希望に燃えて入社したはずの新人ですが、大型連休前後に「なぜこんな仕事をしているのか」と疑問を感じ始める向きも多いと言われています。そんな彼らの「問い」にきちんと答えてあげるのが上司の役割ではないでしょうか。今回の無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』では著者で食品安全のプロである河岸宏和さんが、たとえ話を用いた説得方法を紹介しています。
新人の動機づけができていますか
新人が少し落ち着く時期、GWになると色々考え出す時期です。GWで新人が遊ぶ計画を立てて、学生時代と違うことを痛感したり、研修が終わって「なんでこんな仕事しているんだろう」と悩むのもこの季節です。特に食品工場の場合は新入社員の初めの1年2年は現場で働くことが多いのでそう考えることが多くなるかも知れません。新入社員にとって何故働くのか考えることはとても難しいかもしれません。
では、人生の先輩である私たちは毎日の中で、どのように仕事に対して新人に動機付けをしていけばいいのでしょうか。新入社員は色々な意味で、やる気まんまんで工場に入って来ます。新しい会社に入って、今の時代ですからずいぶん苦労されて入社してきたと思います。あなたも何人も会ってずいぶん苦労して選んだ人だと思います。お互い面接の時点では、この工場に入ったら、何をしよう、彼には何をしてもらおうと考えていたはずです。
それが1週間が過ぎ、1ヶ月が過ぎて行くうちに、他の人たちと同じように1日の時間をただ消化して、「この工場ではやることが無いよ」なんて考え出してしまいます。大手のパンやさん、ハム屋さんは、大卒でも新入社員は何年かはトラックに乗ってルートセールスをさせます。その間に半分以上は退社するそうです。あなたの工場も初めの現場の間に根性を見るためにほっとけばいいんだなんて思っていませんか。お互いの時間、人生の時間が無駄になりますので、歩留を考えた採用については考えた方がいいと思います。
どうすれば動機付けをすることが出来るか。
テニスで考えて見ます。皆さんも得意な分野で説明して見てください。
- いきなりは試合に出ることは出来ない
- 試合には勝たないといけない
- 試合に勝つといいことがある
では、具体的に考えて見ます。
1.いきなりは試合に出ることは出来ない
現場の仕事、開発がやりたくって工場に入ったひとも、いきなりは、テニスの試合に出ることは出来ません。会社は、皆さんの基礎体力と体型を見てあなたならきっとテニスで勝つことが出来ると思って採用しました。でもルールも覚えてもらわなきゃいけないし、1ゲームやりきる体力も付けてもらわなきゃいけません。会社を代表してもらえるような技術も向上してもらわなきゃいけません。そのためには、毎日毎日地道に素振りなり、ランニングが必要なんです。いまはその時期と教育します。
2.試合には勝たないといけない
あなたがいま自分自身では、体力も技術も知識も有ると思っているかも知れませんが、相手も努力しています。試合は勝たないといけません。勝つためには経験が必要です。その経験を積むまでの時間が短い人と長く掛かる人がいます。経験を積むまでの時間をどうしたら短く出来るかを考えるのが今の時期です。しかし、試合に出た以上は勝たないといけませんね。学生時代と違って「ぼくはがんばったんだ」という言い訳は通じませんね。
3.試合に勝つといいことがある
この説明が本当に難しいところです。特に動機付けを行って、モチベーションが高まった人に対して、この会社、この工場にいると本当にいいことが有るかどうか思わせることが本当に難しいです。工場長のあなたが、いまの工場にいて仕事で勝ったと思ったときに本当にいいことがあるかどうかと同じ事です。「この試合に勝ったときにいいことがある」この説明が大事だと思います。
- 本人が試合に勝って満足する
- 試合に勝ったという名誉がついてくる
- 金銭的な見返りがある
結果としては、あなた、工場長が毎日元気で会社に来ているか、この工場の従業員は毎日元気に工場に来ているかが大切だと思います。毎日、新入社員に一言かけてみてください。あなたの一言で元気が出ます。思い出して見てください、あなたが新入社員の時にその部門の責任者の方に毎朝声をかけられたらうれしいと思いませんか。
毎日声をかけるのは大変です。新人の時期なら、毎日研修日報を交換日記の形でノートでやりとりするのもいいです。同じように、従業員の方にも毎日声をかけることが出来れば、その一言で動機付けって出来ると思います。
せっかくあなたの植木鉢に植えられた種を、きれいに咲かせませんか。
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