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吉村知事を露骨にヨイショ。民主主義を脅かす「吉本興業」と維新の浅からぬ関係

2年以上にも及ぶコロナとの戦いにおいて全国最多の死者を数えたのにもかかわらず、為政者の責任が問われるどころか、政治家個人・所属政党ともに住民たちからの人気を集めているという大阪。なぜこのような不可思議な現象が、日本第2の都市で起きているのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、考えられる理由として維新の会と吉本興業の関係を指摘し、お互いが享受しているメリットを列挙。その上で両者のモラルを無視した繋がりは、我が国の民主主義を脅かすものであると強く批判しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2022年3月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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日本維新の会と吉本興業の危ない関係

大阪の医療崩壊は人災だ!

2021年秋の総選挙で、大きく議席を伸ばしたのは日本維新の会でした。このことについて、違和感を持った人も多いのではないでしょうか?

維新の会の本拠地ともいえる大阪では、新型コロナ禍で医療崩壊を起こし、日本で最悪の死者を出しています。人口当たりの新型コロナの死者は全国で最悪です。2021年12月の時点で、人口100万人あたりの死者は300人を大きく超えており、東京より100人以上も多く、都道府県平均の2倍となっています。

しかも2021年5月には、7日間の人口当たりの死者数が、インドやメキシコよりも多くなったこともありました。大阪は「世界でもっとも新型コロナの死者が多い地域」となったのです。

2022年2月現在、大阪の新型コロナの死者は3,157人です。東京は3,212人であり、ほぼ同じです。東京の人口は、大阪の人口の1.6倍もあります。また東京は日本の首都であり、世界中からたくさんの人が集まっています。その東京とほぼ同じ死者数になっているのですから、いかに大阪の死者数が多いか、ということです。

感染症対策において、もっとも重要なことは「死者を出さないこと」です。それを考えたとき、大阪はもっとも新型コロナ対策に失敗しているということがいえるはずです。

また大阪は医療を受けられないままに死亡した人の数も日本で最悪です。日本でもっとも医療崩壊が激しかった地域だといえます。

新型コロナが日本に上陸して2年以上が経過していますが、大阪は初期の段階から現在までずっと日本で最悪の被害を出し続けています。つまり、ほかの都道府県に比べて大阪は2年の間、まったく進歩がないのです。

にもかかわらず、この大阪の惨状について、新聞、テレビの大手メディアはあまり取り上げません。むしろ、テレビでは「吉村知事はよくやっている」というような賛辞すら送る始末です。

しかも維新の会は、所属議員や幹部たちが数々の不祥事を起こしています。特に愛知のリコール不正事件では、維新の会の元幹部が中心的な役割を果たしています。

こういう状態なのに、維新の会は昨秋の選挙で大躍進したのです。

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なぜ維新の責任は問われない?

日本維新の会が、大阪に大きなダメージを与え続けているにも関わらず、支持率が高いのは、何よりもメディアの責任だといえます。

維新の会の創設者の橋下徹氏をはじめ、大阪府の吉村知事などは、テレビの出演回数が異常に多いです。そして、各テレビ局は、彼らに対して好意的な内容の放送ばかりを繰り返します。維新を取り巻く報道状況は、異常なのです。

なぜこのようなことになっているのでしょうか?そもそも維新の会の創設者である橋下徹氏は、テレビタレントとして人気を博し、政界に進出した人です。弁護士という堅い職業ながら茶髪でポップな雰囲気、いい具合に世間の意表をつく発言は、テレビタレントとして天職のようなものだったのかもしれません。筆者も彼は、テレビタレントとしては価値のある人だと思います。もちろんテレビタレントして価値があることと、政治家としての能力はまったく関係しません。

その橋下徹氏からすれば、メディアをうまく利用するのは、お手のものなわけです。というより、メディアをうまく利用することで、のし上がってきた人であり、維新の会の運営においても、メディアを上手に使うというのが最大の武器だったわけです。

維新の会は、当然のことながら、メディアを利用することに力を注いでいます。それは橋下氏が政界を離れてからも同様です。

大阪市と吉本興業は、平成29年に「包括連携協定」を結んでいます。この包括連携協定は、形式的には

を大阪市と吉本興業が連携して行うということになっています。

が、実際は、大阪市の広報などに吉本興業を出演させたり、吉本興業と大阪市が共同で公演を開催したりするということです。具体的に言えば、大阪市の24区にそれぞれ一組ずつの吉本芸人を配置し、区の催し物などことあるごとにその芸人を起用したり、大阪に関する創作落語の公演を行ったり、各種の広報に吉本芸人を起用したりということです。

もちろん、吉本興業の芸人にはその都度、ギャラが発生します。そのうえ、市の広報に登場することで、吉本芸人たちの「顔を売る」ということにもなります。だからギャラ以上のメリットがあり吉本興業としては、ウハウハなことです。

また吉本興業は大阪府から万博記念公園の管理者に指定されています。2018年から10年間の契約で、大阪府は無料で万博記念公園を吉本興業に管理させているということです。

しかも大阪では、2025年に万博が予定されており、これは維新の会にとっての目玉の政策でもあるのですが、吉本興業はなんとパビリオンの枠をもらえることになっています。万博のパビリオンを芸能事務所が出すなどということは、非常に異例のことです。また今後万博関連で様々な催しが行われることになります。それらの催し物の多くに吉本芸人たちの出演機会があるわけで、吉本興業にとっては、今後も「美味しい状況」が続くというわけです。

維新の会の党利だけを考えた場合、吉本興業との提携は非常に賢い戦略だといえます。国や地方自治体が、広報活動にタレントを起用することは珍しくなく、大阪市、大阪府と吉本興業の連携は、法的な問題はありません。しかし維新の会の党利には、なっても国民の側に大きな害毒となっているのです。維新の会の批判的な情報がなかなか世間に知らされないという大きな災いを招いているのです。

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間接的に各テレビ局と提携関係を結ぶ

吉本興業というのは、「お笑い芸人の芸能事務所」というイメージが強いですが、実は日本で有数のメディア関連企業であり、各テレビ局と深いつながりのある企業なのです。

吉本興業の中核である「吉本興業ホールディングス」は、フジテレビが12.13%、テレビ朝日、日本テレビ、TBSがそれぞれ8.09%、テレビ東京4.04%で、在京のキー局だけで40%を超える株を持っているのです。

そして在阪のテレビ局も、朝日放送2.51%、MBS2.02%、関西テレビ、読売テレビがそれぞれ1.01%、テレビ大阪が0.4%の株を持っています。テレビ局だけで吉本興業の50%近くの株を持っているのです。言ってみれば、吉本興業というのは、各テレビ局の「共同子会社」のようなものです。

なので、その吉本興業と包括提携を結ぶということは、各テレビ局と間接的に包括提携を結ぶようなものなのです。政治家や政党が、テレビ局が特別な関係を結ぶということは、政治に関して公平な報道ができないということです。これは、維新側にも、テレビ局側にも、吉本側にもモラルが問われる事態です。というより、いずれの者にもモラルがない、民主主義を守る気持ちがないといえます。
これは違法行為じゃなかったとしても、民主主義国家の最低限のモラルとして避けるべきなのです。

東京の番組でも吉本芸人は大活躍していますが、大阪では東京よりもずっと吉本シェアが大きいのです。大阪では、ワイドショー、情報番組などには、吉本興業のタレントが必ずと言っていいほど出演しています。

大阪府の吉村知事は、テレビ出演回数が異常に多いことで有名です。一時期などは、毎日のように、大阪の各テレビ局の情報番組をはしごしていました。現在でも、吉村知事は頻繁にテレビ出演しています。そして大阪府民に自信満々に自分の仕事ぶりを語ります。彼を取り巻く吉本芸人たちは、露骨に持ち上げます。それを見た視聴者たちは、「吉村知事はよくやっている」「吉村知事は気さくでいい人」ということになっているのです。

しかも、大阪の各テレビ局は、大阪が日本で最大の被害を出していることなどはあまり報じませんでした。その結果、維新の会の人気が爆上がりするということになっているのです。

筆者もお笑いは大好きですし、好きな吉本芸人もたくさんいます。が、それとこれとは別のことです。やはり、吉本興業と維新の関係は、日本の民主主義を脅かす危険なものであり、もっともっと批判されなければならないはずです。

次回は、日本維新の会とメディアの癒着について、もう少し掘り下げたいと思います。

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▼2021年12月

毎号、税務ノウハウと時事論評を配信する大村氏。12/1号では「なぜ大企業は国税OBの大物税理士を顧問につけるのか?」その裏事情を暴露しています。企業の税務調査にあたっていた税務署員が、退職後に企業側の代理人になる意味、国会議員より強力な国税OBの“ご威光”、税務署との癒着構造など…悪用厳禁の情報です。

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▼2021年11月

11/16号と11/1号では、遺産相続をめぐる争い(いわゆる争族問題)を回避する方法を解説。相続税の課税最低限度額が大きく引き下げられた今、「お金持ちではないが、蓄財に励んできた庶民」の遺産が狙われています。「死後の遺産は葬式代だけ、残りは生前贈与済み」という理想の状態をつくるには、早めの準備が欠かせません。

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2021年10月分

10/16号では、関西電力の“脱税”問題を厳しく批判。表向き役員報酬を下げ、裏でその分を補填する「闇役員報酬」は、官公庁や公的機関に多く見られる手口なのだとか。その他、読者向けノウハウとして、生命保険の受取人は子供ではなく配偶者名義にすべきこと、子供のいない夫婦こそ相続対策が必要なことなどを解説しています。

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2021年9月分

日本で最も税金を払っていないのは富裕層だ──大村氏は9/1号で、配当所得者・経営者・開業医・地主など、富裕層の主な職業には「税金の大きな抜け穴」が用意されていると指摘。名目通りの高額税率を払っている富裕層はほとんどいない、という事実を知るにつけ、私たち庶民にも節税対策が必要なことを痛感させられる内容です。

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2021年8月分

フリーター、パート主婦、定年後のアルバイト…そんな人たちほど税金を払いすぎているかもしれません。8/16号では、非正規雇用の人が税金を取り戻す方法を詳しく解説しています。また、盗難被害、害虫駆除、雪下ろし費用などを「雑損控除」にすることで節税するテクニックも。確定申告前にぜひチェックしましょう。

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2021年7月分

7/16号では、標題のテーマ以外に、国民健康保険や国民年金の減免制度について。該当する場合も自治体がわざわざ教えてくれることはないため、自分で手続きしなければなりません。コロナによる収入減などで生活が苦しい方は、「未納」状態で放置せず、減免手続きに挑戦してみては?これは庶民の立派な権利です。

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2021年6月分

6/1号では、自営業を手厚く優遇している「確定拠出年金」の活用法をわかりやすく紹介。公的年金が手薄な自営業者のiDeCo拠出限度額は、月6万8千円と最高額。この節税効果を享受しない手はありません。利用の際は、国民年金基金や小規模企業共済との兼ね合いもポイントに。3つの制度をうまく生かす方法を解説しています。

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2021年5月分

5/5号と5/16号では、普通のサラリーマンでも「実質負担2000円」で豪華な返礼品を受け取れる「ふるさと納税」の活用法を特集。返礼品の調達費が寄付金の3割以下に規制された現在も「抜け穴がある」と大村氏。実際には寄付金の4割くらいの商品が返礼品として貰える自治体も多いようで、やらなければ絶対に損な制度です。

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2021年4月分

4/16号は「税務署への密告」がテーマ。税務署は市民の密告を奨励しており、「最近やけに羽振りがいい」といった漠然とした情報でも受け付けますから、脱税なんてするものではありません。そして、実は密告者は「身内」であることが多い(!)のだとか…。痛くもない腹を探られないようにするポイントを大村氏が解説します。

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2021年3月分

「年金額を月1万円増やすのは、500万円貯金するのと同じ」という大村氏。3/16号では、「年金に入っても無駄」という世の俗論を論破しつつ、自分の年金受給額を月5000円でも1万円でも増やすことの大切さをわかりやすく解説しています。他の号も参考にすれば、決して不可能ではない上積み額。今日から取り組んでみませんか?

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2021年2月分

2/16号は、犯罪などで得た“汚い金”を“洗浄”して、正当に得た金に変えてしまう「マネーロンダリング」について。大村氏によれば、「カジノに入れたお金をカジノから引き出す」手法で、いとも簡単に資金洗浄できてしまうのが現状なのだとか。悪用厳禁はもちろんのこと、賛否が割れる日本のカジノ誘致にも一石を投じる記事です。

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2021年1月分

1/1号では、「こんなものまで医療費控除になる!」いろんな裏ワザをご紹介。ビタミン剤などのサプリや栄養ドリンクも、一定の条件を満たしていれば医療費控除の対象になることをご存じでしたか?もらえるものはもらい、払わないでいい税金は払わない。賢い納税者だけが人知れず得をするのが、今の日本なんですね。

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