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注意すればパワハラ、黙れば悪循環。現代職場が抱える“不機嫌”の壁

近年、職場で密かに広がる“見えない圧力”として「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」が注目を集めています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんは、今こそ中高年の出番なのでは?としています。一体どういうことなのでしょうか?

不機嫌になってませんか?

「不機嫌ハラスメント=フキハラ」を目にする機会が増えてきました。

フキハラは、暴言などの直接的な攻撃よりも、ため息、舌打ち、無視、乱暴な物の扱い(ドアを強く閉めるなど)といった態度で、 不機嫌なオーラをまき散らします。

なんでもかんでもハラスメント扱いすることには、あまり賛成できませんし、誰だってイラつくことはあるし、八つ当たりしてしまうことだってあるはずです。

しかし、上司の不機嫌を恐れるあまり、緊張からミスをして悪循環に陥ってしまう人、気に入らないことがあると大きなため息をつく年上部下に、何も言うことができず自己嫌悪に陥る新米管理職。質問をしただけで「はぁ?」と蔑まれ「自分はそんなにダメな人間なのか?」と自信喪失し、周りとコミュニケーションをとれなくなってしまったり。

一方で、フキハラの多くは被害者の範囲が曖昧になりやすいため、職場の空気や雰囲気を悪化させてしまうのです。

周りの人たちは常に「怒らせないように」「機嫌を取らなければ」と過度に気を遣い、顔色をうかがうことを余儀なくされ、それがストレスとなり離職にいたるケースも少なくありません。

昔から不機嫌な人はいたけど、昔は誰かが注意できた。上司や先輩が「場を乱すな」と戒めたり、「社会人のたしなみ」を教えてくれたりもしました。ときにぶつかり、ときに怒られることで、少しづつ大人になるプロセスが会社員人生に組み込まれ、やがて「仕事で感情的になってもいいことは一つもない」ことを学んだように思います。

しかし今は不機嫌な態度を注意することで、逆に「パワハラだ」「いじめだ」と訴え返されるリスクもある。「あの人はそういう人だから」と、不機嫌さをその人の個性や性格の一部として捉えることも。

さらには、「問題を大きくしたくない」「関わりたくない」と見て見ぬふりする空気も満載です。

「昔の職場が良かった」とは一概には言えません。しかし、人が自己を認識し、成長するためには、他者からのフィードバックや関わり合いが不可欠です。

私たちは、ぶつかり、怒られ、注意される経験を通じて、初めて自分の行動が周囲に与える影響を知り、「社会人としての私」を形作ってきました。

コンプライアンスが重視される現代において、昔のような強い衝突は難しいかもしれないけれど、今こそ、中高年の出番じゃないかと思うわけです。

感情的に怒鳴るのではなく、若手や後輩、新米上司たちの「強張った羽」をあなたなら、どう休めてあげますか?

みなさんのご意見、お聞かせください。

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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