コロナ禍、円安など逆境に立たされている日本経済。そこから立ち上がり成長するヒントが隠させているとメルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、意外なことに「駅伝」の話でした。
青学・原晋監督が説く、逆境力の鍛え方⇒『「挫折」というチカラ』
『「挫折」というチカラ』原晋・著 マガジンハウス
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、青山学院大学陸上競技部監督、原晋さんによる逆境力の鍛え方。
ご存知のように、青山学院大学陸上競技部は、著者が監督に就任して5年後に、33年ぶりの箱根駅伝出場、2015年に初の総合優勝、そこから2018年にかけて4連覇を果たし、2022年には大会新記録を更新して6度目の総合優勝を果たしています。
多くの選手を成長させ、成功に導いてきた著者が語る、挫折論と逆境力の鍛え方。これが面白くないわけがありません。
著者は、「挫折」と「失敗」は明確に区別すべきだと述べ、それぞれこう定義しています。
挫折:自分が精一杯に努力したにもかかわらず、コントロールできない外部の要因によって目標が達成できなかった経験のこと
失敗:現状に甘んじて行動を起こさない、あるいは何も考えず前と同じことをして、結果がでないこと
この定義からすれば、多くの日本企業は、「挫折」を恐れ、みすみす「失敗」しているのかもしれませんね。
著者は「はじめに」でこう述べています。
「挫折」を恐れる人間に挑戦はできません。それにもかかわらず、この社会には「挫折」が足りない。いや、「挫折」する機会が圧倒的に足りないのです
どうすれば、挫折を恐れず、成長や自己信頼に変えられるのか。
本書には、その秘訣が書かれています。
本文のなかから、さっそく気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
何かに真剣に向き合っている時、もっとも辛いのが「自分を信じられないこと」
本当の「挫折」を経験した人間は必ず、這い上がり、自分への信頼を厚くして次のステージへ上がります
「可愛い子には旅をさせよ」と言いますが、ここにおいての「旅」とは、未知の領域をもあえて挑戦させる、といった意味です
挫折とは「相当の努力」と「自分ではコントロールしえない外圧」、そして「未達成」の三つの要素がそろった逆境の経験
むしろ大切なのは、挫折の経験から、自分が勝てるフィールドを見つけ出すこと
成長につながる挫折を「経験」できるような選手になりなさい
本当の優秀さとは、社会を良くして、人のためとなるようなことを実行できるかどうか
また次に頑張れば良い、また次の機会を探そうと、自分の「核」を貫き通さない者に明日の未来はありません。思うようにできない、進めない中でも、覚悟を決め、挫折を経験した者だけに明日は開けるのです
整えられた情報を受け取っているだけでは、自分の「思い」が生まれにくい
努力は裏切りませんが、成果が現れるまでにはタイムラグがあります
言われたことを自分の言葉に置き換えて理解すること
人と違う努力の道筋を見つける
3カ条の行動指針
1.感動を人からもらうのではなく、感動を人に与えられる人になろう
2.今日のことは今日やろう。明日は明日やるべきことがある
3.人間の能力には大きな差はない。あるとすれば熱意の差だ
「『思い』のある努力をしなさい」
本書を読んで、なぜ日本経済が成長できないのか、その理由が精神的な部分にあるのではないかと思うようになりました。
人間が挫折から多くを学び、成長する生き物だということを考えると、この挫折に対する考え方は、成長を目指す方ならぜひ、知っておくべきでしょう。
選手たちが原監督から送られて励みになった言葉も紹介されており、こちらも心に火をつけてくれると思います。
新書サイズでさくっと読めるので、ぜひ読んでみてください。
image by: Shutterstock.com