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共同通信「生稲晃子外務政務官が靖国参拝」という痛恨の誤報。日韓の間に突き刺さる“抜けない棘”

日本と韓国の関係に歯止めをかけるようなニュースが報道され、さらに「それは誤報だった」という訂正が入ったことが話題になっています。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の著者で、要支援者のための学びの場「みんなの大学校」学長である引地達也さんは自身のメルマガの中で、報道内容の「靖国神社参拝」が“日韓関係のとげ”になっているとして、この問題に切り込んでいます。

日韓に横たわる靖国神社と痛恨の誤報

日本と韓国の関係が改善している中、新潟県佐渡市の世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」での追悼式に韓国が政府代表団の派遣を見送ったニュースが伝えられた。

この追悼式は、朝鮮半島出身者を含む労働者を対象とし、金山の世界遺産としての価値と共にそこで従事して亡くなった方々の尊厳にも着目して進められただけに、残念な対応となった。

これはかつて「靖国神社を参拝した」という生稲晃子・外務政務官の追悼式出席への反発が指摘されたが、実は生稲氏は参拝しておらず、参拝した「事実」は誤報のようで、2022年8月15日に靖国神社参拝を報じた共同通信社は11月25日になって事実ではないとの記事を配信し、お詫びして訂正した。

「ニュースで世界を結ぶ」をキャッチコピーにしている共同通信の記事が、結ぶどころか日韓を分断してしまったことは痛恨の極みだろう。

共同通信は「2022年8月15日の終戦の日の靖国神社参拝に関する記事で、自民党の生稲晃子参院議員(現外務政務官)が参拝したと報じたが、生稲氏は参拝しておらず、誤った報道だった。国会議員の出入りを取材する過程で生稲氏が境内に入るのを見たとの報告があったが、本人に直接の確認取材をしないまま記事化した」と報じた。

終戦記念日に国会議員による靖国神社への参拝は、大きな日韓問題・国際問題として韓国は常に注視している。

日本の閣僚が靖国神社を参拝しているかどうかは、その閣僚の韓国に対するスタンスを知る基準ともなっている。

日韓関係が冷え込んでいた安倍政権時代には、関係回復への努力は停滞していたから、靖国神社の参拝は問題化することもなかった。

しかし、現在、関係良好の中での靖国神社参拝は大きな影響を及ぼす。

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共同通信の記事は韓国の政府に大きな影響を及ぼし、特に外交を担当する外交省では、日々の調査の中で、記事から日本の政治の動向、外交姿勢を把握している。

誤報が伝えられる前に韓国の聯合ニュースは25日、「靖国神社を参拝した人が参加し、(韓国の)遺族が参加を拒否した。半分だけの行事になった」と報じた。

聯合ニュースも報道機関として日本の政治家に関する動向を常に報じており、靖国神社は重要なイッシューである。

日韓パートナー宣言後の良好だった日韓関係を一気に瓦解させた大きな起爆剤も靖国神社だった。

小泉純一郎首相と廬武鉉大統領の間でシャトル外交として相互訪問をする最中、小泉首相が参拝したことで事態は悪化し、その後15年以上にわたり冷え込んだ関係が続いた。

この間、韓国とは文化の交流は進んだが、政治レベルでの目覚ましい発展はない、ポテンシャルから考えると不毛の時期だったといえる。

日本メディアによると、韓国外交省は25日に「訂正報道を出したと承知している」とし、「追悼式の内容が、(世界遺産登録の際の)合意水準に及ばないことが重要な考慮事項」というのが代表団不参加の理由という。

日本政府は韓国側に「慎重な検討や対応を求める要請をした」ようで、誤報というメディアの責任で事を落ち着かせ、いったんこの問題は落ち着くと思われるが、日韓の間には常に靖国神社がとげのように突き刺さったままだ。

関係が良好のこの時期に、靖国神社の問題を整理することはできないだろうか。

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image by: SHEE HENG CHONG / Shutterstock.com

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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