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次期韓国大統領の有力候補・尹錫悦が暴露した現政権の黒い内部

韓国大統領選まで残りわずかとなり、現在有力な大統領候補として野党の尹錫悦氏が挙がっています。なぜ、彼は大統領候補になろうと思ったのか。そこには壮絶な過去がありました。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、過去に尹錫悦氏の身にふりかかった現政権に対する批判の内容を紹介しています。

どんな嫌がらせにも屈しなかった尹錫悦

選挙戦もあとひと月を切った。尹錫悦氏がいかにして大統領候補になったのかがよくわかるユーチューブがあったので、これを参考に筆者のことばでお伝えしたい。

「国民の力」党のユーチューブチャンネル「正しい声(オルンソリ)」にあった内容である。以下は尹錫悦の声。

「検事として長い間文大統領を見てきたわけだが、(文在寅氏は)本当に正直な方だと思った。そしてそれに対する信頼もあった。2019年7月、検察総長の任命状を受け取りに行った際、文大統領は『生きている権力(現在の権力、つまり現政府や大統領府)に対しても、(わたしが全てに対して)厳正に捜査してきたそのやり方で、これからも、政府であれ大統領府であれ、生きている権力を気にせず厳正に取り締まり不正を清算してほしい』と言われた。どんな政権であれ、権力の核心不正を検察が断罪することが政権を生かす道だと(わたし尹錫悦は)常に考えていた。その言葉に十分共感し、額面どおりに受け入れたのだが…(そうではなかった)」

インタビューの中で、現政権に対する批判はこの時から噴出する。

「時間が経つにつれ、文大統領を取り巻く巨大な集団が形成されていった。本当にネーロナンブルの典型を見たのだ。名分も憲法も常識もなく、無条件にやくざ組織のように自分たちの利益に絶対服従するような人間だけで運営していく政権なんだ(ということに気づいた)。口先だけで民主主義と言うだけで、それこそ偽装された民主主義だと思った。このような政権が延長されては、本当に国民の苦痛を和らげることは絶対にできない。今のままではこれ以上国民を保護することもできないという考えもあったし、また、国民が熱烈に前面に出てほしいと要求してきたこともあり、『だったら最善を尽くしてみよう、多くの方が助けてくださるだろう』として大統領選挙に打って出ることにした」

政治の前面に出ることになった理由をこのように説明している。

「文大統領がなぜ尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏を検察総長に任命したと考えるか」という質問には、「いくら強い権力者だとしても自分の味方になって何かをしてほしいという要求を(わたし・尹錫悦は)受け入れることはない人間だということを文大統領はよく知っていたはずだと思う」と答えた。

過去の「国情院コメント事件」捜査当時に言及し、「国情院事件もわたし・尹錫悦が適当に、ことを荒立てずにやっていれば地方にも飛ばされずなにかの役職にも就けたわけだが、そうはしなかった。それをすべて見ていたはずだ。中央地検長時代も前政権(パク・クネ政権)の捜査を行っているのを見て、自分たちと最後まで一緒に行ける人だと思ったようだ」と語る(つまり前政権への徹底捜査を見て、現政権・文政権とは波長を合わせてやれる人間と考えたようだという意味。)。

ところが尹錫悦はよく知られているように、検察総長在任当時、曺国(チョ・グク)前法務部長官の捜査後現政府と対立することになった。自分の動向が大統領府や法務部などに常に報告されていたという。

「わたしに反感を持っていた可能性もあり、政府の役職をもらって(昇進)現政権に感謝のある人を送り、6カ月の間見守り、検察総長(尹錫曺)の仕事を悪辣に妨害しない人はすぐに変えていた」とし「人を変えて追い出しては、(最高検察庁で)会議をすると、その内容はすべて青瓦台(チョンワデ、大統領府)や法務部に報告されていた」と述べた。

「公の会議ができないので、わたしは(たとえば)国政監査の準備などもしなかった」とし「ある問題に対してどのようなスタンスで答弁するのか公で論議すれば、それがすぐに民主党に筒抜けとなっていて、翌日(準備したスタンスに合わせて)政府・民主党がそう出てくるのはわかっていたので、午後6時には退社した」と述べた。

尹錫曺の検察総長在任時代、政府の検察人事権行使に対する不満も露わにした。

「暴力で刀を振り回すことと人事権者が報復人事で人を飛ばす(左遷する)ことは違いがない」とし「検察高位幹部たちが政権の不正を捜査したとして左遷される姿を見ると、その下に連なる一般公務員は恐ろしくなり所信というものがなくなる」とし「すべての公務員組職がすべて政治権力者の手下に入る」と指摘した。

2019年の「曺国事態」当時、ソウル瑞草洞(ソチョドン)ソウル中央地検前で大規模集会が開かれたことに対しては「過去なら司法処理されることだ」と強く批判した。

「曺国事態の時は本当にあってはいけないことがあった」とし「最高検察庁とソウル中央地検の前で数万人、どれほどの人数か分からないが、いわゆる民主党と関係のある人を集めて(わたしのいる)検察を脅迫した。自由民主主義社会ではありえないことであり、これまでのどの政権もこんな卑劣なことはなかった」と発言した。

それとともに「過去ならすべて司法処理されるはずなのに、政権がバックにいるせいかなんでも勝手にやる。だからすべてが崩れたのだ」と声を高めた。

尹錫悦氏はこのように最初から(自分から)大統領になろうと思っていたのではなくて、今の政権が続行することに対する恐ろしさと、民衆からの支持を受けて「だったら不肖・わたしが国の長になってなんとかこの国と国民をまもろう」と考え始めたわけだ。

選挙当日まであと30日をきった現時点で、与党の李在明氏とは鍔迫り合いを繰り広げている状況だが、李在明氏のほうの悪材料(妻の問題や大庄洞の土地不正問題など、あげればこの人の不正はきりがないが)があまりにも多いので、このままいけば尹錫悦氏が勝つことは間違いない。

しかし選挙だ。これからの残りの時間にどんなことがあるかわからない。最後まで油断をせずに結果が出るまで真剣に慎重にがんばっていってほしい。

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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