受け入れ、(つまり相手を丸ごと受け入れ)寄り添うという共同体が、生きやすい社会です。

「人はみんな違う」とぼんやりわかっていても実際に受け入れるのは難しいことです。世界中にはびこる人種差別然り、LGBT差別然り。「みんな違う」のだと認め合うことがなかなかできていないのが現実です。

「価値観が多様化している」にもかかわらず、日本では、一度でも失敗するとレールから外され、負け組だとラベリングされてしまいます。何が基準の負け組なのでしょう?

違いを認め合えないから、人は追い詰められた末に、「避けられる死」であるはずの「自殺」を選択してしまうのです。その選択をさせないためにも「他者を認める」「違いを受け入れる」ことの大切さを周囲に伝えていくことが必要です。

image by: Sabphoto, shutterstock.com

家庭教育アドバイザー 柳川由紀この著者の記事一覧

家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育 』

【著者】 家庭教育アドバイザー 柳川由紀 【月額】 初月無料!月額508円(税込) 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日(年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け