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酒好きに安心データ。酒量とがんの発生率に因果関係はなかった!

楽しくてもツラくても飲みたいお酒。「昨日は飲みすぎた」と毎日つぶやいてしまうような酒好きでも気になるのは、アルコール摂取と病気との関係。がんに関しては、喫煙とセットでなければ摂取量が発生率に影響することはないようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、医師で糖質制限食の提唱者である江部康二先生が、国立がん研究センターによる研究レポートの要点を解説。がんの部位によっては発生率上昇が疑われるケースもあることから、糖尿病など他の生活習慣病を予防するためにも、1日の適量を示しています。

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飲酒とガンについて

今回は、飲酒とがん全体の発生率について、考えてみます。私は、タバコは吸いませんが、お酒はそこそこ飲むので、おおいに気になるところです。

結論としては、喫煙がなければ、飲酒量が増えても、がんの発生率は不変ということです。タバコを吸わない酒飲みには、とても嬉しいお話しですね。

以下、国立がん研究センター「飲酒とがん全体の発生率との関係について」を要約してみました。
飲酒とがん全体の発生率との関係について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト

─多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告─

平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、アンケート調査。そのうち、40~59歳の男女約73,000人について、その後平成13年(2001年)まで追跡した調査結果に基づいて、飲酒とがん全体の発生率との関係について調べた結果を論文発表。(British Journal of Cancer 2005年92巻182-187ページ)。

[お酒も量が過ぎれば将来がんになりやすい]

調査開始時の飲酒の程度により6つのグループに分けて、その後のがん全体の発生率を比較。調査開始から約10年間の追跡期間中に、調査対象者約73,000人のうち約3,500人が何らかのがんに罹患。

時々飲酒しているグループと比べると、男性では、アルコール摂取量が日本酒にして1日平均2合未満のグループは、がん全体の発生率は変わりなし。

一方、飲酒の量が1日平均2合以上3合未満のグループは、がん全体の発生率が1.4倍、1日平均3合以上のグループは、1.6倍。日本酒1合と同じアルコール量は、焼酎で0.6合、泡盛で0.5合、ビールで大ビン1本、ワインでグラス2杯(200ml)、ウイスキーダブルで1杯。

女性では、定期的に飲酒する人が多くないためか、はっきりした傾向がみられず。

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[飲酒と喫煙が重なるとがんの発生率が高くなる]

この結果を、たばこを吸う人と吸わない人とに分けてみてみたところ、たばこを吸わない人では、飲酒量が増えても、がんの発生率は不変。

ところが、たばこを吸う人では、飲酒量が増えれば増えるほど、がんの発生率が高くなり、ときどき飲むグループと比べて、1日平均2-3合以上のグループでは1.9倍、1日平均3合以上のグループでは2.3倍がん全体の発生率が増加。このことから、飲酒によるがん全体の発生率への影響は、喫煙によって助長されることがわかる。

もちろん、口唇・口腔・咽頭・食道・肝・喉頭(注)など、飲酒と特によく関連していると考えられているがんだけでみてみると、喫煙していなくても飲酒量が増えればがんの発生率が高くなるが、喫煙が重なることにより、さらに発生率が高くなるという結果になった。

[飲酒と喫煙が重なるとなぜいけないのか]

お酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになるが、これががんの発生にかかわると考えられている。そして、喫煙者では、エタノールをアセトアルデヒドに分解する酵素が、たばこの煙の中に含まれる発がん物質を同時に活性化してしまっているとも考えられている。

[やはり多量飲酒はよくない]

この研究からは、何らかのがんになりにくくするには、日本酒換算で一日平均2合以上の多量飲酒は慎んだ方がいいといえる。

しかし、同じ多目的コホート研究からの結果では、最近増加している糖尿病や大腸がんなら、1日平均1合を超えると危険性が高くなるという結果となっている。

いろいろな生活習慣病をまとめて予防しようと考えると、お酒は日本酒換算で1日1合(ビールなら大びん1本、ワインならグラス2杯)程度までに控えておいた方がよいといえる。

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image by: Shutterstock.com

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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