MAG2 NEWS MENU

日本はGAFAを規制できるのか?巨大IT企業抑制の新法案

政府は17日のデジタル市場競争会議で、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業を規制する新法案「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」(仮称)の骨格を取りまとめました。影響力が大きいIT各社に対し、規制の順守状況などについて政府への定期的な報告義務を課すことを柱とし、インターネット通販の運営企業などに商品の出品業者らへの契約条件の開示を義務付け、不公正な取引の抑制を目指すと時事通信読売新聞などが伝えています。

GAFAに対して新たな規制強化

菅官房長官は会議で「世界的に議論が本格化している。我が国としてデジタル市場に関する新たなルール整備のあり方を示した」と強調。「国が大枠を示しながら、プラットフォーム事業者が透明性や公平性の確保に向けて自主的に取り組む新しい枠組みだ」としています。
政府が規制の対象として念頭に置いているのは「GAFA」。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの米4社。これに加え、楽天やヤフーなどの国内大手も対象となる見通しです。なぜこれらの企業が今回のターゲットになっているのでしょうか?

巨大IT企業は市場規模や情報量で他を圧倒します。政府の実態調査では、巨大ITによる一方的な手数料引き上げや規約変更の懸念がある事例も報告。また、ネット通販では、出店側はシェアが高いアマゾンなどを使わざるを得なく、こうした力関係の差が規約の一方的な変更といった不公正な取引の温床になっていたと見られています。

GAFAを規制する法案の中身とは?

法案では、IT各社の報告などから独禁法違反の疑いが生じれば、政府が公正取引委員会に対応を要請する仕組みも整備。課徴金などの強制措置も視野に入れ、巨大ITに透明性の高い取引を促す、また、不当な契約から守るため、取引状況を開示しない場合は勧告や公表に踏み切り、是正されなければ措置命令を発動するとしています。そこには、巨大IT企業が取引先の中小・個人事業者などに不利益を強いることを未然に防ぐ狙いがあるようです。

会議では、個人データを保護するための個人情報保護法の改正案も了承。消費者が個人データの利用停止を求めた場合、企業に応じるよう義務づけることが柱となし、海外企業にも適用できるようにするとのことです。
新法案は令和2年の通常国会へ提出する見通し。それに加えて、この法案以外にも、ある二つの指針を示しました。

GAFA規制で何が変わるのか?

巨大IT企業の問題行為を取り締まるため、政府は独占禁止法の運用を強化する二つの指針も示しました。強い立場を利用して相手に不利な取引を強いる「優越的地位の乱用」について、企業間だけでなく、消費者との間にも適用できるようにしたほか、巨大IT企業による企業の合併・買収(M&A)を慎重に評価するための新基準も設けたと読売新聞は報じています。

公取委も17日の指針改定で、IT企業が利用目的を消費者に知らせず個人情報を収集することは独禁法に抵触すると明記。IT企業の統合審査に当たっては市場規模だけでなく保有データの価値を考慮し、データの独占を防ぐ指針も定めました。来年にも本格化するヤフーとLINEの統合審査で適用される可能性があるとのことです。

GAFAをはじめ、巨大IT企業に対して、規制強化でけん制をする政府。デジタル市場の競争において意見が割れそうなところですが、この報道を受けユーザーたちはどのような反応を示しているのでしょうか?

image by:Koshiro K / Shutterstock.com

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け