6年前の2014年に宇宙へと旅立ち、12月5日に小惑星リュウグウで採取したサンプル入りのカプセル「玉手箱」を地球へと届けるという奇跡のミッションを成功させた「はやぶさ2」。この偉業に多くの日本人が感動しましたが、実は日本の宇宙開発の予算は十分といえない状況のようです。『きっこのメルマガ』の著者で人気ブロガーのきっこさんは、今回の「はやぶさ2」がいかに大きな貢献をしたか詳しく解説しながら、日本政府がJAXAへのお金をケチり、在日米軍への「思いやり予算」よりも低い現状を厳しく批判しています。
お帰り!はやぶさ2
2014年12月3日13時22分4秒に種子島宇宙センターからH-IIAロケット26号機に搭載されて地球を旅立った「はやぶさ2」は、難易度ウルトラC級の数々のミッションを完遂し、6年間、52億キロに及ぶ旅を終え、2020年12月5日、ついに地球に帰還しました!6年前の打ち上げの時から、と言うか、その前の計画段階の時から、と言うか、その前の初代「はやぶさ」の時から応援して来たあたしとしては、まさに感無量でした!
しかし、この時点では、まだ安心できませんでした。先ほどは「数々のミッションを完遂し」と書きましたが、はやぶさ2には、小惑星リュウグウで採取したサンプルが入ったカプセル「玉手箱」を、宇宙空間から地球に向けて発射し、目標地点であるオーストラリア南部の砂漠に無事に到着させるという最後のミッションが残っていたからです。
仮に完璧な時間に完璧な角度で「玉手箱」を発射できたとしても、大気圏突入時の空力加熱からカプセル内のサンプルを守るヒートシールド(耐熱カバー)に問題が発生して、6年間の努力が水の泡になってしまう可能性もゼロではないのです。そのため、あたしは、翌6日未明から、はやぶさ2の専用アカウントのツイートとJAXAの配信する映像を見ながら、最後のミッションを見守り続けていました。
(中略)地上で待機していた回収班は、「玉手箱」の着地時刻を「2時47分から57分の間」と予想していました。パラシュートは風に流されるので、予想時刻に幅があるのです。その後、方向探索によって着地点が推定されたので、3時7分、回収班はヘリコプターによる探索に出発しました。そして、1時間40分後の4時47分、回収班のMさんの次のツイートが投稿されたのです!
カプセル見つかった!
パラシュートと一緒だって!
わーやったー!
(回収班M)#Hayabusa2#はやぶさ2#小惑星探査機はやぶさ2#はやぶさ2ミッション現地レポ— 小惑星探査機「はやぶさ2」 (@haya2_jaxa) December 5, 2020
JAXAの管制室のスタッフたちから大きな拍手が巻き起こりました!みんな笑顔で喜びを爆発させています!あたしは泣きながら何度も何度もバンザイをしました!
税金の使い方がおかしい日本
(中略)はやぶさ2の今回のミッションを計画段階から応援して来たあたしは、はやぶさ2の開発のためにJAXAが一般に寄付を募った時、節約生活をしてコツコツ貯めていた貯金の一部をすぐに寄付しました。JAXAの年間の予算は、補正予算も含めて約1800億円、1500人以上の研究者とスタッフを抱える宇宙開発機関としては、決して十分な予算とは言えません。
ちなみに、はやぶさ2がリュウグウにタッチダウンする様子を連続撮影した小型モニターカメラの製作費1176万2700円と、受信信号を計測分析するシステムの能力アップの設備製作費1454万8063円は、あたしたち民間からの寄付金で賄われました。両方で約2600万円、当時の安倍晋三首相は、河井案里にはポンと1億5000万円をプレゼントしましたが、どうしてJAXAには数千万円の予算を上乗せしなかったのでしょうか?
(中略)こんな遠くの極小の小惑星をどうして調査するのか? それは、この小惑星が地球に接近する軌道を回っているため、将来的に地球に衝突する可能性があるからです。たかが直径30メートル、されど直径30メートルで、もしも地球に衝突したら大変です。そこで、はやぶさ2を使って「1998KY26」の構造や強度を調べ、今後、人工物を当てて軌道を変えて衝突を避けるためのデータを集めるのです。
つまり、はやぶさ2は、この地球を守るために、休まずに次のミッションへと旅立ったのです。それなのに、JAXAの年間予算が在日米軍への上納金「思いやり予算」よりも低いだなんて、あたしには信じられません。もしもあたしがこの国の首相だったら、「思いやり予算」は他の同盟国と同レベルになるように現在の10分の1にして、そのぶんでJAXAの予算を現在の2倍にします。これこそが正しい税金の使い方ではないでしょうか?(『きっこのメルマガ』2020年12月23日号より一部抜粋)
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image by: Go Miyazaki, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
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