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中国で自動車「買い替え補助金」の一時停止が相次ぐ。「予算の枯渇」と「不正の横行」で見直しか?

中国で注目を集めていた自動車買い替え補助金制度の一時停止が相次いでいるようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では、中国の補助金制度が直面する混乱の全体像と、自動車市場や制度設計に与える影響について紹介しています。

中国自動車買い替え補助金、各地で一時停止。制度設計見直しか

中国では2025年、多くの地域で自動車の買い替え補助金制度(「国補」「地補」)の一時停止が相次いでいる。

河南省の鄭州・洛陽・許昌、新疆ウイグル自治区、重慶、甘粛などがすでに補助金の受付を停止し、6月以降はさらに複数都市が追随すると見られる。

こうした停止の背景には、政府が投入した補助金資金の急速な消化、制度運用上の課題、不正申請の拡大といった構造的要因が横たわっている。

現在の補助金の概要

この補助金制度は、中央政府が約3000億元規模の超長期特別国債を原資として、全国各地に段階的に資金を配分し、老朽化した車両の買い替えを促すことを目的に設計された(「国補」) 。

これとは別に、地方政府が独自に資金をねん出、地域経済。消費喚起のための補助金も用意された(「地補」) 。

主にBEV、PHEV、REEV車両の導入を後押しするものであった。ただし、以前までに行われていたNEV補助金とは形態が全く違う。

補助対象は、旧車の廃車または譲渡証明を提出し、新車を購入した個人。

スマホアプリから各種資料や入力を行って申請、審査を経て補助金が本人名義の口座に直接振り込まれる仕組みである。

補助金予算が枯渇

しかし、制度の開始から1年ほど、補助金予算の急激な枯渇が全国で問題となり、相次ぐ「一時停止通知」が各地で発出された。

とりわけ申請件数の多い都市部では、期間中に用意された資金が、数週間で消化される事態も見られた。

たとえば重慶では、最高1.5万元の補助が用意されていたが、すでに21.5億元超の申請がなされ、財源が尽きたとされる。

不正行為が横行

さらに問題なのは、制度の“抜け道”を利用した不正行為が広がっている点である。

象徴的な例が、「ゼロkm中古車」や「バイクからの買い替え」といったパターンだ。

新車販売を装い、登録後に即中古市場へ流すケースでは、補助金だけを目的とした仮装取引が行われ、車両は実際にユーザーの手に渡らないまま流通してしまう。

電動バイクを旧車扱いにして四輪車の補助を受ける手口も、一部の地域では制度設計の甘さを突いて実行されており、制度の信頼性が問われている。

倫理観や制度設計に課題

中国では「補助金=もらえるものはもらっておけ」という考えが根強く、制度運用がスピード優先で整備されたこともあり、審査の厳格さが十分に担保されてこなかった。

部門間のデータベース連携も不十分であり、交通部門と財政部門の間で車種や使用年数などの情報が即時共有されないケースも多い。

そのため、形式上は書類が整っていれば審査が通る状況が一部に残っている。

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車販売に当然マイナス

補助金の停止は、短期的には自動車販売にブレーキをかける。

補助金がなくなれば、実質的な車両購入コストが上がるため、購買を見送る消費者が増えると予想される。

また、「また補助金が復活するかも」との期待から、傍観姿勢も広がり、需給のタイミングがずれるリスクもある。

制度見直しか

中国政府はこうした混乱を踏まえ、今後は補助金制度の再設計と管理強化に乗り出すとみられる。

制度の対象を明確化し、審査プロセスをデジタル化するほか、車両データと登録データのリアルタイム連携による不正防止が急務だ。

また、補助金支給の際には販売店との取引情報との照合や、補助金受領後一定期間の所有継続義務なども検討されている。

抜け道経済の温床

補助金制度は、正しく機能すれば消費喚起に有効なツールである。

しかし、制度と市場、文化的慣行のギャップを放置すれば、それは“抜け道経済”の温床となる。

中国における今回の事例は、制度設計における透明性と実効性の両立がいかに重要かを示す典型と言えるだろう。

自動車消費とほぼ無関係

また、どのような形になるにせよ、この補助金は中国新車購入促進にはつながったものの、個人口座に振り込まれるため、実は中国自動車産業にはほぼ関係ない。

その個人は得た補助金を、別の消費や貯蓄に回すことになり、中国自動車消費そのものはあまり恩恵を得られていない、そうした可能性が統計データから示唆されていた。

出典: https://auto.gasgoo.com/news/202506/16I70427097C108.shtml

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