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世界でも最低レベル。日本の「有機農業率」が韓国にすら大きく遅れをとる理由

人体や環境に優しいとされ、世界に広がりを見せている有機(オーガニック)農業。しかし日本は、そんな流れに完全に取り残されていると言っても過言ではないようです。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では著者でジャーナリストの上杉隆さんが、韓国にすら遠く及ばない、世界でも最低レベルの我が国の有機農業事情を紹介。さらに日本で農業に携わる人々が、オーガニックに拒否反応を示す理由も考察しています。

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韓国に遅れをとる日本の農業(前編)

オーガニックの時代がやってきた。

10月26日、東京中野のゼロホールで開かれたシンポジウムには、日本全国から学校関係者、自治体関係者、農業関係者ら1,200人超が集った。ホールはほぼ満員、全国からリモートでさらに2,000人近くが参加したという。

テーマは「全国オーガニック給食フォーラム」だ。呼びかけ人の中心には千葉県いすみ市の農林課の職員がいた。

一自治体一部署の活動を端緒とした「政策」が、全国規模の運動にまで発展するのは珍しい。果たして、オーガニックはどのような理由で人々の心に響いたのか?

最も大きな成果は、子ども達の給食の残食が減ったことです。2016年は年平均13.9%だったものが、2020年には9.5%まで減少しています。保護者からの評価も高く、給食の試食会の希望も多く寄せられています。小学校からは、有機農業の体験を授業に取り入れたいとの希望があり、すでに3校が、総合の学習の時間に年間をとおして有機米づくりの授業を行っています。
(いすみ市役所農林課)

いすみ市の有機米づくりはゼロからの取組みとなった。拡大のきっかけは、学校給食に使用したこと。実に生産量の約半分が地域の学校給食に使用されており、農家の所得安定にも寄与するようになった。

近年、こどもたちに安全な食べ物を、という声は世界中に広がっている。その声に後押しされるように各国政府も農業政策を進めているようだ。

オーストリアは国内に3,500万ヘクタール以上の有機農地を擁し、リヒテンシュタインは農地全体の4割以上がオーガニック農地となっている。韓国ではすでにオーガニック給食の割合が100%近くになっており、世界の有機農業従事者の半数以上がアジアで働いている。

オーガニックの世界市場も年々拡大し、国連食糧計画によれば、2021年ベースで世界のオーガニック食料品の経済規模は13兆円を超えて、成長産業のひとつになっている。

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フォーラムの賛同人のひとりでもある山田正彦元農水大臣はこう語っている。

「韓国の有機農法農家は日本の10倍くらいですが、なによりも韓国の学校給食はほぼすべてがオーガニックという現実があります。私が視察した学校では、約500人中7人しかアレルギーの生徒がいなかった。韓国では、憲法上教育の義務があるため、教育はすべて無償化。そして、給食も〈教育〉という扱いなので無償化になっています」(2022年10月21日放送『ニューズ・オプエド』)

気になるのは日本の状況だ。いったい日本の有機農業の実態はどうなっているのだろうか。

日本の有機農地の割合は全体の0.5%、正式に有機のJAS認証を取得している農地となるとわずか0.2%まで下がってしまう。当然、世界でも最低レベルだ。

世界のオーガニック食品の売り上げ推移は1999年からの約20年間で10倍にも膨らんでいる。一方、普及率の低い日本での市場規模は皆無と言っていいほど低調だ。しかし、だからこそ、そのブルーオーシャンに挑んでいる者も少なくない。

一方で、これまで農業に取り組んできた人々たちの間では、オーガニックは非効率だという神話が蔓延っている。経済効果の観点から捉える傾向も強く、それが拒否反応にもつながっているようだ。(後編に続く)

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image by: Shutterstock.com

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