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歯医者もないのにどうしてた?データで見る旧石器時代人、縄文人、弥生人の「虫歯率」

現代の私たちを悩ませる虫歯、しかし歯医者もない原始時代はどうだったのでしょうか。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者の糖尿病専門医の江部康二先生は、日本人のご先祖さまである旧石器時代人、縄文人、弥生人の虫歯に関する興味深い話を紹介しています。

旧石器時代人、縄文人、弥生人と虫歯

厚生労働省によれば、

歯の状況(20本以上の歯が残っている人の割合)

8020達成者(80歳で20本以上の歯が残っている人の割合)は平成28年度は51.2%であり、平成23年の40.2%に比べてかなり改善しています。

歯を失うとしたら、虫歯か歯周病が原因です。

私は75歳現在、虫歯も歯周病もなく歯は全部残っています。

虫歯菌も歯周病菌も、その餌は、糖質ですので、このままスーパー糖質制限食実践で、歯も歯肉も健康な状態を末長く維持したいと思います。

また糖質セイゲニストなら、厚生労働省のいう8020達成者は、ほぼ全ての人において可能と思います。

今日は日本人のご先祖に思いを馳せて、旧石器時代人、縄文人、弥生人と虫歯のお話です。

人類史と虫歯の関係がとても興味深かったので、「古病理学辞典」(藤田尚編、同成社)を読んでみました。

151ページの表1に古人骨における虫歯率の比較が載っていましたので、以下一部を抜粋します。

古人骨の調査において縄文人の虫歯率は8.2%でした。

30%を超える現代日本人や、農耕が始まった弥生時代の16.2-19.7%よりは低いです。

しかし、伝統的食生活の頃のイヌイットや、7600-3000年前のアメリカ先住民が3%未満であるのに比べると、縄文人の虫歯の多さは際だっています。

ちなみに、農耕を開始して穀物(糖質)を食べ始めて、虫歯が倍以上に増加したのは日本だけではなく、世界中で確認されています。

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虫歯菌の代表として知られているのはストレプトコッカスミュータンス菌とラクトバチラス菌ですが、いずれもその餌は糖質なので、さもありなんです。

縄文人は、「採集」「漁労」「狩猟」の三つの生業で食べ物を手に入れていました。

縄文時代というと、狩りで得た肉を主に食べていたというイメージが強いのですが、実際には植物採集の割合が高かったと考えられています。

特にクリ、クルミ、トチ、ドングリ類などの木の実は主食といえるほど食べていました。

これらには糖質が一定量含まれていますので、昔のアメリカ先住民やイヌイットよりも、虫歯率が高かったのだと考えられます。

日本の旧石器時代は、ナウマンゾウ、オオツノジカ、マンモスといった動物の狩猟が主な生業でした。

これらの肉には糖質はほとんどなく、この時代の日本人は、虫歯率はゼロだったとされています(古病理学辞典)。

ちなみに日本の旧石器時代は、最終氷期(ウルム氷期:約7万年前-約1万6千年前)と呼ばれるかなり寒かった時期で、針葉樹林に覆われた地域が多く、そこでは食料となる植物資源は極めて乏しかったのです。

暖かくなった縄文時代でも、北海道の住民には虫歯が少なく2.4%くらいでした。

これも当時の北海道の環境(青森以南に比べて寒冷)や食生活が関係していると考えられます。

北海道の縄文人は「漁労」「狩猟」の二つが主な生業で、クリやドングリなどの「採集」がなく、鹿やイノシシなどの動物、魚や海獣類を好んで食べていたようです。

このため糖質摂取が少なく、虫歯率も低かったのでしょう。

このように歴史的に考察してみると、糖質さえ摂らなければ虫歯の発生はなかったということになります。

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image by: Shutterstock.com

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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