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酒好きに嬉しい研究結果。喫煙なしなら「食道がん」リスクは不変

日本人にはお酒を飲むと顔が赤くなるタイプの人が多くいます。このタイプの人は、お酒を飲み過ぎると「食道がん」になりやすいと言われてきました。しかし、どうやらそれは「喫煙」とセットになったときだけ言えることのようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、医師で糖質制限食提唱者の江部康二先生が、国立がん研究センターの研究レポートから、タバコを吸わない酒好きが安心できるデータを紹介。ただし、生活習慣病を予防する観点から、適量とされる1日の酒量についても伝えています。

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酒とタバコと食道がん。酒飲みでも喫煙なしなら食道がんのリスクはない

今回は、アルコールと食道がんのお話です。糖質制限をする人には酒飲みが多いので、耳寄りな情報かもしれませんね。日本人に多いのですが、遺伝的に、お酒を呑むとすぐに赤くなる体質があります。そしてこの体質の場合はアルコールを呑むと食道がんになりやすいというのが定説です。

アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを分解する酵素が2型アセトアルデヒド分解酵素(ALDH2)で、この酵素の働きが弱いと少しのお酒で赤くなってしまうのです。アセトアルデヒドのヒトへの発ガン性は2010年に、WHOが認定しています。

実はかくいう私も、お酒を呑むとすぐに赤くなるタイプです。まあ鍛えられたのか、かなりの量は呑めるようにはなっています。(^^)

この鍛えて呑めるようになったというのが曲者で、本来、アセトアルデヒド分解酵素が弱くて、お酒など呑まない方が良いに決まっている体質なのについつい呑んでしまうわけです。結局、アセトアルデヒド分解酵素が弱いにもかかわらず、お酒をたくさん呑む人達が日本人の食道がんの患者さんの約70%を占めているのです、ご用心、ご用心。

ところが、「捨てる神あれば拾う神あり」です。「酒飲みでも、タバコ(-)なら食道がんのリスクなし」という結論の信頼度の高い論文を発見したのです。しかも、欧米人でなくて、日本人のデータですから、鬼に金棒です。
飲酒と食道がんの発生率との関係について 多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果 | 国立がん研究センター

この研究によれば、「お酒で顔が赤くなる体質でもならない体質でも、飲酒による食道がんリスクへの影響は見られませんでした。ただし、喫煙指数20以上のヘビースモーカーでは影響が現れ、1日当たり2合以上の大量飲酒グループで顔が赤くなる体質の食道がんのリスクが、2合未満で顔が赤くならない体質に比べ3.4倍高くなっていました」げにタバコの害、恐るべしです。

喫煙の量を示す国際的な指標として、喫煙指数Pack-yearsがあります。「Pack years=(1日の喫煙本数/20本)×喫煙年数」という計算法です。すなわち「1日のタバコの箱数×年数」という意味です。1日1箱のタバコを20年間吸ったら、喫煙指数が20になります。

私は、タバコを吸ったことがないので、喫煙指数は20未満というかゼロです。ということは、結構お酒を呑んでいるけれど(1日当たり2合以上)、食道がんリスクはないという誠に有り難いご宣託ではありませんか。

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なお、今日のお話はあくまでも「食道がん」にしぼったお話ですので誤解のないように御願いします。アルコールは食道がん以外にも他のがんなどのリスクとなることも努々お忘れ無く。

また過度の飲酒は、肝障害・膵炎の発症や、糖尿病、心疾患、高血圧、胃腸への悪影響が懸念されるだけでなく、睡眠障害やうつ病といった心の問題を招くおそれもあります。

適量のアルコールという基本もあることをお忘れなく。あとは自己管理、自己責任でよろしくお願い申し上げます。

アルコールの適量

世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。1杯はアルコール10-15グラムに相当します。

米国糖尿病学会は、アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、

に相当します。

アルコールのリスク

世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、「肝臓がん、大腸がん(女性)」のリスクとなるので要注意です。

それから、過度のアルコール摂取は、肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。

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image by: Shutterstock.com

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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