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ここでも広がる日中差。中国の中流家庭が子に受けさせている「教育」とは?

今や日本を遥かに超える「教育熱」の高さで知られる中国。そんな中国にあって、我が子を東南アジアの学校に入れる中流以上の家庭が急増している事実をご存知でしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、その理由を香港有力英字紙の記事を翻訳しつつ紹介。さらにシンガポールのインターナショナルスクールで小学生に出されている極めてレベルの高い宿題を取り上げるとともに、そのような学校を経由し欧米の大学に進む意義を高く評価しています。

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東南アジアに子供を留学させる中国人

教育の国際化が進んでいます。

インターネットを使って、海外の大学の講義を無料で受けることも可能になりました。

そんな中で、中国人が自分の子供を東南アジア、マレーシアやシンガポールの学校にいれる例が増えています。

香港のサウスチャイナモーニングポスト紙10月8日の記事を参考にご紹介しましょう。

マレーシアやシンガポールの学校に子供を入学させる中国人の親が増えているのはなぜか?

 

2019年、上海に住む母親のジェニーは、教育界の苛烈な競争を生き残るために、4歳の娘ミアミャオと一緒にマレーシアに移住した。

 

クアラルンプールにあるIGBインターナショナルスクールは、世界中の高等教育機関への入学資格プログラムである国際バカロレアに焦点を当てた幼稚園から高校までの教育を行う私立学校である。

 

「自分の子供には、小学校の早い段階で極めて競争の激しいプロセスを経験させたくないのです」と、ジェニーは言う。

 

ジェニーの決断は珍しいものではない。中国の中流家庭の多くは、子どもの教育機会を求めて海外に移住している。

 

欧米の大学に子供を入学させることは、これらの親にとって究極の目標であり、中には留学先の国の市民権やそれに付随する特典まで視野に入れる人もいる。

 

そして、東南アジアには欧米の有名大学と提携しているインターナショナルスクールがあり、その夢を実現するための出発点となっている。

 

中国人学生とタイのインターナショナルスクールをつなぐエージェント、ジェンソン・チャン氏は、「私たちに相談する中国人家庭のほとんどは、欧米の大学への入学を目指しています」と語っている。

 

米国、カナダ、オーストラリアといった伝統的な国だけでなく、シンガポール、タイ、マレーシアといった近隣諸国も、子供の中等・高等教育の候補地として注目する中国人の親が増えているのです。

 

「都市に住む多くの中国人は、少なくともしばらくの間は国を離れたいと考えています」とジェニーは言う。「手頃な価格と中国に地理的に近いためにマレーシアを選んだ」と付け加えた。

 

アメリカ留学の魅力が低下している時にこの波が襲っている。

 

米国の教育機関への関心が低下しているのとは対照的に、東南アジアの留学先が中国人学生にとって有力な留学先として台頭してきた。

 

学費が安いことも決断の理由の1つに挙げられている。例えばジェニーは、マレーシアの小学校の学費は年間約11万元(220万円)で、上海で同等の教育を受ける場合の半額だと語った。

 

タイも年間4万元から8万元(80万円―160万円)とインターナショナルスクールの学費が安いため、手頃な選択肢として浮上した。

 

タイでは2006年以降、中国が留学生の主要な供給源となっており、その数は2009年の5,611人から2019年の11,993人と9年間で倍増している。この層は、タイの留学生の40%以上を占めている。

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また、高等教育の質も一因となっている。シンガポールの南洋理工大学(NTU)の教育学教授、ジェイソン・タン氏は、アジアや世界のトップクラスに位置するシンガポールの大学は、中国からの裕福な家庭にとって魅力的だと述べている。

 

ニューオリエンタルの2022年版レポートによると、海外留学を目指す回答者のうち、シンガポールへの留学を選んだ人は14%で、2015年から倍以上となった。

 

“米国の同レベルの教育費と比較した相対的な手頃さ、治安の良さ、文化的親和性、これらすべての要素が、従来の欧米の留学先に対する競争優位性をもたらした”と述べている。

 

例えば、シンガポール国立大学の学部生の年間授業料は17,600~20,600シンガポールドル(176~206万円)だが、アメリカやイギリスの一流大学では留学生に年間40,000~50,000米ドル(580~725万円)を請求することもある。

解説

裕福な中国人にとって欧米の大学へ子供を留学させる事は伝統的な夢でしたが、最近はその足掛かりとして、まず東南アジアのインターナショナルスクールに入学させるとの記事です。

呼応して例えばシンガポールでは幼稚園から12年生までのインターナショナルスクールが増えています。多くは欧米の名門校と連携しているそうです。

まさに中国人にとっては渡りに船ですが、日本人でもこのような選択肢をする人が増えてくるかもしれません。

実際、私の友人も奥さんと二人の子供がシンガポールに住んでいます。子供は二人とも小学生でインターナショナルスクールに通っていますが、その授業は日本とはまるで違うそうです。

小学3年生でも欧米ビジネススクールのケーススタディーの簡易版のような宿題がだされるそうです。その回答をインターネットで提出して、他の同級生の回答も見られるそうです。

で、自分が支持する同級生の回答を選んで、上位2~3の素晴らしい回答のどれが本当によいかのディスカッションがあったりするそうです。繰り返しますが、小学3年生の話です。

確かに国際社会で活躍できる子供が育ちそうです。それで欧米の一流大学に進学して人脈をつくれれば鬼に金棒でしょう。

今回ご紹介したのは、アジアのインターナショナルスクールから欧米の一流大学へという流れですが、インターネットを使って欧米大学の講義が無料で見られるプログラムもできています。

それに半年間ほど実際の登校をして学費を払えば、正式な学位がもらえるような学校もあります。

国際化とIT化のすすむ教育環境で、どういった人材が育つのか、育てるべきなのか、注目していきたい分野です。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』10月9日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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image by: Dr David Sing / Shutterstock.com

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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