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もはや老人と青年の対立。「BRICS」の急進で世界は分断されるのか

2000年代に急成長を遂げ、今後も成長が期待できる5か国を指す意味のBRICS。メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、G7を老人、BRICSを青年にたとえ、その対立とG7に所属する日本の今後を考えています。

老人G7と青年BRICS

こんにちは。

日本のマスコミの報道では、ロシアウクライナ戦争は、ウクライナが勝利するだろう、と伝えています。一方で、世界の軍事専門家はウクライナが勝利することはない、と断言していますが、こちらの意見は日本のマスコミは紹介しません。

最近、BRICSの存在感が増しています。ブリックスはG7より人口も多く、年齢も若く、成長の可能性に満ちています。そのブリックスの中核は、悪者と報じられる中国とロシアです。それでも、ブリックスに加盟したいという国は数多く存在しています。

G7という老人、BRICSという青年は、互いに分離して生きていけるのでしょう。老人と青年は互いに認め合い、相手を尊重して生きていくべきではないか、と思っています。

1.世界の分断と経済破壊

世界同時発生のパンデミックは、世界に共通のダメージを与えました。経済活動が止まったことで、売上が消え、経費と金利だけが発生しました。その結果、世界中に赤字が蔓延しました。蓄えは減り、あるいは、借金が増えました。この赤字は消えていません。

米国と中国の対立は、中国の輸出産業を崩壊させました。中国の不動産バブル崩壊は、地方政府の破綻、金融機関の破綻にも波及しています。輸出産業も不動産業も改善の見通しは立っていません。破綻させることもできないので、問題が先送りされています。

中国政府が外資企業に政治的圧力を加えた結果、多くの外資系企業が中国から撤退しました。その後、中国政府は海外企業に投資を呼びかけていますが、投資が増えることはないでしょう。

中国国内で成長していたIT産業、エンタメ産業、教育産業等にも、中国政府は規制をかけ、多くの企業が廃業、倒産し、失業者が増えました。それでも、中国政府の姿勢は変わりません。

加えて、ロシアのウクライナ侵攻は、エネルギーと食料供給を不安定にしました。そして、米国は、中国だけでなくロシアにも経済制裁を課しました。

更に、米国とサウジアラビア及び中東諸国との関係も悪化しています。

米国は、コロナ対策費等で大量のドルを発行したことと、エネルギーや食料の供給不足により、インフレが起きました。

そのインフレを防ぐために、高金利政策に転換し、一部の銀行は資金が流出し、破綻しました。今後も金融危機は続くでしょう。

全ての動きは、世界同時不況に向かっています。改善の方向には向かっていません。人々は不安になり、犯罪が増えています。これが世界各国で起きていることです。

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2.G7とBRICSの対立

世界が分断する中で、G7とBRICSの対立が明確になってきました。

特に、ロシアへの経済制裁と、米ドル基軸通貨体制の2点が課題になっています。

G7諸国は、ロシアのウクライナ侵攻は、全てロシアが悪く、ロシアの責任であると考えています。悪のロシアと、それに対抗する正義のウクライナ。我々は、正義の味方なので、ウクライナを支援するという主張です。

また、G7諸国は、ロシアを弱体化させるために、経済制裁を行うべきと提唱しています。

BRICS諸国は、ロシアへの経済制裁に賛成していません。ロシアを一方的な悪とは考えておらず、米国やNATOにも責任の一旦があると認識しています。

また、BRICS諸国の結束には、米国嫌いの感情が影響しています。米国は軍事力も経済力も強く、swiftを武器に金融も支配しています。いつ、言いがかりをつけられ、戦争に巻き込まれ、国を破壊されるか分かりません。

例えば、イラクの事例です。米国はイラクに対して、「大量破壊兵器を隠している」、と決めつけ、戦争を仕掛けました。そして、フセイン大統領は殺害されました。しかし、大量破壊兵器は見つからず、後から嘘だったことが分かりました。

平和だったイラクは破壊され、その後、地域の安定は失われ、テロ組織が跋扈するようになりました。

こうした工作を米国は世界のあちこちで行っています。米国が怖いので、米国に取り入る方法もあります。しかし、実はイラクも親米国家でした。それでも、最終的には攻撃されました。これはアフガニスタンも同様です。つまり、米国の子分になっても安全ではないのです。

そうなると、米国と対抗できる勢力と連携して、バランスを取るしかありません。米国と対抗できるのは、ロシアと中国だけです。そのロシアを攻撃することは、米国だけに依存することになります。従って、多くの国は中立を保っています。

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3.G7とBRICSのブロック経済化

米国は、ロシアの経済制裁の一環として、ルーブルをswiftから締め出しました。その直後、ルーブルは暴落しました。その翌日、ロシアはルーブルの金本位制を宣言し、ルーブルの価格は元に戻りました。

米国がロシアをswiftから締め出したことで、ロシアは原油をドルで決済することができなくなりました。そこで、ロシア産の原油はルーブルや人民元、ユーロなどで決済するようになりました。米国は自らペトラダラー体制を崩してしまったのです。

米国の金融制裁は、あらゆる国が恐れています。swiftから締め出されることは、貿易決済ができなくなり、経済に大きなダメージを受けることを意味しています。

こうした高圧的な米国に対して、世界中の国家は恐怖を感じています。しかし、ドル以外の通貨で貿易が可能ならば、swiftから外されても経済は維持できます。

ロシアは、米国の金融支配から脱するためにルーブルの金本位制を宣言しました。そして、その流れをBRICSに拡大しようとしています。BRICS諸国で「金本位制」に基づく共通の決済通貨を導入するという構想です。

ブラジルは、この構想を積極的に支持しています。ブラジルのルラ大統領は、今年4月に中国を訪問した際に、「なぜBRICSには、自らの共通通貨がないのか。なぜ世界が、必ず米ドルで取引しなければならないのか」と訴えました。

中国はブラジルにとって最大の貿易相手国で、中国メディアによると、両国間の貿易で人民元決済を始めるとしています。

このように、G7諸国とBRICS諸国は、政治面、経済面、通貨体制等で、各々がブロック化に向けて動いています。

G7諸国は、人口も減少傾向であり、高齢化が進み、経済も成熟しています。一方、BRICS諸国は、人口は増加傾向で、平均年齢も若く、経済は成長を続けています。人間に例えれば、社会的に地位の高い老人と、若くて活力にあふれた青年のイメージです。

当然、BRICSに参加したいと考える国は増えていますし、BRICSに投資したいと考える資本家も多いのです。

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4.多様性を受けいれ、平和を維持しよう

日本はG7に所属しています。しかし、日本が成長を続けるには、資源国や工業製品の生産国との連携も不可欠です。もちろん、高付加価値商品はG7市場に依存しています。

G7諸国は、問屋機能、本社機能を経済の主体としています。BRICS諸国は、原材料生産、組み立て加工を経済の主体としています。両者は補完関係であり、単独ではポテンシャルを十分に生かすことができません。

もし、G7とBRICSのブロック経済化が進むと、世界経済は減速し、双方が経済危機を迎えることになると思います。そして、新たな戦争の火種になるかもしれません。

ロシアや中国は悪い国だからやっつけろ、というのは、あまりにも子供じみた考えです。勝ち負けという戦争の発想では、問題は解決しません。最終的には核戦争と人類絶滅につながります。

多様性を受けいれ、平和を維持することこそ人類が目指すべき方向だと、強く思います。まずは、戦争を止めましょう。

編集後記「締めの都々逸」

「金持ちジジイと 貧乏青年 最後に残る 若い奴」

成功した高齢者は、次の世代を育てる責任があると思います。どんな時代も未来を創るのは若者ですから。

国家単位で考えると、G7は金持ちじいさんで、BRICSは若者。日本は結構じいさんだけど、やはり若者と付き合わなければ将来はないのではない。それなのに、岸田さんは、バイデンさんの言いなりです。本当にそれでいいのでしょうか。

勇ましく戦争を推進するのではなく、平和に向けた努力が必要だと思います。まず勝利という発想ではなく、まず平和です。(坂口昌章)

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image by: Shutterstock.com

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