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A group of friends cheered the beer and laughed happily on the holidays.

あの「よなよなエール」を出すビール会社のファンが異常に多い理由

「よなよなエール」や「水曜日のネコ」など、大人気のクラフトビールを製造・販売しているヤッホーブルーイング。これらのビールはコンビニでもスーパーでも取り扱いが多いので、一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。前回、ユニクロの柳井正さんの経営理念について語ったメルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では今回、著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、 そのヤッホーブルーイングが商品以外にもおこなっている「ファンを生み出す戦略」について語っています。

軽井沢のクラフトビールメーカー「ヤッホーブルーイング」に学ぶファンイベント開催戦略

お店のファンを増やすには、知恵を絞らなくてはなりません。お客様との交流イベントを開くのも、その一つです。

とはいえ、どんな内容にしたら良いか、なかなかアイデアが出てきません。そんな方のために、紹介したいイベントがあります。

ファンマーケティングで業績回復

お客様にヤッホーブルーイングの話をすることがよくあります。顧客を増やすためのマーケティング事例として格好の材料だからです。

ご存知のように、ヤッホーブルーイングは、軽井沢にあるクラフトビールメーカー。

手元には、ヤッホーブルーイングに関する書籍が2冊あります。1冊は、2016年に出された『よなよなエールがお世話になります』(東洋経済)です。よなよなエールとは、ヤッホーブルーイングが作っているクラフトビールの名前。この本には、ヤッホーブルーイングが経営で窮地に陥ったとき、メールマガジンが起死回生の役目を果たし、その後「チームビルディング」が組織の活性化に貢献したことが紹介してあります。

そして、業績を回復させるために役立ったマーケティング手法があります。それは、「ファンマーケティング」です。ヤッホーブルーイングは、2010年以来、「宴(うたげ)」というファン交流の場を設けています。これによって、「ファン顧客」を増やすことに成功し、ブランディングの向上にもつなげることができました。そのことが、もう1冊の本『ヤッホーとファンたちとの全仕事』(日経BP)に紹介されています。

そこで、あなたにも参考になるかもしれませんので、その方法を簡単にまとめてみることにしました。

40人が5,000人に 

ウイズコロナで、人々は直接会う機会が減っています。だからこそ、多くの人が、人に会って交流することの大切さが分かったことでしょう。しかし、それに気が付いている会社やお店は、コロナ以前からお客様と交流する機会を設けています。オフ会とか懇談会とかグループイベントとか、いろいろです。

ヤッホーブルーイングも、お客様と会社はもちろん、お客様同士が交流することの必要性が分かっていました。そこで、先に言いましたように、2010年から「宴」というファン交流会を始めます。最初はビアホールで行い、40人ほどの参加です。1ヶ月か2ヶ月に1回、土・日の昼間に開いていきます。開催時間は3時間。これが、見事に当たりました。ヤッホーのファンの間で評判になります。

現在は、直営のビアレストラン「よなよなワークス」で行い、80人の定員です。それでも、スペースが足りません。「宴」の参加申込は、ヤッホーの公式通販サイトからです。回を重ねるごとに、だんだん参加申込者が増えていき、すぐに定員となってしまいます。すると、数百人を超えるファンが参加できなくなるという状態にまでなってしまいました。

それを解消するために、今度は「超宴」という交流会の開催です。参加者は500人から始まります。それでも収まり切れなくて、2018年には5,000人にまで膨らんでしまいました。

スゴイですね。どうしたら、こんな人気のファン交流会に出来るのでしょう。

「宴」の運営方法

この本には、当日の運営方法が書いてあります。イベントの流れは、次のようです。

  1. 開場
  2. 開演
  3. みんなで乾杯
  4. テーブル対抗アイスブレイクタイム
  5. フリータイム
  6. よなよなウルトラクイズ
  7. 閉会

これだけを見ると、ごく普通の集まりのように感じます。それでも、ずい分と盛り上がるようですから、きっといろいろ仕掛けがあるに違いありません。本に、少しだけそのポイントが書いてあります。

たとえば、「開場」時には、奥から順番に席についてもらい、知らないファン同士になってもらうようにする。「開演」までに、テーブルに置いてある名前シールに本人の「ニックネーム」を書いて、胸に貼っておく。「乾杯」でイベントが始まったあと、テーブルごとにファンそれぞれが自己紹介をします。

まだ場はなごんでいません。そこで「アイスブレーク」が入ります。ビールに関するちょっとしたゲームをして、なごませます。ここまでが、開演から15分。皆さんすっかり打ち解けるそうです。

続いて「フリータイム」に突入。各スタッフがすべてのテーブルを回り、会話を盛り上げる役目をします。おそらく、スタッフは盛り上げるための話題やツールを事前に用意しているのではないでしょうか。その点は分かりませんが、スタッフも努力をしているはずです。ここで、ファンとスタッフ、ファン同士の距離が一気に縮まります。ここまでで90分くらい。

いよいよラストスパートの「ウルトラクイズ」。参加者全員がヤッホーや商品に関するクイズに答えます。誰もが優勝を狙って、大盛り上がりです。優勝者は、「真のよなよなエールファン」の称号が与えられます。併せて、ビールやオリジナルグッズのプレゼントです。

会は盛り上がったまま、最後の閉会へ。スタッフ全員が並んで皆さんにお礼を述べ、お見送りをして終了です。

いかがですか。これくらいの「ファン交流会」ならば、あなたにも出来るでしょう。これでお店の「ファン」が増えて、お客様が喜んでくれるなら、やらない手はありません。

ただし、こうしたイベントは、スタッフ自身が楽しんで行わないと、うまく行きません。そのためには、スタッフ全員で楽しみながら「企画」を考えることです。実は、このイベントは、さらに良いことがあります。こうした企画を皆で一緒に考えることで、スタッフ同士がまとまります。そのことが、実際のお店の運営に良い影響が及ぶのは間違いありません。さあ、今すぐ企画会議です。

■今日のツボ■

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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