取材と趣味を兼ねて海外旅行に出かける機会が多い、元読売テレビアナウンサー・ジャーナリストの辛坊治郎氏。旅を終えて日本に帰国するたびに「彼らはアホの集団か?」と呆れかえっている。財務省が所管する日本の「税関」は、どれだけの税金を無駄遣いすれば気が済むのだろうか?(『辛坊治郎メールマガジン』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:辛坊治郎メールマガジン 第718号 12月20日発行「本当にアホな財務省」
空港の税関は財務省という「アホの集団」が所管している
今回もまた、日本の税関申告システムが変更になっていて驚きました。
私の知るかぎり、コロナ後で4回目の変更です。
税関の所管は財務省ですが、日本の財務省って、昔は日本で一番勉強が良くできる人が集まる官庁だったはずなのに、「このテイタラクは何だ!」と頭にきます。
私は世の中に増殖している「財務省ガ~」の人々と違って、誇りある日本国民として、「自分が使うものについての税金はしっかり払うべきだ」という立場ですが、入国のたびに「この税金の無駄使いは酷い。財務省ってアホの集団か?」と思ってしまいます。
先に結論を言うと、今世界中の国で、日本のような税関検査をしている国はありません。
もちろん、どこの国でも税関は入国者の荷物を検査する権利を持っていて、疑わしい人物の場合は徹底的に検査されます。
ところが日本ではいまだに大量の人材と、おそらく財務省傘下の企業に莫大な金額で発注したであろう巨大装置を使って、まったく無駄な検査をやり続けています。
一体この無駄な税関検査に毎年いくらつぎ込んでいるのだろう?と考えると気が遠くなりそうです。
これをやめてしまうと財務省は莫大な予算を失うから、誰もが「バカバカしい」と思っていても、入国者や帰国者にどんな迷惑をかけても、検査をやめられないんでしょうね。
政治家などの「上級国民」は、この検査自体が実質的にフリーパスでしょうから、誰も問題に気が付かないんです。酷い国になりました。
アホの考えたデジタル化で入国手続きがさらに面倒に
ちなみに今回の入国は成田でしたが、麻薬犬として可愛い小型犬が女性職員にリードを持たれて荷物の周りをチョコマカと歩き回っていました。世界中どこでも威嚇を兼ねていかにも獰猛そうなシェパードが使われるので、旅行者は怖い思いをしますが、日本では可愛い愛玩犬が迎えてくれます。こんな配慮、いりません。抑止効果も落ちます。
しかし、今回の怒りの原因は小型犬の話ではありません。
何に怒っているのかと言うと、2年ほど前に「ビジットジャパン」というスマホで使える入国システムが始まり、このシステムでパスポート番号や帰国便情報、違法なものを持っていないかどうか等の質問に答えると二次元バーコードが取得でき、これを入国時にパスポートにかざして顔写真を登録し、さらにもう一度違法なものを持っていない事について答えると、顔認証ゲートが開いて、税関吏との対面抜きに入国できるというものでした。
それまでは黄色い税関申告書の記入と税関吏の面接が必須でしたが、「2024年春以降、紙の申告書がなくなる」という話でしたので、私はこれを積極的に使ってきました。
ところが今年になっても紙の申告書は廃止されず、逆に紙に記入して税関吏のいる「免税」カウンターに並んだ方が、デジタル申告を済ませて顔認証ゲートに並ぶよりも時間が短縮できるという異常事態になったのです。
これだけで「ふざけんなよ」って感じですが、今回成田では、さらに顔認証ゲートが見当たらず、ずらりと並んだ税関吏の前に進むと、カウンター手前に二次元バーコードと同じ入力システムが置いてあり、自分で顔認証ゲートシステムを使うのと同様の入力作業をした上で税関吏にパスポートを手渡すシステムになっていたのです。
増加する一方の税関職員。アホはクビにすべき
つまり昔の黄色い紙に代わって、事前にスマホで二次元バーコードを取得して、それを目つきの悪い税関吏に見せるわけです。さらにその前にシステムにバーコードをかざす必要があります。
要するに、紙がスマホに代わって、手続きがさらに面倒になっただけです。このまったく無駄なシステムの構築にいったいいくら金をかけたのだ?と思います。
だって、税関職員の数はシステム導入前より確実に増えてますからね。
何のために、誰のために新しいデジタル税関システムを構築し、一体これにどれほどの無駄な金を使ったのか?
この無駄使いは会計検査院の調査でも絶対に「無駄」とは判定されません。会計検査院の調査って、たとえば「まったく使ってない予算がある」とか、そんな調査だからです。
このシステムを担当している財務省の幹部は間違いなくアホです。即刻クビにした方がいいでしょう。日本の公務員は「アホ」が理由ではクビにできませんけどね――(『辛坊治郎メールマガジン』2024年12月20日号「本当にアホな財務省」より抜粋、再構成)
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