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「中国悪魔化」に舵を切ったイギリス。欧州で燃え上がる反中の炎

香港で続いている大規模なデモをめぐり、中国とイギリスの関係が急速に悪化しているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、イギリスが中国に発した「警告」と、日本が見失ってはいけない方向性について解説しています。

香港問題でイギリスが中国に「重大な結果」を警告!

世界で今注目されていることといえば、イランと香港でしょうか。皆さんご存知のように、香港では、100万人デモ200万人デモ議会一時占拠などが起こり、混乱しています。

香港といえば「元イギリス」ですね。そのイギリスが中国に警告」を発しました。

中国と英国、香港の抗議行動めぐり関係悪化

7/4(木)9:26配信

 

【AFP=時事】中国の特別行政区・香港での大規模な抗議行動をめぐり、中国と英国の関係が急速に悪化している。中国は3日、英国に対し「さらなる介入を慎む」よう求め、英国は駐英国の中国大使を呼んで抗議した。かつて英国の植民地だった香港で発生した抗議行動は22年前の中国返還に際し結ばれた歴史的な合意に内在する緊張をよみがえらせた。

中国とイギリスの関係が急速に悪化しているそうです。

英国のジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)外相は中国に対し、抗議行動を「抑圧の口実」にしないよう要請。中国が22年前に英政府と交わした約束に違反することがあれば「重大な結果」がもたらされると警告した。
(同上)

「中国が22年前に英政府と交わした約束」とは、いうまでもなく、「返還後50年間つまり2047年まで一国二制度を維持する」というやつです。中国はこれに違反している。違反すると「重大な結果がもたらされる」そうです。

中国側の反応は

ハント氏の発言に中国は反発。中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は北京での定例記者会見でハント氏に言及し、「(ハント氏は)英国植民地主義の過去の栄光にひたって空想にふけり、他国を見下し意思表示をする悪い癖があるよう」だと述べた。

 

さらに耿爽副報道局長は「香港は今や母国に返還されたことを今一度強調する必要がある」と述べた。
(同上)

「内政干渉するな!」ってことですね。

「重大な結果」ってなんだろう?

この記事を読んだ私は、考え込んでしまいました。

「今のイギリスは、中国に『重大な結果』をもたらすことができるのだろうか???」

と。私が「ロスチャイルド陰謀論者」であれば、「中国もこれで終わったな…」と思うでしょうが…。

そう思いながら、BBCニュースをみたのです。すると、「中国政府は、ウイグル族の家族から子供を奪っている。子供たちは親と引き離され、別々に住まわされる。子供たちはウイグル語を禁止され、中国語だけ話すように強制される」という特集をやっていました。ひどい話です。ひどい話ですが、欧米は、つい最近までこれらの事実をまったく無視していた

2015年3月、イギリスは、「ウイグルの人権をおおいに犯している中国が主導するAIIBに走って加盟しました。それで、他の(日本以外の)ほとんどすべての親米諸国もAIIB参加を決めた。まあ、イギリスの偽善については、いいでしょう。

いままで金のために、人権を無視しつづけてきたイギリス。しかし、ようやく香港問題で目覚めた。そして、私は、「そうか、イギリスの経済力は衰えたが、いまだに『情報戦』は強いんだな」と思いだした。それで、「イギリスはこれから、【中国悪魔化】に動くのだな」と思ったのです。

米中覇権戦争。アメリカ司令官のトランプさんが「戦略的でない人」なのでいろいろ大変です。トランプさんは、中国と戦争している。それなのに、日本には「日米安保は不平等だ!」と文句をいう。欧州との貿易戦争は、継続中。イランとの関係を著しく悪化させ、戦争になってもおかしくない状態になってしまった。

なんというか、彼は米中覇権戦争の最中に、「みんなとケンカしている」のです。

それでも、欧州を見ると、フランスのマクロンさんははっきりと中共打倒に動き出した。数年前まで「情けなかった」イギリスも、いよいよ参戦してきたようです。

欧州では、もっとも影響力のあるメルケルさんが反米親中なのが問題ですね。しかし、彼女は最近、「突然震えが止まらなくなる」という症状に悩まされています。メルケルさんの後は、親米反中の首相が立つのでしょうか?

今回は、イギリスと中国が香港問題で対立している。イギリスは、「中国悪魔化プロパガンダ」を開始したという話でした。日本は、別に「中国悪魔化プロパガンダ」をする必要はありません。しかし、

という関係性を、1秒たりとも忘れてはいけないでしょう。

image by:  photocosmos1 / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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