商談の成功率を高めようと、事前準備に多くの時間をかける営業は少なくありません。一方で、結果を出し続ける営業ほど、完璧な準備にはこだわらないという共通点があります。メルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』の著者であり、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭も執る菊原さんが、商談であえて「20%の余白」を残すメリットと、その実践方法について紹介します。
トップ営業は完璧に準備せず、あえて“20%の余白”を残す
営業で結果を出す。
そのためにどれくらいの準備をして商談に臨んでいるだろうか。
「事前の準備が10割だ」
「お客様に何を聞かれても即答できるようにしておく」
そう考える営業スタッフは多い。
多くの営業セミナーやビジネス書では「事前準備の重要性」が説かれている。
確かに準備は重要。
出たとこ勝負、準備不足で臨む商談の成功率は低い。
しかし、真面目な人ほど「完璧な準備」という呪縛に苦しんでいるケースが少なくない。
どれだけ準備を重ねても、「まだ足りないのではないか」と不安になる。
それが原因で勝率を下げてしまう。
これでは踏んだり蹴ったりだ。
準備について知っていただきたいことがある。
結果を出し続けるトップ営業は「100%の完璧な準備はしない」ということ。
もちろん完璧な準備をすることも可能だ。
しかし、意図的に「ある程度の余白を作っておく」といった行動をとっている。
知人の営業スタッフのこと。
ダントツの成績を出し続けている。
その知人に「商談の勝率を上げるために、どんな準備をしていますか?」と尋ねたことがあった。
すると、知人は「準備は完璧にせず、あえて余白を残しています」と答えた。
その余白について深掘りすると「だいたい20%くらいですね」と教えてくれた。
なぜ、完璧な準備をしてはいけないのか。
そこには3つの理由がある。
まず1つ目の理由は「100%の準備をしていてはタイパが悪い」ということ。
・お客様の要望を完璧に反映させる
・競合の動向
・お客様の予測される質問
これらをすべて網羅し、完璧な準備をする。
いくら時間があっても足りない。
準備に時間をかけているうちに、他の仕事がおろそかになる。
そうなれば、他のお客様の満足度が下がってしまう。
これでは本末転倒だ。
準備し過ぎて他に影響があるのでは、成果は上がらない。
そして2つ目の理由。
これが最も重要なのだが「完璧すぎる提案は、お客様の満足度を下げてしまう」ということ。
営業スタッフが100%作り込んだ、非の打ちどころがない完璧な提案。
一見、素晴らしく思える。
しかし、お客様から見れば、それは「営業スタッフが作った完成品」にしか過ぎない。
人は、誰かが作った完璧なものを提供されるよりも、「自分自身も一緒になって作り上げたもの」に対して、高い価値と愛着を感じるもの。
あえて20%の余白を残しておく。
そして、その余白の部分をお客様と一緒に話し合いながら、「お客様の意見」を取り入れて埋めていく。
するとお客様は「これは自分が作り上げた、自分だけのプランだ」という強い当事者意識を持つようになる。
結果として、商談の成約率が一気に上がる。
さらには、引き渡し後の満足度も劇的に高くなるのだ。
この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ
3つ目の理由は「お客様自身も、自分が本当に欲しいものが分かっていない」ということ。
とくに家づくりはお客様にとって「初めての経験」であることが多い。
初めてだからこそ、お客様の頭の中はハッキリしていない。
・何が不安なのか
・どうなれば満足なのか
・何が引っかかっているのか
それさえも、自分自身で言葉にできない。
そんなものだ。
そんなモヤモヤした状態のお客様に対して、営業スタッフから「これが完璧な正解です」と言われたところで、納得できない。
お客様本人が分かっていないことを「営業スタッフが完璧に予想する」というのは不可能なのだ。
実際、あなたも事前に必死で作った資料を見せた際「ちょっと違う感じですね」と響かなかった経験があるはず。
だからこそ、事前の準備は80%でいい。
残りの20%は商談の中で見つけていく、「受け皿(余白)」として空けておく。
売れる営業スタッフは相手の頭の中にある「モヤモヤの正体」を一緒に解決しようと考える。
提案する前に、まず相手の頭の中を確認する。
モヤモヤが晴れれば、商談が自然と良い方向へ流れる。
営業という仕事の本質を突き詰めていくと、「予測して、確認して、また予測する」といったサイクルになる。
事前の80%の準備で「おそらくこうだろう」と予測する。
実際の商談で、お客様の言葉を聴きながら「本当はどうなのか」を確認する。
その場で得た情報をもとに「こう変更するとさらに良くなりますね」と提案に反映させる。
結果を出すトップ営業は、例外なくこのサイクルを回している。
だからこそ、彼らの商談は柔軟性が高い。
お客様にとって心地よいものになるのだ。
例えば間取りであれば、主要な部分を空欄にしておき、「ここはご意見を伺いながら一緒に書き込みたいと思い、あえて空けておきました」と意見を聞く。
これだけで、お客様は「自分で作り上げている」というワクワク感を抱いてくれる。
完璧に準備した資料を作ると「どうしても納得させたい」という気持ちになる。
しかし、お客様と一緒に進めるなら、強引にならない。
これによって、お客様と一体化できる。
その結果、「営業される」 → 「一緒に良いものを作るパートナー」と変わっていく。
自分の知識やトークを完璧に武装して、お客様を論破しようとする営業は二流である。
自分の準備に固執しない。
そしてお客様の声を聴くための余白を作る。
それこそが本物のプロフェッショナル。
お客様と一緒に作り上げる楽しさを、ぜひ味わってほしい。
【本日のポイント】
・事前の準備は80%に抑え、商談に「20%の余白」を残す
・お客様自身を巻き込み、一緒にプランを作り上げることで満足度は最大化する
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