イタリアの新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない。イタリア保健省は10日、新たに977人の感染が確認されて1万149人となり、感染者が1万人を超えたことを明らかにした。中国に次いで世界2番目の多さとなる。イタリア政府は全土で不要不急の外出を控えるよう求める措置を打ち出すなど、新たな対策が感染の封じ込めにつながるか注目されている。
イタリア感染者1万人越えは世界ワースト2位
感染者が1万人を超えたイタリア。死者は一日で過去最多となる168人増え、631人に達した。コンテ首相は9日、封鎖を国内全土に広げると発表。やむを得ない移動を除き、10日から来月3日まで、集会やスポーツの試合も全て禁止された。各地では混乱も起きていて、受刑者と家族の面会が禁止された刑務所では、20カ所以上で受刑者家族を巻き込んだ暴動が起き、6人が死亡したとテレビ朝日が報じている。
一体、なぜイタリアでここまで感染が拡大してしまったのか?その背景には、医療スタッフの不足が関係しているようだ。
イタリアは欧州連合(EU)が求めた財政緊縮策として医療費削減を進め、医療機関を減らしてきた。その結果、過去5年の間に約760の医療機関が閉鎖し、医師5万6000人、看護師5万人が不足しているという。政府は引退した医療関係者の現場復帰を呼びかけ、軍事施設の活用など対策を急いでいる。
加えて、深刻なのが医療体制。AP通信はロンバルディア州では医師と看護師の10%に陽性反応が出て隔離されていると伝え、「病棟の半分以上の医師が感染」と報じた現地メディアもあるという。また、自らの感染を恐れて、個人医院の多くが休診している。
医療崩壊が招いたコロナウイルス感染
AP通信によると、イタリアでの死者の平均年齢は81歳。大半が以前から何らかの病気を患っていたといい、多くが院内感染だという指摘もある。
イタリアはこれまでに新型コロナの検査を5万4千件以上行ってきた。感染者を確定させる狙いだったが、軽症の患者も徹底的に検査した影響で病床が満杯に。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性があると日本経済新聞が伝えている。
米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝え、無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘した。
広がるヨーロッパの感染拡大
イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、イタリアと国境を接している隣国オーストリアでも10日、感染者が前日より50人以上増えて182人となるなど、広がりをみせている。こうした中、クルツ首相は10日に記者会見を開き、イタリアからの入国を原則、禁止すると発表。域内の移動の自由はEUにおける重要な理念だが、事実上、国境を閉鎖する対応を取った。また、エールフランスなどヨーロッパの航空会社を中心にイタリアへの運航取り止めも相次いでいる。
ヨーロッパではイタリアに続き、フランスやスペインでも新型コロナウイルスの感染の拡大に歯止めがかからない状況だ。
NHKによると、フランスでの感染者数はこれまでに1784人とイタリアに次いで多く、死者も33人に上っている。隣国のスペインでは、感染者が前の日に比べて400人以上増えて1639人となり、死者も36人となっている。他にもドイツで感染者が1000人を超えるなどヨーロッパでは感染が広がるばかりだ。
そんな中、イタリアのディマイオ外相は10日、中国の王毅外相と電話会談し、中国で最初の感染ピークに対応した医師団をイタリアに派遣することで合意したと地元テレビに明らかにした。
静寂に包まれるイタリア
今、ミラノなどイタリア各地は静まりかえっている。首都ローマでは人通りや交通量が大幅に減ったほか、ふだんは観光客でにぎわうバチカンのサンピエトロ広場が閉鎖されるなど街は一変。観光資源が大きな経済的な意味を持つイタリアにとって、この影響は計り知れない。
中国人観光客の多さも新型コロナのまん延のきっかけになったとの声もある。イタリアを訪れる中国人は年320万人を超え、国別では5番目に多い。
また、明るく友好的な国民性が関係している可能性もあるという。イタリア人は家族や友人との時間を重視し、週末などに食事やカフェを一緒に楽しむのは日常茶飯事だ。あいさつでも相手のほおに自分のほおを寄せるのが一般的で、人と人が身体的に近寄る機会が多い。伊市民保護局のボレッリ局長は「イタリア人の感情をあらわす気質がウイルスの拡大につながった可能性がある」と指摘したと日本経済新聞は伝えている。
ネットでもイタリアを心配する様々な声が聞こえてくる。
コロナの検査しすぎでまじで医療崩壊してるんじゃ。。一番やばいパターン。。のやつや。 / イタリア 感染者が1万人超える 新型コロナウイルス (NHKニュース) #NewsPicks https://t.co/Jd017h0XIB
— コブ平@fxを楽しく末永く (@cobufxch) March 11, 2020
前シーズンの旅するイタリア語は北イタリアが舞台ででミラノのスカラ座とか巡ったりする映像を楽しんでた分、イタリアのコロナの情報を見るたびに辛くなるな。早くコロナ収束して…。
— 川崎 (@gyam2_pepegon) March 11, 2020
コロナウィルス問題が深刻で、医療崩壊に近い状態のイタリア。
中国は援助のために医師団をイタリアに送るという。穿った見方をせずに、素直に称賛したい。
私たちも、防衛的にばかりなるのをやめ、現在世界一深刻なイタリア、それに次ぐ韓国に何ができるか、考えるべきではないか。— 春はあけぼの (@Friedensgesang) March 11, 2020
コロナ騒動でイタリアでも日用品の買い占めとかが起こってるらしいし、この辺の民衆の動きは世界共通なんだなぁ。
— Camus (@CamusKk) March 11, 2020
ついに影響出だしたな…
コロナの影響が大きい地域にあるイタリアの工場1軒今週閉鎖。
来週からどうなるのか…
他のエリアは問題なさそうだけど。
今後益々影響が大きくなるんだろう。
これは覚悟して動かねば。— 唄ひ手冥利@祝東京事変再生 (@utaite_myori) March 11, 2020
ただでさえ医療崩壊していると思えるのに、高齢患者家族からの切実な訴えを断らざるをえない医師らは、体力の限界と共に計り知れない心的ダメージを受ける。
このままEUがイタリアを放置するのなら、EUなぞ何の意味もない。
コロナが終息した時、EUも終わる。— のり (@DINDI42262221) March 11, 2020
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