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捨てられた韓国。GSOMIA破棄を宣言した隣国を待つ真っ暗闇な未来

日本のみならず、世界中が驚きを持って受け止めた韓国によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄。なぜ文在寅政権は、大方の「ありえない」という予想を裏切り破棄という選択をしたのでしょうか。そしてこの決定は、韓国に何をもたらすのでしょうか。元国連紛争調停官で国際交渉人、さらに地政学リスクアドバイザーの顔を持つ島田久仁彦さんがメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で、関係各国から続々と上がってくる独自ルートの情報を分析し、今後を占っています。

GSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄がもたらすであろう影響

今週は、特別に8月22日に韓国政府から通達されたGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄がもたらすであろう影響について私見をシェアさせていただきたいと思います。

事の背景については、ニュースで取り上げられていますのでそちらをフォローしていただきたいと思いますが、夕方に一報が飛び込んできてからいろいろ聴取してみた内容を踏まえて、お話ししたいと思います。

まず、可能性として想定はしていたものの、関係者の間では「緊迫する朝鮮半島情勢や、アメリカとの同盟関係にかんがみて、破棄はなく、本件については、感情とは別に常識的に継続されるという意見がほとんどでした。実際には、韓国政府内でも、メディアの論調もそうだったようです。

しかし、ご存じの通り、大統領府そしてNSCから出された結論はNOでした。この“決定”に対し、私は非常に大きな懸念を抱きます。ついに韓国も超えてはならない一線を越えてしまったな、と。

THAAD問題でナーバスになっていた中国政府やロシア政府をホッとさせたことは確かですが、これは北朝鮮をめぐる今後がまだどちらに転ぶかわからず、また北朝鮮が短距離弾道ミサイルや“新型”兵器を含む発射実験を頻繁に行う中、韓国は、今後、北東アジア地域の安全保障の基盤として日米韓の同盟関係を用いないとのメッセージと受け取ることができます。これは、北朝鮮包囲網に大きな穴をあけることを意味します。そして、日米と韓国の間に大きな分裂をもたらし、そして、何度も申し上げている通り、在韓米軍が韓国から撤退し、北東アジア地域における同盟戦力の戦略的な拠点が日本特に沖縄に移行されることを意味します。

そして、ちょっと過激に分析するのであれば、「最近、完全に袖にされ、バカにされているにもかかわらず、韓国は北朝鮮に再度ラブコールを送り、そして中国とロシアに尻尾を振ることを選ぶことで、本気で“だれも望んでいない朝鮮半島統一を夢見るという選択を政府として公式に行ったのだ、ということになるでしょう。

GSOMIA日韓2国間の協定にすぎないとの意見もありますが、実際にはアジア地域における日米韓の情報連携の要と位置付けられているものであり、当該地域の安定のためには不可欠と理解されてきたものです。歴史こそまだ浅いのですが、ここ数年の北東アジア地域における安全保障戦略は、このGSOMIAを含む安全保障上の機密情報の共有によって成り立ってきたといっても過言ではありません。

アメリカ政府と米軍の反応は、驚きというよりは呆れそして堪忍袋の緒が切れる案件という感じです。ニュースが配信されると同時にワシントンから連絡が入りましたが、トランプ大統領は激怒し、そしてアメリカ政府は、これで韓国を切り離せると前向きに考える方針のようです。

これが何を意味するか。韓国にとっては、完全なる国際社会からの孤立です。頼みの綱の北朝鮮も、媚を売ったはずの中国やロシアもすでに韓国を戦略的に切り離しにかかっています。そして最近加速していた各国における韓国離れが一気に加速する方向に流れるかと思われますので、誰からも相手にされない韓国という状況を、韓国民が知るのはそれほど先のことではないでしょう。すでに危険水域を超えている韓国ウォンの為替水準も一気にデフォルトへの道を歩むでしょうし、以前よりお話ししている韓国のビジネスの国際経済からの締め出しも時間の問題となるでしょう。皮肉な話ですが、日本が通告した輸入管理の厳格化が、先見の明があった”と評価されることになるのでしょう。

これをかきつつ、ソウルからも絶望にも似た声が寄せられていますし、アメリカや欧州からは大きな懸念の声が寄せられています。そして中国やロシアも、自国にとっては都合がいい内容であるにもかかわらず、今回の韓国が行ったネガティブ・サプライズの余波が自国に及ぶことをとても恐れ、関係を切りに掛かっているとのことです。

延長期限は24日までですのであと1日あるわけですが、すでに通告済みであるがゆえに翻意はないものと思われますが、期限ぎりぎりまで、韓国政府には頭を冷やして、自らの決定がどのようなbacklashを生み、自国の存亡に対して、final blowとなりうるかを真剣に考えてもらいたいものです。もしそれでも、プライドかなにかはわかりませんが、この結論が覆らないとしたら…。

想像するのも悍おぞましいような近未来が待っているかもしれません。

今回お伝えしている内容が、私の妄言で済むことを祈っています。

image by: 대한민국 청와대 - Home | Facebook

島田久仁彦(国際交渉人)この著者の記事一覧

世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

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