高齢夫婦や高齢の女性の家を狙った強盗が増えています。この事件から、メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』の著者である多田さんは、犯罪グループの矛先が変わってきたと話します。そして、犯罪者たちに狙われない家になるための対策も紹介。一体どうすればいいのでしょうか?
警戒心の薄れたところを狙う、組織的強盗グループによる事件が多発
9月から10月にかけて、高齢夫婦や60代女性が住む家などが、闇バイトで集められた実行犯らに押し入られて、金品を奪われています。粘着テープで縛り、深夜に複数人で押し入っていますので、同じ指示役による組織的グループの犯行とみて間違いありません。
この事件の報をうけて、私はこれまでは貴金属店などを狙ってきた犯罪グループが矛先を変えてきたと思いました。犯罪者は警戒心の薄くなったところを狙うものです。
「ルフィ」を名乗り、強盗を行った犯罪グループの指示役が逮捕されてから1年半ほどがたっています。多くの人が強盗行為への警戒心が緩んでいるところに、今回の事件が起きたといえます。
その後、8月29日に千葉県八千代市の質店に男らが押し入り、31日に中古ブランド店に押し入った男らが腕時計を奪、翌月3日にも鎌倉市の質店に強盗が入っています。9月28日には、練馬区の民家に押し入ったところに腕時計が奪われる事件もあり、今回と同じ犯罪グループの指示役とみられるとの報道がなされています。狙われた一般民家4件を含めて、全部で7件になっています。
ここから高値で取引できる高級腕時計を奪う目的が中心にあることがわかりますが、9月18日のさいたま市の家の強盗事件をきっかけに、様相が変わり一般家庭を狙い出しています。
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闇名簿のアップデート防ぎ、狙われない家になるためには
9月30日に、国分寺市の60代女性宅から、たんす預金の数百万円が奪われていますが、おそらく多額の現金が家にあることを知られたためだと思われます。
犯罪グループの手元には、住所や名前などが載る闇名簿がありますので、メルマガを読んでいる皆さんの名簿も流出していると考えて警戒することが大事になります。
それにもはや過去の防犯対策は充分に機能しなくなっています。
というのも、闇バイトで集められた人たちは捕まるリスクを考えずに、窓を破るなどして、受けた指示のままに犯行をするからです。センサーライトがついても、防犯カメラが設置されていても、狙った家には容赦なく押し入ってきます。
それだけに、狙われない家になることが重要です。
たいがい、強盗をする前には下見をして、家のどこから侵入しやすいかを考えるはずです。国分寺の事件では、勝手口のガラスを割って押し入っており、間取りなどの状況が知られていた可能性があります。
今回の強盗事件を見てもわかるのは、高齢夫婦など抵抗されづらい家を狙っています。つまり、家族状況がわかっての犯行です。また押し入ってもお金がないのでは、犯罪グループにとってメリットがありませんので、資産をもっているか否かもチェックしているはずです。この3点が知られてしまうと、強盗に遭う可能性は高まるわけです。
そのために、犯罪グループは公的職員などを名乗って情報を聞き出す電話をかけてきたり、点検業者を装っての訪問をしてくると思います。それを防ぐためにも、事前の不審な聞き出し電話や不審な訪問をブロックすることが必要です。
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