東京に昭和そのもののレトロな喫茶店は数あれど、行列のできるお店はほとんどありません。しかし、プリンを求める客で行列ができている老舗喫茶店があるのをご存じでしょうか? 無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんは、東京・西新橋にある大きなプリンが名物の昭和なレトロ喫茶店を紹介。なぜ、この店に世界中の観光客が押し寄せているのか、その理由を明かしています。
外国人が大行列!? おじいちゃんマスターが作るジャンボプリンの魅力とは?
東京都港区西新橋。
大きなビルに囲まれた路地裏にある小さなお店、「コーヒー&プリン 喫茶ヘッケルン」。
1971年創業。82歳のマスターが営んでいます。
このお店が、いま世界中の人びとに注目されています。
欧米やアジアなど、さまざまな国の人が、開店の朝9時前から行列を作っているのです。
お目当ては、「ジャンボプリン」。
通常の2.5倍の大きさだという、マスターの手づくりです。
朝5時半から仕込み、1日最大60個しか作れないそうです。
喫茶店をオープンする前は、フランス料理店で10年修行した店主なので、そのこだわりは強く、プリンと言えども全力で取り組むため、多くは作れないのです。
実は、フランス料理店を開業するための繋ぎとして、喫茶店を始めたのですが、お客さまのある言葉がキッカケとなり、そのまま喫茶店を続けることにしたのです。
ある女性客と話していた時、フランス料理店への夢を語ったところ、こう言われたそうです。
「マスター、私はここで10年もプリンを食べています。マスターが次に何をやるかはご自由です。でも、私は胸が痛みます」
この言葉に胸が熱くなり、このまま続けることを決意したのです。
マスターのプリンをここまで愛してくれる人がいたことで、一生プリンを作り続けるお店・マスターが存在しているのです。
料理人として、これほど嬉しく、感動することは滅多にありません。
この喜びを胸に、毎日毎日美味しいプリンを作り続けているのです。
その結果が、現在の大行列となっているのです。
大行列のキッカケはSNS。
マスターがプリンを型から外す時の動作を、“かっこいい”“面白い”と感じた外国人が、その映像をSNSに流したのです。
プリンを入れる器に、プリンが入った型を逆さまにのせ、片手で上下を押さえ、水平に円を描くように、クルッと回転させます。
これが、外国人にウケたのです。世界中に広まったのです。
そして、毎日のように行列が。
小さなお店が、プリン完売までつねに満席となっています。
昔ながらのやや固めの食感と濃厚なカラメルが美味しいと、お客さまみんなが大絶賛。
さらに、SNSで拡散されているのです。
ここに来たお客さまは、プリンだけではなく、一緒に注文するサイフォンコーヒーの味やサンドイッチなどにも感動します。
また、1971年創業なので、レトロ喫茶の風情も味わえます。
エンタメ性を持ちながらも、正統派の喫茶店。
愛されない理由はありません。
店主曰く、「心が交流できる場所にしたい」。
image by: Shutterstock.com