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米国の猿真似が日本を貧困化した。さらなる衰退を防止する手立ては?

先日掲載の「『分配、分配』が招く日本の貧困化。岸田政権に見えぬ“育成策”」等の記事で、我が国のさらなる経済的凋落を予測し続けている、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。しかし、まだこの国には立ち上がる力が残されているようです。津田さんは今回、自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で、日本が貧困化した原因を明らかにするとともに、再生するためには国としての自立が必要と断言。その上で自立に不可欠な3つのポイントを挙げ、各々についての具体的な推進手段を提示しています。

【関連】「分配、分配」が招く日本の貧困化。岸田政権に見えぬ“育成策”

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日本再生戦略:日本のより厳しい貧困化を防止するには

岸田政権で、日本を再生しないと日本の経済的な沈没になる。岸田政権は、日本再生のグランドデザインをハッキリ国民に示すべきである。その戦略を検討しよう。

日本は、長年の金融緩和一辺倒で円安になっているが、国債発行高が世界一であり、GDPの2倍以上もある。このため、国債費の膨張防止から金利を上げられない。

このことで、いくらインフレになっても、金融緩和政策で金利をゼロ近くに押しとどめるしかない。このため、今後ともに超円安を覚悟する必要になっている。

ということで、日本国民は、超円安になることで貧乏になることが確実視されている。今でも海外に行くと、円の価値が低いことがわかるが、今後、より一層、酷くなる方向である。そして、輸入穀物や食糧価格と原油価格が高騰して、食費や光熱費が増えていく。エンゲル係数も上昇することになる。

しかし、日本が円安で、労働賃金も相対的に下がり、その結果、日本で工場生産した方が安くなり始めている。サプライチェーンの混乱も、日本国内で生産・流通している限り、政府と財界が近いので、問題の解決はしやすいし、非常の時にも対応が他国と比べて楽である。

独裁国ではないので、法律を急に企業に不利に変えることも、そう簡単にはできない。民主党政権がすぐに倒壊したのは、企業に不利になる法律を作りそうであり、財界と敵対したからだ。二度と、そのような党に日本の統治を任してはいけない。今は維新の会や国民民主党などは、企業に融和的である。

その上、海外の賃金も上昇して、タイなどは周辺諸国からの出稼ぎ労働者で工場を稼働させている。それなら、出稼ぎ労働者を日本に入れて、生産した方が全体的にみると安いことになりそうだ。

そして、将来的にも日本の円は安くなることはあっても、金融政策を引き締められないので、高くなることはない。円安がドンドン進んでいくことになる。

結果、国民は貧乏になる方向であるし、生活に余裕がなくなり、飲食店の利用回数は減るし、旅行もいけないかもしれない。その結果、そこで働いていた人たちが工場労働者になる。工場の方が付加価値が高いので、コロナでも辞めさせない可能性が高い。労働力はサービス業から転移してくるとみる。そして、足りない分は海外からの移民や出稼ぎ労働者になる。

貧乏になる原因は、食糧とエネルギーの海外からの調達である。この輸入を少なくして、なるべく自給自足化する必要になっている。日本国内生産の食糧を海外産食糧より安くすることである。エネルギーも同様に国内産のエネルギーを安くすることである。

というように、日本の経済戦略を大きく変化させる必要になっている。国民を飢餓や疫病、戦争から守り、裕福ではないが長い寿命を全うできる健康で栄養バランスの取れた食事ができる環境を構築することになる。日本の国家目標をレベルダウンさせる必要がある。

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日本が貧困化した原因は、米国の真似をして、ベンチャー育成とか、新自由主義とかで民間だけに産業育成を任したことである。米国は、多数のビッグな企業ができたが、日本でビッグになったのは、この10年を見ると、メルカリぐらいであるし、20年で見ても楽天とソフトバンク、SBIなど少ない。ZOZOもLINEもソフトバンク子会社のZホールディングスに買収されている。新興市場に期待したが、期待はずれであったことは確かである。

日本の失敗の多くが、米国流の経済政策を真似したことであり、30年前の日本が輝いていた時代には戻らずに、逆に貧困化が進んでしまった。そろそろ、日本の経済政策自体を輝いていた時代に戻すべき時になったようだ。

もう1つ、官邸中心の政治家の経済政策で日本は豊かになれなかった。トップ政治家と取り巻きがまともでないため、米経済学者の似非経済学を信じてしまった結果で、日本がより一層貧困化したのである。

トップ政治家の選択眼が悪いと、日本の衰退を招くということになり、まともな経済学者を選ばないといけないという教訓を残した。

私は、金融緩和で生み出した資金を産業育成に使えと主張していたが、まともに相手にもされなかった。この方法は福井藩主松平春嶽と横井小楠・由利公正が行った藩復活で用いた方法であるが、生かされなかった。

生み出した資金をバラまき、その結果が、今の日本の貧困化になったと見ている。

よって、もう1度、まともな経済政策に戻すしかない。そのためには、多くの優秀な官僚が必要になるし、日本の実情にあった政策が、今ほど必要な時はない。ベンチャーに期待するのではなく、大企業の再生と工場の日本回帰を必要としている。

勿論、ベンチャーを否定していないし、今のレベルでベンチャー・キャピタルは支援すればよい。その上に政府が大企業への新技術導入や開発などで産業育成をするだけである。国家が指導する体制を再構築するべきである。

そのための仕組みを考えるときである。これが「新しい資本主義」の思想だ。貧困化の進んだ日本では、これ以上、貧富の差を広げてはいけない。皆が同じレベルの豊かさを実現する「共同富裕」が一番必要なのが日本である。このため、分配も必要になる。しかし、それより産業育成がより重要であり、給与を上げなくてはいけない。

全体的な構造は、日本の自立が必要で、産業育成の他に、農業改革とエネルギー自給であり、農業は摘果して、粒を大きくした高級品も必要であるが、摘果しない汎用品も必要になる。農協などの中間業者を省き、生産者と消費者が直接か、生産者と小売りが直接の取引で、安い食糧を買える農業改革と、大規模農業を作るために、休耕田や耕作放棄地での農業を会社に許可するべきである。

エネルギーは、太陽光や風力発電を積極的に推進して、エネルギーを輸入に頼らないことである。もう1つがトリウム原子力発電で、太陽光や風力発電の電気がなくなったときに、すぐに発電して電気を送り、太陽光や風力がある時は、水素を作り、電気を水素の形で蓄積しておき、一部を燃料電池車の燃料とすればよいのである。

トリウム原子力発電の実用化までは、高温炉原子力発電でも同じことができるので、今の軽水炉ではなく、電気が必要な時に作り、暇な時は、水素を作れる原子炉を準備した方が良い。

そして、高温炉やトリウム原子炉ができるまでは、当分軽水炉を動かすしかない。

日本の貧困を見越して、先を見た準備をする時代になってきたというのが、今の日本の実情である。それに合わせた政策を打つしかないはずだ。

さあ、どうなりますか?

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image by: Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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