世の中にあまたある詐欺や悪徳商法。その被害は虎の子の資産を騙し取られるだけではなく、場合によっては命の危険までをも招くケースもあるようです。今回のメルマガ『探偵の視点』では現役探偵の後藤啓佑さんが、人望が厚いがゆえに10億円もの資金集めに「成功」してしまった20代後半の男性の「悲しい事例」を紹介。その上で、投資を始める際に注意すべきポイントを上げています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:10億円作ってしまった男
10億円作ってしまった男
世の中には様々な才能を持った人がいます。人と仲良くなるのが得意な人、人を集めるのがうまい人、お金を稼ぐのが得意な人。
いろいろいますが、ビジネスの世界で重宝されるのは間違いなく「お金を作ってこれる人」でしょう。
何か事業を始める時、お金を作れる人はすぐに資金を使ってスタートできます。
新しい仕入れ先を見つけるにも、人員を確保するにも、新規集客を始めるにも、資金があればスムーズに進むことが多いです。
しかし、今回話すのは、資金を作れてしまったがゆえに日本にいられなくなった、そんな方の話です。
実は僕もその方と会ったことがありますし、リアルタイムで見守っていましたが、最後は非常に悲しい結末になりました。
この案件は投資詐欺の典型例。
Aさんは元消防士。別の仕事がやりたくなり、消防士を辞めてビジネスを模索する20代後半の男性でした。
彼は周囲からの人望も厚く、人を集め説得するのがとても上手な青年でした。
そんな時、彼に声がかかりました。
「AIを使って資金を増やす最先端の事業がある。投資してみないか」
彼は素直に興味を持ち、セミナーに参加し、AI投資の仕組みやテクノロジーを学びました。
そのセミナーは、マルチ商法やネズミ講のような仕組みでした。
彼はそれに気づかず、「最先端のビジネス」「みんなにとって良くなる」と信じ、友人や恩師、先輩後輩にプレゼンを始めました。
その説得力で、何百万円、時には何千万円を集めてしまいます。結果的に集めたお金は合計10億円にもなりました。
ここまで読んでいる方は想像つくと思いますが、その10億円が増えたかというともちろん増えず!ほぼ全額戻ってこない状況です。
これは典型的なポンジスキームの構造で、最初の数ヶ月だけは投資金が返ってくるため「本当に儲かっている」と勘違いしてしまいます。
そうして信頼を勝ち取り更なる投資を募る…。という流れです。
彼も最初は戻ってきたお金を見て、「これはいける!」と信じ、知人に伝えていました。
しかし数か月後、急に振込が止まります。
例えば10億円投資して毎月5,000万円戻る計算であれば、最初の3ヶ月で1億5,000万円は返ってきますが、残り8億5,000万円は回収不能に。
これが「投資に失敗した」で済めばいいのですが、問題は彼が人望が厚く、多くの人から集めることができたことでした。
この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ
返せと言われる人は数え切れず。もちろん、仲の良い人達は“自己責任”で彼を責めることはないですが、彼を信じて更に他の人たちからも集めた“マルチで言う下のほうの人”たちは「絶対儲かると言っていたじゃないか」と集めた先から重圧がのしかかります。
さらに悪いのは“下のほう”の人達が集めた先には、半グレやそっちの筋の人間もいて借金して投資した人もいました。
そういった人たちが手を引くわけもなく、取り立てが数ヶ月続き、彼の下にいる人たちが徐々に姿をくらまし始めます。結果、半グレたちは下にいる人たちと連絡が取れないので、上にいる彼にコンタクトを取り始める。
数か月後、彼は、僕を含む相談者たちとも連絡が取れなくなってしまいました。
一部情報によると、彼は日本にいないか、もしかしたらこの世にいないという話もあります。
10億円という莫大な金額を集めてしまったことで悲惨な結末を迎えてしまったわけです。
投資詐欺は10万円単位の小さな話なら勉強代で済みますが、人を巻き込む力のある人が動くと取り返しのつかない事態になることもあるのです。
彼だけでなく、こういった事例は他にも起きています。
投資は大切ですが、一番詐欺が横行しやすいジャンルでもあります。
投資する時は、投資先や金額は自分の責任で決めて周りを巻き込まない範囲で行うことが重要です!影響力のある方は、気を付けましょう!!
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