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恫喝に裏工作。マンション大規模工事で賄賂受け取る老住民の正体

マンションにとって「一大事業」とも言うべき大規模修繕。その工事内容や費用に無駄があってはならず、情報は住民に開示されるべきですが、古い体質の管理組合では、未だにコンサルとの馴れ合いで工費設定がなされることもあるようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、ある管理組合に居座る修繕委員長という謎ポストの実態を記しています。

「俺が信じられのないか」「文句があるならやめる」って何?

こんにちは!廣田信子です。

「修繕委員会」って何なんですか?40歳代の若い理事長さんが憤慨しています。3年前に、築25年の中古マンションを購入。今年、輪番で理事になり、理事長になったのです。理事長には自分で手を挙げたそうです。どうせなら、管理組合運営で気になるところを少し変えたい…と。

過去2回出た総会では、理事長は進行台本にある決まりきったことしか話さず、報告や一般説明は管理会社が行い、修繕工事に関しては、修繕委員長のAさんという人が説明します。そのAさんが言っていることが分かりにくくて…、でも、質問があると、何か高圧的な雰囲気で返すし、理事長も、管理会社も、何かAさんに気をつかっているのです。

修繕委員長って、いったい何者だろう…と気になって管理会社の担当者に聞くと、理事会の諮問機関の長だと…。でも、理事のように総会で承認されていないし、修繕委員会の他のメンバーが誰かも不明確なのです。管理規約を見ると、修繕委員会は、専門委員会のひとつのようで、理事会の諮問機関となっています。

で、今何を諮問しているの?と担当者に聞くと、特に何を諮問するという訳では無く、修繕工事に関すること全般の検討をされている…と。何だか、よくわからない諮問機関です。

今回の総会でも、2回目の大規模修繕工事を実施予定だと大きな予算が組まれているけど、その根拠となる数字はなくて…。えっ、これで承認しちゃっていいの?と言う状態だったけど、これから、具体的な検討をするんだし、今期は、自分が理事なんだから、そこは、しっかり検討すればいいか…と思って理事長にも立候補したのですが…。

引継ぎの時に、前の理事長に、大規模修繕工事の具体的な内容や金額の根拠を聞いても、自分はわからない。修繕委員長Aさんが全部やっているから…と。で、仕方がないから、修繕委員長Aさんに聞くと、「全部まかされているんだか、こちらで段取りするから大丈夫。前回同様Bコンサルに頼むことに決まっているから」…と。えっ、そんな説明は総会ではなかったし、誰がどこで決めたの???…です。

どうしてBコンサルなのか…と聞くと、「前回も頼んでいて、長い付き合いだから」…と。金額は?契約内容は?と聞くと、「だいじょうぶだよ。自分と昔からの知り合いだから安くやってくれるし、無理も聞いてくれるから」…というのです。

でも、金額がわからないと…と粘ると、後日、しぶしぶ、簡単な「見積書」が出てきましたが、それがかなりの金額で、この価格が、適切な価格かどうか判断できません。「他のコンサルからも見積をとらないと、この金額が妥当かどうかもわからないから、理事会としては、比較検討したい」…といったら、たいへん。「自分の言うことを信用できないのか」…とAさんは怒り出して、「そんなことを言うなら修繕委員長なんて降りる」…と捨て台詞を置いて帰ってしまったのです。

理事長は、びっくりしたけど、やめるなら、それはそれでいい、このような不透明なやり方は変えなきゃいけないから、いっそう、修繕委員会そのものを廃止しようか、理事会の諮問機関だったら、諮問しなければいいんだから…思ったのですが、すぐ、理事の1人がやってきて…「Aさんを怒らせるようなことはしない方がいいよ。Aさんがやめたら、大規模修繕工事を見る人がいないんだから。理事会でやれと言われたらどうするんですか」…と。

理事長は、まだ他の理事に、Aさんとのいきさつを話していないので、Aさんが、この理事のところに言っていったんでしょう。さらに…「Aさんが降りて、Aさんと親しいBコンサルを外したりしたら、大規模修繕工事で難癖付けられて、たいへんなことになるよ」…と忠告がありました。

いったい何なんだ、この組織は???理事長は管理組合の「闇」を見たようだと思った…と。

権限がないところが何でも決めてその理由も不明確。「俺にまかせればいい」とか「顔が利くから安くしてくれるはず」とか、「俺が信じられないのか」とか、普通の社会人の言葉とは思えない。挙句の果てに、思い通りにならないと、「もうやめる」と脅す。やめるという脅しが通用しないとなると、裏工作する。

もう、一連のやり取りだけで、Aさんは、限りなく黒に近い。バックマージンでももらっているとしか思えない。それを長らく容認して、嫌がらせさるから、文句を言わないで従った方がいい…て、取り巻きがいってくる。この組織は何なんだ!!!

と、理事長はかなり憤慨して、このおかしさを正すつもりだといいます。

それにしても、改めて、修繕委員長Aさんの発言を文字にすると子供っぽいというか、あまりにも論理的じゃないというか…、賢い、現役バリバリの理事長さんが、とんでもない…と思うのも無理からぬことです。

でも…こういった発言、結構身近でもありませんか?根拠を示さず、「ここは安いはず」とか、「よくやってくれるはず」という人…、気に入らないと、本当はやめる気はないのに、すぐ「やめる」という人…。

私、何人か頭に浮かんじゃいました。

最近の若い理事さんたちは、なかなかしっかりしています。年配組も、彼らに呆れられないようにしなくちゃ…です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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