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糖尿病専門医が太鼓判。天然甘味料エリスリトールの嬉しい安全性

WHOが安全性に問題ないとしてきた人工甘味料アスパルテームを「発がん可能性リスト」に掲載する見通しとの報道がありました。糖質制限をする人にとって、重宝する甘味料の安全性は大きな関心事です。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、著者で糖質制限食の提唱医として知られる江部康二医師が、極めて安全とされる天然甘味料「糖アルコール」の中で唯一血糖値を上げない「エリスリトール」について言及。心配されるアレルギー性についても、多くの食材と比べた結果を紹介し、その安全性を伝えています。

エリスリトールの有用性・安全性とアレルギー性について

エリスリトールは、糖アルコールの中で唯一、血糖値を上昇させない、糖質制限OK甘味料です。

糖類の分子に水素を添加することにより、アルコール基(-OH)をもつ糖質が得られますが、これらを「糖アルコール」と言います。虫歯菌に利用されないことと、消化管で吸収されにくいので低カロリー甘味料としてよく使用されています。キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがあります。

キシリトールは野菜や果物などに、ソルビトールはプルーン、ナシ、リンゴなどに、エリスリトールは果実、花の蜜などにそれぞれ含まれています。マルチトール、ラクチトールもそれぞれ麦芽糖、乳糖を原料としています。自然界に存在するものなので、糖アルコールは合成甘味料には分類されません。

国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)は、JECFA(Joint Expert Committee on Food Additives)を設けて、甘味料など添加物の安全性評価を公表していますが、これらの糖アルコールは、極めて安全性が高いとされています。妊婦にも大丈夫です。糖アルコールの中でエリスリトールだけは、血糖値を上昇させず、カロリーもゼロです。

糖アルコールのカロリーですが、欧州連合(EU)では、エリスリトール以外のすべての糖アルコールに対し一律に2.4kcal/gという値を表示することが義務付けられているようです。

血糖値を上昇させるか否かですが、エリスリトール以外の糖アルコールは、砂糖の約半分程度血糖値を上昇させます。よく、「糖アルコールは血糖値を上昇させない」との記載がみられますが間違いです。

また、エリスリトール以外の糖アルコールは、難消化性で吸収されにくいのが特徴です。吸収されにくい分腸内に残っているので、大量に摂取すれば下痢を起こしやすいです。

エリスリトールは、糖アルコールの中で例外的に体内に9割以上吸収されますが、全く代謝されずにそのまま尿中に排泄されます。ですから厚生労働省お墨付きのゼロカロリーで、かつ全く血糖値を上昇させません。ほとんどが体内に吸収されるので、糖アルコールの中で最も下痢も起こしにくいです。従ってエリスリトールは、糖アルコールの中で唯一の糖質制限食OK食材です。

そのエリスリトールでも極めてまれにですが、アレルギーを起こすことがあります。エリスリトールを製造しているメーカー(三菱化学フーズ株式会社)がエリスリトールのアレルギー性について、取引先に配布した文書があります。とても参考になる信頼度の高い情報です。

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エリスリトールによるアレルギーの発生頻度は、百万人中1件に満たないとのことです。これは極めて低い確率です。牛乳、卵、小麦、米、大豆、ナッツ、肉、果物、魚介類…数ある食材のなかで、エリスリトールは極めてアレルギーを起こしにくい部類に入ることは間違いありません。

一方極めてまれとはいえ、エリスリトールアレルギーが出現した場合は、他の甘味料に切り替える必要があります。以下、三菱化学フーズ株式会社品質保証部の作成した取引先への文書です。http://www.mfc.co.jp/topics/pdf/20130510_2.pdfで見ることができます。

エリスリトールのアレルギー性について

 

一部報道機関において、エリスリトールのアレルギー性に関する報道がございました。本件に対する弊社の見解は、以下の通りです。

 

(1)弊社では、2000年に外部専門家に依頼し、エリスリトールのアレルギー性について調査・試験を実施し、「ごく低頻度であるが、エリスリトールはヒトにアレルギー反応を起こす」との結論を得ております。この結果は学会誌で公表し(*1)、お取引先や照会のあった方々にお伝えしております。

 

なお、多くの食品がアレルギー反応を起こすことが報告されていますが(*2)、エリスリトールによるアレルギーの発生頻度は、百万人中1件に満たないと推定されており(*1)、非常に低いレベルにあります。この数字は、卵・魚介類に比して数万分の1、大豆・ピーナッツ・小麦に比して数千分の1に相当致します。

 

(2)弊社はエリスリトールによって起こるアレルギーについて、引き続き、軽視することなく、適切な情報の提供に努めて参ります。

 

参考文献
*1)J Allergy Clin Immunol. 2001 Oct;108(4):650.Allergic reactions after ingestion of erythritol-containing foods and beverages.Yunginger JW, Jones RT, Kita H, Saito K, Hefle SL, Taylor SL.
*2)International Food Information Council,IFIC(2007)

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image by:The Image Party/Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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