闇バイトに手を染めた人々が逮捕されるニュースをよく目にするようになりました。しかし、それはあくまでも本当に起きている事件の1000分の1程度だろうと語る精神科医で作家の和田秀樹さん。今回のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』で、 警察の体質と闇バイト強盗がはびこる原因について話しています。
不真面目な警察が増やす闇バイト強盗
私の患者さんが、職場が怖いと訴えてきた。
チェーンの飲食店のようだが、その飲食店の別の店が、強盗に襲われたらしいというのだ。ネットでは、そのニュースは表に出ているらしいが、そのチェーンの本部は、これを従業員にも隠しているらしい。
それで働く人たちの不安が増幅しているのだ。
人手不足と言いながら、こういう従業員ケアをしなければなおのこと人は集まらないだろう。
安全な職場と思っていたのが、あれは危ないという話になれば、給料だって上げないと人が集まらなくなるのではないか?
とにかく、その人は怯えていたし、転職も視野にいれているようだった。
一つ考えてほしいのは、日本はすでに治安の悪い国になったということだ。
貧富の格差が大きくなると当たり前に起こる現象である。
ところが日本の警察は交通で金儲けすることにばかり熱心で、治安が悪くなったのだから、治安要員を増やそうという発想がないようだ。
実際、患者さんがストーカー被害にあっても人手不足を理由にほとんど取り合ってもらえないと訴えることもあった。
ストーカーが殺人につながるような事件が頻発していても変わらない。
車をふだん運転していると、その警察の体質が私の妄想でないことがわかる。
闇バイトの形で強盗が頻発しても、パトロールしている警察の車に出会うことはめったにない。
それなのに、一時停止違反を捕まえるために3人の警官を立たせているような交差点はいくらでもあることがわかる。
こんな国では、飲食店やコンビニの店員は安心して働けないのはよく理解できる。
この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ
ほかに働くところがないのでという、その女性の顔は暗かった。
でも、おそらくは人手不足の原因の一つになっているだろう。
昔と比べて、学生がお金がない代わりに、服などに金を使わなくなったので、命懸けで危険なバイト(昔なら当たり前の安全なバイト)をしようとする人が減っているのかもしれない。
一方で、本当に金が欲しい人は闇バイトに走るのだろう。
そして、彼ら(それ以上に彼らを操っている人たち)は警察が不真面目に、交通ばかりを取り締まって、まじめに捜査をしないから、それほど捕まらないことも知っている。捕まったニュースばかりが報じられるが、事件の100分の1どころか、1,000分の1にも満たないだろう。
「闇バイトに応募したけど、全然平気だったよ」という噂のほうが広まっているように思えてならない。
その患者さんは、襲われたら金を出していいと研修のときに言われたらしい。でも、そういうことがトレーニングしていないからとっさにできないと嘆いていた。
これだけ命懸けなのだから、もう少し時給をあげてやるという発想はできないものなのだろうか?
※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年7月1日号の一部抜粋です。
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