遺族厚生年金は、家族を亡くした遺族の生活を支える重要な制度です。しかし、「厚生年金に加入していれば必ず受給できるのか」「どのくらいの金額になるのか」「65歳以降はどう変わるのか」といった疑問を持つ人は少なくありません。今回のメルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』では、著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、厚生年金加入中に死亡したケースを具体例として取り上げ、遺族厚生年金の受給条件や年金額の計算方法、65歳以降の受給の仕組みまで順を追ってわかりやすく解説しています。
厚生年金加入中の死亡による遺族厚生年金の発生と年金計算
1.女性に有利な遺族厚生年金とその条件。
遺族年金といえば遺族厚生年金を思い浮かべる人は多いですが、ほとんどの人は女性が受給しています。
約600万人ほどの受給者がいますが、その9割型は女性となっています。
なぜ女性の方が多いかはやはり女性の方が長生きというのもありますが、男性が受給する時は条件がかなり厳しいからです。
昔は男性が働いて、女性が家の事を守るという考えが一般的でありました。
男性が死亡した場合は妻の生活が一気に困窮してしまいかねないという危険がありました。
そのため遺族年金は女性に手厚いものとして、そのまま終身で受給できるようにしました。
夫が亡くなった後は遺族年金で老後を過ごしてくださいねと。
遺族厚生年金は妻の老後の保障という面もあるので、妻が老齢の年金を貰う時に遺族厚生年金も一緒に受給する事ができます。
本来は昭和61年4月改正からはもう種類の違う年金は同時には貰えませんよという事になりましたが、遺族厚生年金は妻の老後保障の意味があるので例外的に同時に受給する事ができるようになっています。
さて、遺族厚生年金は妻にとってはとても重要な年金ではありますが、これは夫が亡くなった時に必ず貰えるものなんでしょうか?
死亡すれば必ず遺族厚生年金が発生するのではなく、そこには条件はあります。
一番よく使う条件は、厚生年金加入中の死亡による場合ですね。
厚生年金加入中に死亡した場合は遺族厚生年金の発生となります。
なお、厚生年金加入中というのは同時に国民年金加入中を意味するので、死亡時に18歳年度末未満の子(障害状態が2級以上の場合は20歳までを子とする)がいれば国民年金からは遺族基礎年金が発生します。
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次に死亡日の前日までの過去の保険料納付状況を見ます。
過去に保険料の未納が多い場合はその時点で遺族年金の請求が門前払いとなる事があります。
死亡日の前日において死亡日の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合は、その3分の2以上が保険料納付済みか免除期間でなければいけません。
もしそれを満たしていなければ特例として死亡日の前々月までの1年間に未納がなければそれでもいいです。
基本的には過去1年間の状況を先に見ます。
ちなみに全体の年金記録が25年以上の有効期間であれば、わざわざ上記のような保険料納付要件は見ません。
もう25年以上も払ってくれてるなら過去を見なくてもいいよねって事ですね。
次に、死亡時点で生計維持されていた遺族である事です。
生計維持されていた事というのは、簡単に言えば「死亡時に本人と住民票が一緒だった事」と、「遺族の収入が850万円未満である事、または前年所得が655.5万円未満である事」を指します。
前者を生計同一要件、後者を収入要件といいます。
この2つを満たすと生計維持されていた…となります。
最後に請求できる遺族の範囲は遺族厚生年金の場合は、配偶者と子(両者は第1順位者。しかし受給は配偶者が優先)、父母、孫、祖父母の順で最優先順位者が請求します。
上の順位者が請求者になる場合は下の順位者の権利は消滅します。
なお、同時に国民年金から遺族基礎年金が受給できる場合は、「子のある配偶者」または「子」のみとなります。
というわけで今回は厚生年金加入中の遺族厚生年金についてみていきましょう。
※注意
令和10年4月からは新規の遺族厚生年金は原則5年の有期年金になりますが、それ以前に発生した遺族厚生年金は従来の通り終身となります。
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2.夫死亡により遺族年金発生。
◯昭和38年7月4日生まれのA夫さん(令和8年は63歳)
・1度マスターしてしまうと便利!(令和8年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。
・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方(令和8年版)。
20歳になる昭和58年7月時点では海外に居住しており(日本国籍)、昭和62年6月までの48ヶ月間は国民年金には強制加入ではありませんでした。
なお、この期間はカラ期間になります(国民年金の任意加入は昭和61年4月以降可能。それ以前の海外居住者は任意加入不可でした)。
日本に帰ってきた昭和62年7月から平成8年9月までの111ヶ月間は国民年金保険料納付。
平成8年10月から令和8年5月31日死亡までの356ヶ月間は厚生年金に加入しました。
なお、平成8年10月から平成15年3月までの78ヶ月間の平均給与は42万円とし、平成15年4月から令和8年5月までの278ヶ月間の平均給与は50万円とします。
(老齢基礎年金に反映するのは令和5年6月までの321ヶ月間です)
A夫さんは令和8年5月31日に急病により死亡したのでその翌日の属する月の前月までが厚生年金期間となります。
さて、A夫さんは厚生年金加入中に死亡したので、遺族厚生年金などの遺族給付が残された遺族に支給される可能性があります。
死亡時点に残された遺族は妻(昭和40年4月3日生まれの令和8年時点で61歳)の一人で、子は全て成人でした。
死亡時点の収入は300万円でした。
また保険料納付要件は過去に未納期間がないので十分に満たしていそうですね^^
まあ全体で25年以上あるので見る必要はない。
これを見ると遺族厚生年金が妻にーーー(『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2026/07/15号より一部抜粋。続きは7月のバックナンバーをお求めください)。
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