弾薬という「矢」が尽き、イランとの戦いを武力から経済へと切り替えたトランプ大統領。しかしこの戦術転換は、世界の勢力バランスを「可視化」する結果をもたらしかねないようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、イランへの経済制裁を打ち出した米国と中国の動きを軸に、最新の国際情勢を分析。さらに中東やウクライナの戦況、日本を取り巻く安全保障環境などを取り上げ、世界的な対立の拡大に備えて我が国が取るべき対応について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:米国のイラン経済制裁で米中の支持国が分かる
トランプは「イラン経済制裁」発動へ。賛否で判明する米中それぞれの支持国
イラン戦争で、米国は攻撃ができないので、イランへの経済制裁を行うとして、世界に同調を要請した。しかし、中国は同調しないと宣言。米中の世界での勢力分野が分かる事態になっている。今後を検討しよう。
先週、株価は460ドル下落。8月13日に米政府は、30年物国債250億ドルを利回り5.216%で売却したことで、ベッセント財務長官は、30年と10年米国債買入を20億ドルから40億ドルに11月まで増額するとした。
このことで、30年と10年米国債金利は下がるが、すぐに上昇したことで、ベッセント財務長官は、財政健全化をすると宣言したことで、金利は下がり、株価は上昇した。
金利が下がったことで、日米金利差が縮小したことで、158円前半まで円高になったが、その後は158円後半に戻している。
米国の国家債務残高は40兆ドルにもなり、4%金利だとすると、利払い費は1.6兆ドルにもなる。2020年の利払い費のほぼ3倍にもなる。
それと、米国債を中国は259億ドル、日本264億ドル、英国87億ドルも削減させている。
米国の財政拡張は限界を迎えているが、財政緊縮化はできるのかは予断を許さない。イーロン・マスク氏のDOGEを見れば、財政縮小は難しいことがわかる。
その上、イランはホルムズ海峡を封鎖し続けているので、ガソリン価格は下がらずに、インフレは続行し、ウォーシュFRB議長は利下げはできず、下手をすると利上げになる可能性もある。
この状況で、ビットコインや金価格は上昇し始めている。
このような状況で、トランプ氏の支持率は、33%と過去最低になり、8割がイラン関与長期化を予想して、不支持になっている。このままであると、中間選挙は負けることになる。一発逆転を狙うことになるとみる。
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「同盟国への攻撃」までをも口にし始めたトランプの錯乱
トランプ氏は16日、北朝鮮の金恩正総書記と友達だと言い、米朝首脳会議を望むことで、韓国の合同軍事演習を大幅に削減するよう指示した。このため、米韓合同軍事演習が短縮した。
韓国に対しては、米国の対イラン戦争に協力するよう重ねて要求したが、「いえ、結構です」と言われたことによるともいう。
このことで、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は15日、現在も形式的には戦争状態にある北朝鮮に対し、戦争を正式に終結させるための協議を提案した。
また、トランプ氏は17日、ホルムズ海峡の開放をめぐり「沿岸国オマーンが邪魔すれば徹底的に爆撃する」と述べた。同盟国を攻撃する事態になっている。イラン戦争が思いのままにならず、八つ当たりを味方陣営に向けて言い放つ事態である。
そして、8月17日に、米イランの覚書が正式に失効し、停戦合意が終了した。トランプ氏は、今後イランとの協議は「一切なし」であり、予定もしないという。
このため、イランは停戦合意文書の6項目を米国が順守しないのなら、数週間後、攻撃に出るともいう。しかし、トランプ氏はイランが再び核兵器を製造できる状態になるには時間がかかると主張し、「イランに核は持たせない」と改めて強調した。
しかし、米国防総省は、イランからのミサイル攻撃を受けるペルシャ湾地域の米軍基地を撤退する方向で真剣に検討している。イスラエルの基地に移駐することになる。
反対に、イラン軍のハタミ司令官は16日、米兵を殺害したり拘束したりした場合、一人につき最大3万ドル(約480万円)相当の報奨金を支払うと表明した。
また、イランは、トランプ氏が戦争をエスカレートさせた場合、欧州の米軍基地を攻撃することを検討しているともいう。その前に、ホルムズ海峡を封鎖する米艦隊を攻撃するともいう。ケイン参謀本部議長は、米国からの攻撃ではなく、イランから攻撃されて、その反撃することを進言したともいう。
もし、多数の戦死者が出れば、米世論は変化することになり、核攻撃も許容範囲になるとの読みのようだ。通常兵器はないので反撃には戦術核しかない。徐々に核使用が近づいている。
これを予測して、イランはNPTを脱退して核開発を行うようである。イランでの穏健派ペゼシュキアン大統領は21日、米国との紛争を巡り、イランは優位な立場にあるとし、米国との戦争終結を呼び掛けた。しかし、イラン議会の強硬派議員らは、ホルムズ海峡の再開を巡り、米国に譲歩したとしてイラン政府を批判している。
そして、石油輸出国はホルムズ海峡を通じて化石燃料を秘密裏に輸送しており、これがエネルギー価格の上昇を抑える要因の一つとなっている。アラブ首長国連邦、カタール、クウェートの石油タンカーが、数か月にわたりトランスポンダーをオフにして海峡のオーマン寄りを通過しているという。これらの動きを感知されないために、海峡を通じて輸送される石油の量を推定するのは難しい。
しかし、18日米国時間の原油先物は3週間ぶりの高値で取引を終えた。イランがより攻撃的な姿勢を取り、ホルムズ海峡の封鎖を続けると表明する一方、米国が停戦延長を否定したことが背景にある。
清算値は、北海ブレント先物は0.15ドル(0.17%)高の1バレル=91.02ドル、米WTI先物は0.44ドル(0.52%)高の84.94ドル。両指標とも7月24日以来の高値で引けた。
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中国の反対で画餅に帰すこと必至の「イラン孤立化」計画
弾薬がないので、戦争ができないことが明確化したことで、トランプ氏は、イランの孤立化を図るためイランの協力国に対し大規模な経済制裁を科す考えを示した。これに伴い、UAEはイランに対する「すべての貿易、商業交換、金融取引」を正式に停止すると発表した。
これに対して、イランは「湾岸諸国が米国との経済戦争で協力すれば、ペルシャ湾や地域からその国の石油は一滴も出荷されない」と警告した。
その上、中国は、米国のイランに対する制裁を受け入れないと発表し、「中国は国際法上の根拠のない違法な一方的な制裁に反対する」とし、「中国は軍事手段、制裁、圧力戦術が解決策ではないと信じる」とした。
この中国が制裁反対で、米国の経済制裁は、その効力を大幅に縮小することになった。イランとの貿易の中心は中国であり、その中国が協力しないのであれば、効果がない。
この動きは、米国に同調する国がどれだけあるかを知ることになる。インドネシアは中国との安全保障を協定し、スイスは中国とFTAを結び、途上国やASEAN諸国は同調しない。上海協力機構の加盟国も同調しないはず、米国の影響力のなさを知ることになるはずだ。
日本も、日豪印韓の防衛連携を強めて、日越、日比などの個別の安保協力体制を築いて、トランプ氏の気まぐれで、同盟国を裏切る事態に備える必要になっている。
台湾は、戦時体制に移行し始めた。米国の東側陣営に寄り添う姿勢に危機感を感じ、西側陣営の分裂を見て、中国が台湾に侵攻する危険性を感じていることによる。
このような状況でも、同盟国虐めは続き、トランプ氏は22日、カナダに対する50%の追加関税を発動した。これを受けて、カナダのカーニー首相は9月8日から米国製の鉄鋼や乳製品などに報復関税を発動すると発表した。カナダも中国側に追いやることになる。
イスラエルは、シリアにいるトルコ軍を攻撃する方向で準備をしている。シリアはトルコに軍事体制構築支援を依頼して、そのためにトルコ軍がシリアにいるが、イスラエルは邪魔だとトルコ軍を狙うようである。大イスラエルと大トルコの構想がぶつかり始めている。
このような状況で、UAEおよびサウジアラビア、カタール、ヨルダン、インドネシア、パキスタン、トルコ、エジプトの外相が、イスラエルのガザやヨルダン川西岸への入植計画を非難し、計画の中止や入植活動の停止を求める共同声明を出した。
中東地域の戦争拡大が懸念される。イランと湾岸諸国が協調すると、イスラエル・米国対中東諸国・中国・ロシアという構図になる。エゼキエル書の構図が完成する。
8月23日朝9時現在の状況であり、非常に早く事態が動くので、X等で事態の推移を追いかけてください。
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イギリスの「ジェット推進ドローン」を警戒するプーチン
状況は変化していない。ロシアはNATO諸国のウクライナ支援物資を止めようとしている。
中でも英国のジェット推進の長距離ドローンを使って、ロシア内を爆撃する事に危機感を感じている。ウクライナのフラミンゴ巡航ミサイルはほとんどを迎撃できるようになったようであり、あまり脅威ではないようである。
ロシアは、A-50U早期警戒機により、このフラミンゴの飛行経路を予測できることで、迎撃の成功率を上げているという。
しかし、速度が速く、飛行コースを変える英国のジェット推進ドローンは予測ができないようである。
債務量の削減と金利差の縮小が必要な日本
先週、株価は2,700円の下落。日米の金利差が縮小したことでドル円は158円後半になっている。7月消費者物価は、1.8%と低いが6月企業物価は7.1%と高いので、今後、価格転嫁が進み、消費者物価も上がることになる。
日本も米国も欧州も国家債務が増大して、金利が上昇している。
このため、金利差や債務量で通貨の交換価値が決まるが、債務量が大きい日本が一番弱いことになっている。債務量の削減と金利差の縮小が必要になっている。
10年国債金利は、3%目前であり、財務省も27年度3.8%の金利を見込み、36兆円を国債費にした。
日銀の9月利上げだけではなく、年内にもう1回の利上げも見込んでいるようにも見える。
2027年度予算の概算要求総額(一般会計)が、130兆円を超える見通しとなっている。ここから、何処まで絞り込むかである。
内閣改造は、9月中下旬で調整しているので、次の財務相が指揮を執ることになる。
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「国際的正義」を貫くための覚悟が求められる高市首相
米国が同盟国を脅すので、同盟国が米国離れを起こしている。ICCの赤根所長を米国は制裁対象にしたことで、日本も米国との距離を取る方向になる。
経済的な損得も重要だが、日本は、明治以降、国際的正義に準拠して行動してきた。それが誇りであり、日本の使命でもある。米国が国際的正義を破棄するなら、日本がそれを背負う必要がある。
第2次世界大戦で、植民地の解放を掲げたことも、その一環だったはずである。戦争には負けたが、植民地の解放はできた。ここまで来たら、日本のエゴを出さずに、国際的正義のために、しかし負けないように、日本は賢く行動しないといけない。
その準備が備わってきている。三菱重工が超微粒子を作り、レールガンを作り、残すはビーム砲しかない。
日本は世界戦争に生き残るためと、国際的正義のために、行動することになる。ICCの赤根所長を出していることも、そのためであったはずである。
高市首相は、国際的正義のために覚悟が必要であり、中国と敵対することも辞さないで台湾有事を止めることであるし、米国に戦術核兵器を使用しないことを言うべきである。
その上で、世界戦争になったら、戦争後の世界秩序を考えることである。核戦争後に生き残った人たちの行き場を考え、核兵器使用の場所の放射線除却などの多くの仕事が必要になる。
これらができるのは日本しかない。ということで日本の時代が来ている。日本への期待値も大きい。
もう、そのような状況になっていると思うしかない。世界の状況は悲劇的である。米国の同盟国裏切りにより、勢力バランスが乱れて、その乱れで、チャンスと思う国が出て、そのために、世界戦争になってしまうことになる。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2026年8月24日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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