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全生物の命を脅かす。温暖化による「耐え難い酷暑」が地球を滅ぼす日

今年もまた記録的な猛暑に襲われた各国。日本もその例外ではなく、11月に入っても各地で夏日となる「異常」が続いています。地球温暖化の影響であることはもはや疑う余地はありませんが、これ以上の進行を防ぐため、我々はどのような手を打つべきなのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、国連大学の『相互に関連する災害リスク』最新版で報告された「6つの自然界の変化と人間社会で生じる多数の新たなリスク」を紹介するとともに、その筆頭に挙げられている「耐え難い酷暑」が地球に及ぼす悪影響を解説。さらに温暖化対策に対する自身の思うところを記しています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

耐え難い酷暑、山火事や豪雨…空気に国境はない

国連大学環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)がメインリポート『相互に関連する災害リスク(Interconnected Disaster Risks)』の2023年版を発表しました。

今回のテーマは「人類や地球にとって取り返しのつかない壊滅的な影響を与えるティッピングポイント(臨界点)」についてです。臨界点は超えてしまうと止めようのない変化が次々と起こるため、報告書では6つの自然界の変化と人間社会で生じる多数の新たなリスクについて明らかにしています。

※ 以下、6項目

深刻化する温暖化は広範囲に影響を及ぼしてるとし、世界で年約50万人が亡くなり、人類が生存できない暑さ「耐え難い酷暑」を記録する所もあります。

昨年、Bloombergが、クウェートが急速に「人が住めない場所」となりつつあると報じ、話題になりました。2016年には気温54度を記録し、21年には初めて6月に50度を超えました。クウェート環境庁によれば、同国の一部では71-100年の間に最大4.5度も気温が上昇していたそうです。

耐え難い酷暑で、日陰や水を得ることができず多数の鳥が死亡。動物病院は熱中症や脱水症で死にそうになったところを、住民に保護され運び込まれる野良猫であふれました。

この「耐え難い酷暑」は人間の生命と健康だけでなく、野生生物をも脅かし、種の絶滅が深刻化し、生態系を危険に晒しています。

日本でも今年、最高気温30℃以上の真夏日、最高気温35℃以上の猛暑日が連日観測され、東京では7/6~9/7の64日間真夏日が続き、2004年の40日を超えて過去最長を記録。10月に入ってからも夏日を記録し、今週末も夏日が予測されるなど、異常としかいいようがありません。

また、「耐え難い酷暑」で氷河は年約270ギガトンが融解し、欧州中部やカナダ西部、南アメリカの小規模な氷河は10年以内に、淡水供給が減り始めるリスクが高まっていて、既にアンデス山脈では、地域社会が飲料用や灌漑用の水源が不安定な状況に直面しています。

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それだけではありません。山火事や豪雨といった激甚災害による経済損失は2040年までに倍増すると予測され、保険会社では保険料が爆増し、今後は保険が利用できなかったり保険料が払えなくなったりするおそれがあるとしました。

例えば豪州では、洪水のリスクが大幅に高まってるとの理由から、約52万940軒の家屋が2030年までに保険に加入できなくなる可能性が高まっているそうです。

他にも、壊れた人工衛星やロケット部品などの宇宙ごみは、1億3,000万個が地球軌道上を高速で漂っていて、衝突が連鎖すると人工衛星などが使えなくなると指摘されています。

報告書では臨界点に達しないためには、温暖化を遅らせる対策に加え、根本原因を解決する変革が必要だと警告。全体のリスクを軽減するような私たちの行動やライフスタイルへの変換。さらには、世界の人々が互いに信頼し、地球という惑星の仲間として協力しあう必要があるとしました。

…環境問題は経済問題とも密接に関わっているので、世界一致団結!の難しさはこの数十年のさまざまな環境会議の動きからも鑑みることができます。1997年の京都議定書が採択された頃に比べると…人間って本当に勝手だなぁとつくづく感じます。

イギリスのエレンマッカーサー財団が発表した報告書によると、石油消費量におけるプラスチックが占める割合は2014年が6パーセントなのに対し2050年には20パーセントまで上昇すると予想されています。

世界では脱プラの動きが加速してる一方、日本では「資源として循環させる」方向に舵を取りました。

実際、今やっている世界の取り組みでどこまで、どんな効果がでるかはわかりません。

つまるところ「温暖化」の問題は、世界が手と手をとりあうための「最良のテーマ」であり、「空気には国境はない」という共通認識のために存在してるのかもしれません。

いずれにせよ、チリも積もれば山となる。次世代のために「私の変革」を、私は去年から進めています。近況で時折書いてますけどね。

みなさまのご意見・変革、教えてください。

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image by : Saikat Paul / Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

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