スペイン領セウタで発生した大規模な不法移民の流入は、単なる移民問題としてだけではなく、外交や安全保障とも深く結びついた事例として注目されています。移民受け入れ政策や司法判断が人々の行動に与える影響に加え、周辺国との外交関係が国境管理に及ぼす影響も指摘されています。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、スペイン側とモロッコ側の双方の要因を整理しながら、この出来事の背景と欧州が抱える課題について考察します。
モロッコからの大量の不法移民発生
スペインが北部アフリカにもつ飛び地セウタに、モロッコから約6万人の不法移民が押し寄せました。
不法移民の大半がモロッコ側から地続きとなっている陸路を通ったり、海を泳いでセウタに到達したといいます。
すでに事態は収束し、大半の不法移民は自主的にモロッコに戻ったと報道されています。
なぜ、このようなことがおこったのでしょう。ニューヨークタイムズの7月31日、8月1日の記事をみてみましょう。
記事抜粋
不法移民の大量発生の原因は、現スペイン政府の移民受け入れに前向きな発言や政策が挙げられる。
サンチェス首相は移民受け入れに前向きなリベラル派として、またトランプ政権の移民に対する強硬姿勢を批判する欧州で最も著名な人物の一人としてのイメージを築いてきた。
彼は今年、スペインに不法滞在する100万人以上の移民に対し、合法的な居住権を申請することを認めた。
解説
上記のような状況に加えて、スペイン最高裁が7月8日に「海を渡って来る移民を直ちに送還できない」との判決を下したことがきっかけになりました。
それでソーシャルメディア投稿が拡散、大量の不法移民が発生したとみられます。
いわば、スペイン側の要因です。
もうひとつの理由がモロッコ川の要因です。続いて記事をみましょう。
記事抜粋
一部の移民は、モロッコ当局が彼らに国を出るよう促したと述べた。
「警察官はただ『あっちへ行け、あっちへ行け』と言い続けていた」と、26歳のユセフ・アラウィ氏は語った。
彼は、警察官たちが方向を指し示していたと述べた。彼は海上国境を泳いで越えたという。
一部のスペインの観測筋は、モロッコ当局がこの危機を利用してスペインにメッセージを送ろうとしている可能性があり、国境規制を緩和したのではないかと指摘した。
解説
スペインはアルジェリアからの天然ガス供給量を増やすための協議を進めています。
そしてモロッコとアルジェリアは長年の対立関係にあります。
モロッコはスペインにいやがらせとして、不法移民を積極的に送り出したというのです。
いわば人(不法移民)をソフトな武器として使っているのです。
このような状況は、いわゆる「極右」と報道される政党が長年にわたって、危惧していたものです。
実際のところ、こういったいわゆる「極右政党」の根本主張は、日本人ならよく理解できるものです。「極右」というレッテルをはってその主張を説明しないのです。
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