【長尾和宏×蛭子能収】認知症になったエビスさんが町医者・長尾先生と考える、自分らしく生きるということ

nagao_ebisu
 

多くの認知症患者の方と日々向き合っている在宅医療のスペシャリストで開業医の長尾和宏さんと、アルツハイマー型とレビー小体型の認知症を併発していると診断された漫画家・タレントの蛭子能収さんが、お互いの近況に触れながら「“自分らしく生きる”とは、どういうことか?」について語りました。今回のクロストークの模様を、一部だけテキストにて特別に公開いたします。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

<動画で対談のダイジェストを視聴>

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長尾和宏×蛭子能収:二人の共通点は競艇?

長尾和宏さん(以下、長尾):みなさま、こんにちは。蛭子さん、はじめまして。兵庫県に尼崎っていうところがあるんです。近くにボートレース場があるんですけどね。そこで町医者、開業医をやっている長尾と申します。蛭子さんのことはテレビで拝見していて、いつも笑わせていただいています。

蛭子能収さん(以下、蛭子):笑わせるつもりはないんですけど(笑)。

長尾:そうですか(笑)。これまで散々笑わせていただいた蛭子さんと、こうやって直にお会いできて、本当に非常に光栄です。

蛭子さんのマネージャー(以下、M):蛭子さんも、よく尼崎ボートのイベントに出ていたんです。今まででお客さんの怒号が一番激しかったのが、尼崎ボートだったんです。

長尾:じゃあ、尼崎に来られたことあるんですか?

蛭子:尼崎はね、ありますよね。

M:昔よく行ってました。

蛭子:昔は、あっちゃこっちゃ行ってたんだけど、あまり覚えてないんです。

M:蛭子さんは全国に24ヶ所ある競艇場全てでイベントをやってました。

長尾:全部でイベントをやられていたんですか。24ヶ所もあったら、どこがどうだったか忘れちゃいますよね。

蛭子:そうですね。

長尾:競馬はされます?

蛭子:競馬はしないです。

M:競艇一本で。公営ギャンブルは競艇一本です。競艇の話になっちゃいますね。

長尾:いや、いいですよ。僕の母は尼崎ボートで舟券売りを何十年もやっていました。そのお金で育ててもらったので、僕は尼崎ボートさんに育ててもらったようなもんなんです。

蛭子:俺も本当は競艇で稼ぎたかったんです。とにかく自分のお金じゃなくて、人のお金で生きていくというのが快感にもなるし(笑)。競艇で稼いで生きていくってことを目指してたんだけど、負ける方が多かったので最近はやってないんです。

認知症の診断から生活の変化

司会:蛭子さんは2020年に軽度の認知症と診断されましたが、その後、生活のなかで大きな変化はありましたか?

蛭子:自分では変化は全然感じてないです。

M:周りの見る目も正直変わってないです。蛭子さんは昔から曜日とか会う人の名前も覚えていなかったので。競艇選手の名前は覚えてるんですけど(笑)。

長尾:大事なことは覚えてるんです(笑)。

M:周りの人も認知症って言われても「蛭子さんいつも通りじゃん」って言う人がいっぱいいました。

司会:先日、蛭子さんがテレビに出演されているのを拝見したんですが、とても元気な蛭子さんで、私もいつも通りの蛭子さんだなって感じました。

トラブル好きの蛭子さん

蛭子:俺は「他人の喧嘩」を見るのがすごく好きです。

M:自分に関係ないトラブルが好きですよね。

蛭子:自分が関係している喧嘩はだめ。負けますし、ただ痛いだけです。本当に喧嘩とかしたくない。

長尾:蛭子さんの好きな事といえば、「公園で遊んでいる子供を見るのも好き」って聞いたんですけど。

蛭子:俺、本当に意地悪なんですけど、子供が走ってて転ぶのを待ってる。バーンと転んでいるのを見て、あれがなんか面白いんです。これまずいよね(笑)。男と女の人の喧嘩が面白いです。何か意地悪なんだよね。

M:街中で喧嘩してる人がいると普通の人が少しだけ見るじゃないですか。蛭子さんはその喧嘩をガン見します(笑)。

蛭子:昔は街で見た喧嘩とかを漫画に描いてました。

M:認知症になってからは漫画を描く意欲とか、画力も落ちちゃったので、意欲が湧く方法などを長尾先生にお聞きしたいです。

長尾:外に出て人と会って、バカ話とか、こういう世間話をするのが一番だと思います。さっき男女の喧嘩を見るのが一番おもろいと言ってましたけど、コロナでこの2年間見る機会も少なくなって、楽しみがなくなっちゃったみたいな感じかな。

僕が知っている蛭子さんの話で面白かったのが、お葬式には参加しないという話です。その理由は「笑っちゃうかもしれない」「笑いを堪えるのが苦しいから行かない」。僕もその気持が判るような気がして、笑っちゃいけない場面で「笑っちゃいけない」って考えると、笑いそうになりますよね。

蛭子:お葬式はすごく苦手で、知り合いが亡くなっても、俺は本当に笑ってしまうから行かないって。断ってる。

M:蛭子さんにはお葬式が喜劇に見えるんですもんね。そこまで悲しくないだろうっていうような間柄の人でも、みんな神妙な面持ちをするじゃないですか。そういうのを想像すると笑けてきちゃうって言ってました。

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