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北朝鮮が“ロシア特需”で荒稼ぎ。兵士派遣が生む「死の収益」という残酷な構造

ウクライナ侵攻が長期化する中、注目されているのが、ロシアと関係を深める北朝鮮の動きです。メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、著者で宮塚コリア研究所代表の宮塚利雄さんが、国際社会の制裁下にある北朝鮮が、戦争という特殊な環境をどのように経済的利益へと転換しているのかについて詳しく語っています。

死の商人顔負けの金正恩商法 ロシア特需は兵士の「死の代償」

2026年2月25日に閉会した朝鮮労働党大会で金正恩総書記は、経済分野での成果を強調し、「これまでの30余年間で最も有意義な成果だった」と語った。金正恩総書記が自慢した経済分野での成果をもたらした背景には、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの派兵や軍事物資の輸出という、まさに死の商人顔負けの金正恩流の「死の代償」販売があった。

韓国の国家安保戦略研究院のイム・スホ責任研究員が最近発表した報告書によると、北朝鮮がロシアへの派兵や軍事物資の輸出によって得た利益は、最大約144億ドル(約2兆2959億円)に達する可能性があると分析されている。この報告書でイム研究員は、「2023年8月から2025年12月までの間に、北朝鮮が派兵と軍事物資取引で得た外貨収入は約76億7000万ドル(約1兆2229億円)から144億ドル(約2兆2959億7920万円)に達する」と推計した。

この推計によると、北朝鮮は2024年10月の初回派兵をはじめ、2025年1月、同年8月、さらに9月から12月にかけて計4回にわたり、戦闘兵や工兵など2万人以上をロシアに派遣したとみられている。

イム研究員は、派兵された兵士の給与について、階級別の差等支給方式が採られた可能性が高いと分析した。それによると、指揮官(全体の2%)が月5000ドル(約79万7215円)、技術者(8%)が3500ドル(約55万8050円)、下士官(10%)が3000ドル(約47万8329円)、一般兵士(80%)が2800ドル(約44万6440円)程度と見積もっている。

さらに、戦死した兵士の補償金は、階級に応じて6000ドル(約95万6658円)から1万ドル(約159万4430円)と推計されている。こうした給与や補償金などを含め、派兵による直接収益は約6億2000万ドル(約989億6658万円)に達すると試算されている。これは言わば「死の代償金」であるが、死してなお差別される構造が浮き彫りとなっている。

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イム研究員は、現在の状況が続けば、北朝鮮は2026年度以降、派兵だけでも毎年約5億6000万ドル(約892億8808万円)の収益を得る可能性があるという。もっとも、「実際に受け取ったと確認されている対価は、推計収益の4~19.6%にとどまる可能性が高い」とも指摘している。その理由として、「衛星などで確認できる現物取引に限られているため」であり、「実際の対価の多くは衛星では確認しにくい軍事技術や精密部品、素材などの形で提供された、または今後提供される可能性が高い」と分析している。

このような「死の代償」や「殺人兵器の輸出」で得られる金額がいかほどのものであるかを判断する材料として、中朝貿易額を見てみよう。中国税関総署が発表した国・地域別の貿易統計(ドル建て)によると、中国と北朝鮮の2025年の輸出入総額は27億3487万ドル(約4300億円)で、これは2024年比で25.5%増となった。

具体的には、中国から北朝鮮への輸出は25.2%増の22億9469万ドル、輸入は6.9%増の4億4018万ドルであり、北朝鮮からの主な輸入品は「かつら」などであった。北朝鮮にとって、「貿易外収入」ともいえる「派兵(死の代償)」による外貨収入が、いかに莫大なものであるかが理解できるだろう。

宮塚コリア研究所 代表 宮塚利雄

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image by: Shutterstock.com

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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【著者】 宮塚利雄 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 5日・20日 発行予定

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