近年、日本各地で大規模な自然災害が相次ぎ、そのたびに災害への備えや支援体制の重要性が改めて認識されています。『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、熊本大震災を通して明らかになった災害対応の課題と成果、そして「支え合う力」の大切さについて考えます。
熊本大震災が問う「支え合う力」
熊本の大震災、イオンの爆発事故、日本製紙八代工場の煙突倒壊、そして酷暑による熱中症など、胸が痛む状況が続いています。
せめてこの暑さだけでも……と思うのですが、最新の予想図を見る限り、酷暑がおさまる気配はありません。台風13号が6日には沖縄に接近するためその後の進路次第では、被災地に影響が出る可能性もあります。二次被害が出ないことを願うばかりです。
そんな中、少しだけいいニュースがありました。
今回の地震で、停電や断水などの被害を受けた91の医療施設の入院患者を、国のシステム(広域災害救急医療情報システム:EMIS)を利用し、スムーズに移送。震度7を観測した宇城市などにある4病院の入院患者だけでも、約440人に上る人たちが安心できる施設に運ばれ、中には治療により退院した人もいるそうです。
EMISは、阪神大震災で医療機関の被災状況の共有が進まず、患者の移送などに遅れが生じた教訓をもとに、翌96年に厚労省が運用をスタートしました。
リアルタイムで、ベッドの空きなどがわかる他、病院間の移送調整の支援、物資の供給などにあたる自治体の災害対策本部、災害派遣医療チーム(DMAT)も活用します。
しかしながら、医療機関に情報の入力が徹底されておらず、10年前に熊本を襲った大地震の時は近隣の病院で受け入れ先を確保できず、遠方に転院した心臓病の4歳女児が亡くなるなど、「救える命」が失われるという悲劇が起きてしまいました。
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厚労省が、「全国の病院や有床診療所について基本情報入力率」を調べた今年の3月時点でも平均で63%にとどまっていました。
そこで危機感を高めた厚労省が、情報入力を文書にて通達。その結果、4月末には、災害拠点病院は全都道府県で100%になり、全体平均も88%に上昇します。その後起きたのが、今回の熊本大地震でした。
どんなに優れたシステムも、使えるシステムにしない限り、意味がありません。自然災害は、いつ、どこで、誰の頭の上で、起こるかわからない。だからこそ徹底した備えが不可欠です。
本メルマガでは、「福祉避難所」について何度も取り上げてきましたが、今回の大地震での状況がどうだったのでしょうか? 公式な発表はまだ出ていません。
ただ、テレビのニュース番組で、車椅子の男性が「普通の避難所では無理だと自宅に戻ったが、役場の人に促されて避難所に移動した。冷房もあるし、車椅子で利用できるトイレもある。食事の提供もあるし、手伝ってくれる人もいる。とても快適でありがたい」と話していました。
「お互いに支え合う」ことが、繰り返し自然災害に襲われた熊本のみなさんの心の「当たり前」になったのかもしれません。1日も早く、断水が改善されることを願っています。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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