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やっぱり聖徳太子はスゴかった。日出処の天子が日本に残した功績

国宝9件、重要文化財33件を含む堂々たる展示内容が大きな話題となっている、サントリー美術館で開催中の聖徳太子展。日本の紙幣にもっとも多く登場した人物としても知られる聖徳太子ですが、その「遺徳」は計り知れないものがあります。今回のメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』では、先日聖徳太子展に足を運んだというiU情報経営イノベーション専門職大学教授を務める久米信行さんが、聖徳太子の「凄さ」が分かるという3つのエピソードを紹介しています。

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聖徳太子ってあらためてスゴイと思う

みなさんは聖徳太子にどんなイメージを抱いてますか?

教科書で聖徳太子のどんなエピソードが印象に残りましたか?

先日、東京ミッドタウン六本木にあるサントリー美術館で、面白い展覧会に遭遇しました。その展覧会は「聖徳太子 日出づる処の天子」。「サントリー美術館 開館60周年記念展 千四百年御聖忌記念特別展」という鳴り物入りの展覧会です。

実のところ、あまり期待してはいなかったのです。サントリー美術館の年間パスポート会員(家族同伴で年に2回行けばモトが取れる)だったので、ミッドタウンのクリスマスセールついでに寄ったのでありました。

ところが、これが想定外の面白さ。

私の持つ聖徳太子についての情報量は、おそらく日本人の平均ぐらい。

いや、もう少し知識?がありました。

山岸涼子さんの名作マンガ「日出処の天子」を、昔、愛読していたのです。

● 日出処の天子 第1巻

ただしマンガの内容は、教科書とはあまりに違っておりまして…、wikipediaを引用しますと…

厩戸王子(聖徳太子)と蘇我毛人(蘇我蝦夷)を中心に、主人公である厩戸王子が少年時代を経て、摂政になるまでを描く。聖と俗、男と女という矛盾を抱える厩戸王子の圧倒的な存在感に加え、厩戸王子を天才・超能力者・同性愛者として描く斬新さが特徴。厩戸王子には超能力を持っているとでもしなければ説明できないような逸話が『聖徳太子伝暦』などに残っており、これはこうした伝承・伝説を積極的に採用したものである。

日出処の天子(wikipedia)

聖徳太子こと厩戸王子を「天才・超能力者・同性愛者として」描くなんて不謹慎かもーと思いきや、ちゃんと山岸涼子さんのマンガの原画も、この由緒正しき展覧会で展示されていてビックリ。

だって、四天王寺のお宝はじめ、全国の聖徳太子像や仏像が並ぶ霊験あらたかな展覧会でしたから。やるなあ、サントリー美術館の学芸員。ちゃんとサブカルも理解してくださって。

さて、聖徳太子の凄いエピソードの数々。特に私の心に残った3つの点をご紹介しましょう。

1.2歳の時に合掌して「南無仏」と唱える

展覧会では、聖徳太子の生涯を描いた絵伝が数多く展示されていますが、どの絵伝でも印象的なのは2歳の時の出来事。

母の傍らで、すっくと膝立ち。きちんと合掌して「南無仏」と唱えたと言うのです。


【「聖徳太子絵伝」で読み解く太子の生涯】 サントリー美術館 開館60周年記念展 「千四百年御聖忌記念特別展 聖徳太子 日出づる処の天子」

生まれた瞬間に「天上天下唯我独尊」と唱えたお釈迦様には負けます?が、なんとおませさんなのでしょう。

そのエピソードに感動した後世の人たちが、合掌する2歳の聖徳太子像を作り、お寺にお祀りしてきましたが、展覧会場にも並んでいるのでぜひ出会ってくださいね。

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2.天皇の子孫ながら仏教を広める

聖徳太子は、用明天皇の第二皇子で、母は欽明天皇の皇女・穴穂部間人皇女ですから、天皇家の直系中の直系です。つまり、神社神道を守る立場にあるお方。

普通なら、自分たちの存在意義を危うくする異国の異教を信じる人たちを弾圧するのが、古今東西の常識でしょう。ところが、「南無仏」と2歳で唱えた?聖徳太子は、仏教の擁護者となるのです。

もしも聖徳太子がいなかったら、神さまと仏さまという異なる宗教を自然に受け入れ神仏習合で拝む日本人のこころは育まれなかったかもしれません。

今、世界のニュースを見ると、宗教に基づく排他的な分断が進み、そこかしこで憎しみと争いを続いていて悲しくなります。そんないさかいを横目に、宗教に寛容な日本に生まれてよかったとつくづく思うのですが、これも聖徳太子のおかげではと、あらためて感じたのです。

3.17条憲法曰く「和をもって貴し」「独断せず議論せよ」

教科書でも習ったのに忘れていた17条憲法。聖徳太子が本当に作ったのかどうかは歴史学者の議論に任せ、その中身に注目しましょう。

詳しくは以下のwikipediaを読んで欲しいのですが、ひとことで言えば「人々の多様性を認め、独断や専横を戒め、みんなで議論して、和すること」を勧めています。

十七条憲法(wikipedia)

現代においてさえ、世界のどの国でも実現できていない寛容で平和な教えを、今から1,400年以上前に提唱しているのですから驚きです。

わが師、日下公人先生が憲法改正の議論になった時に「聖徳太子の17条憲法に学べ」と発言したことを、今回の展示を見て思い出しました。

もちろん、半ば伝説と化していることも多い聖徳太子ですが、仏教の大衆化を果たした親鸞聖人が、聖徳太子を日本のお釈迦様と仰いでいたことを見ても、その遺徳は絶大だったのでしょう。17条憲法にしても、天皇家直系で臨めばわがまま放題できた人が起草したと考えると、その凄さがわかるのです。

サントリー美術館の展覧会をきっかけに、山岸涼子の名作マンガを読み返しだり、大阪四天王寺にお参りしたくなりました。そして、聖徳太子がどんなことを考えていたのか、タイムマシンに乗って、直に聴きに行きたいとさえ思ったのです。

#サントリー美術館 #聖徳太子 #日出づる処の天子

サントリー美術館 開館60周年記念展 千四百年御聖忌記念特別展 「聖徳太子 日出づる処の天子」

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image by: Japanese Painting Anthlogy, ed.et publ. by SINBI-SHOIN, TOKYO, 1941 / public domain

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1963年東京墨田区出身。87年慶応大経済卒。イマジニア新卒一期で飛込営業と株式投資ゲーム開発。88年日興證券でAI相続診断システム開発研修統括。91年家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業入社。94年三代目社長就任(現相談役)。97年日経インターネットアワード、05年経産省IT経営百選、09年東商勇気ある経営大賞等受賞。10年APEC中小企業サミット日本代表。20年開学の新大学iUでは起業家教育・地域創生担当教授。明治大、多摩大の授業や企業団体研修に即した25万部超の「すぐやる技術」シリーズ等著書15冊。内外情勢調査会等で毎年数千人に講師。東京商工会議所墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、墨田区文化振興財団 評議員として地元振興。新日本フィルハーモニー交響楽団・NBS日本舞台芸術振興会・日本吟剣詩舞振興会 各評議員として文化芸術振興。

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