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ポスト安倍のダークホースは菅義偉氏というこれだけの客観的証拠

2019年夏の参院選勝利と任期延長を狙うとされる安倍首相ですが、自民党内では同時に「ポスト安倍探し」の動きも本格化しています。ジャーナリストで数々のメディアでも活躍中の嶌信彦さんは、自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、官房長官として既に歴代1位の在職日数を記録している菅義偉氏に注目し、叩き上げの苦労人である経歴や実力者であること等を挙げ、有力候補の1人として取り上げています。

本命に近づく菅氏

安倍政権は6年目に入った。これで夏の参院選を圧勝し任期延長となれば桂太郎政権を抜く政権となる。野党には安倍政権を倒す力は見当たらないし自民党内にもポスト安倍で衆目の一致する人物がいない。有力とされる石破茂氏は党内の人気がもう一つ足りないし、岸田文雄氏は、人柄は良さそうなものの、政権を取りにいくガッツがみられない。政策通であり手堅いものの官僚肌が抜けない茂木敏充氏も人気がない。若手の河野太郎氏にはまだ安定感がなく、実力のある二階俊博氏は、すでに80歳で、党内人事には定評があっても政策や外交では心もとない。

結局、安倍氏は6年間の首相経験で海外に大いに知られ、いつの間にか日本の顔になってしまった。安倍氏がまだ続けると言えば正面切って反対する人物は見当たるまい。

安倍氏の悩みは、これといった歴史的な評価になるような実績が見当たらないことだろう。観光や食事などでは海外の国際ランキングは高いものの、環境や福祉、技術、発明、国際的論文、報道の自由、国際的地位──などでは低落し10~50位台にとどまっている。GDPでは世界第3位だが、誰もが”アメリカあっての日本“とみており、国際的敬意を持たれているようには見えないし、アジアの代表、カオともいい難い。

何より懸案事項である拉致問題北方四島の返還中国や朝鮮半島などとの近隣外交もさっぱり進んでいない。安倍氏が口グセのように言う憲法改正も然りである。

ダークホースは菅義偉官房長官だろう。本人はこれまで「自分は首相になろうなどと思ったことはないが口グセで周囲もその言を半ば信じている節が強い。しかし6年も官房長官を務めていれば、官僚や党内の操縦術はいまや誰よりも知り尽くしているし、内政や外交の勘どころも十分にわかっているはずだ。本人がその気になり担ぐ議員が出てくれば、たちまち最有力候補になるのではないか。

菅氏は秋田県出身。高校卒業後に集団就職で上京し、大学卒業後に小此木彦三郎元議員(神奈川)の秘書を経て議員となった苦労人だ。しかも安倍首相の側近として与野党議員や官僚達を間近で見てきた。それだけに人を見る眼力に優れており、いまや官僚や若手議員に一番恐れられている。議員になって機会があったら、トップを目指さない人物はいないといわれるのが政界の常識である。

安倍首相退陣後に菅氏が安倍首相を担ぎ上げて成功したように若手が菅氏に結集し、外交や外国の要人とのパイプを強めれば現実性を帯びよう。また安倍首相も応援にまわらざるを得まい。

(財界 2019年4月23日 第493回)

image by: 首相官邸 - Home | Facebook

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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