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OpenAI・NVIDIA「一強時代」は終焉? Googleの「Gemini3」が描き始めた新しい地図

ここ数週間で多くの高評価を得ている、グーグルの生成AI「Gemini 3」や「Nano Banana Pro」。10年以上前からAIに取り組んできたグーグルの底力を感じる出来となっているようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、オープンAIの登場によりずれてしまったグーグルの戦い方が本来のものに戻ったとして、オープンAIとグーグルの比較をしています。

垂直統合AIの強みがようやく発揮されたグーグル「Gemini 3」―-オープンAIとNVIDIAの一強時代は終焉か

この数週間、グーグルの生成AI「Gemini 3」「Nano Banana Pro」の評判がすこぶる良い。

実際に使ってみると、プレゼン資料を作らせたり、画像に日本語フォントを入れたりすると、実に正確に仕上げてくれるようになった。「画像に日本語を入れる」なんて1年前には謎の文字として読めるようなものではなかった、Nano Banana Proでは実に完璧に日本語フォントを使いこなしている。

ここ最近のGemini 3を見ると、グーグルの底力を感じる。

そもそもグーグルは10年以上前からAIに取り組んできており、他のIT企業をリードしてきた存在だ。

しかし、2023年オープンAIが登場し、対話型の「ChatGPT」によって、グーグルはAIの競争軸をずらした戦い方を仕掛けられてしまった。

型が違うので、どう取り組めばいいのか見えず、グーグルはしばらく苦戦を強いられた感があった。グーグルとしても主力事業である「検索連動広告」と競合するサービスであり、真っ向勝負するサービスを作るのが本当に正しいのか、試行錯誤していたように思える。

ただ、グーグルには自社で開発してきた半導体である「TPU」がある。

また、言語を扱うという点においては「Gmail」があり、画像においては「Googleフォト」、動画はもちろん「YouTube」だ。インターネット上のあらゆるデータから、これまでも学習してきた。

ユーザー接点としては「Android」がある。AIを欲しており、すぐに活用してくれる場として「WorkSpace」があるのだ。

広告事業で得た収益をAI開発に投資できる。研究開発、サービス、機能、顧客接点、半導体という点において、グーグルはあらゆるものを持っていて、収益を得ながら次の一手を打てるのが強い。

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一方でオープンAIは、まずはChatGPTを事業として収益の上げられるビジネスモデルにしていかなければならない。

膨大な設備投資を回収するだけの「課金ユーザー」を集めなくてはならない。

グーグルの場合、「無償ユーザー」に対しては企業から広告料をもらうことで事業が成りたつ。その上でWorkSpaceなどの有償ユーザーも存在する。

オープンAIは無償ユーザーのためにまずは広告事業を展開しなければならないだろうし、有料ユーザーからは相当な使用料を毎月、課金しないことには事業が成立しないのではないか。

ただ、AIがなくては仕事にならないという世界観になったとして、ユーザー一人あたりが課金するAIサービスは1つとか2つといったあたりだろう。誰もが複数のAIサービスに何万円も課金する、というのは考えにくい。

となると、万能なAIサービスがいくつかと、あとは個性の尖った、万能AIとは差別化を図ったAIサービスしか残らないのではないか。

グーグルはAndroidがあることで、世界の通信事業者とも仲が良い。Geminiを世界のデータセンターで展開するというのもやりやすいことを考えると、早晩、世界を席巻するのではないだろうか。

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image by: Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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