広瀬すずがルーズソックス&ミニスカートの90年代コギャル女子高生に扮して話題を呼んだ青春映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が8月31日より公開されます。韓国の大ヒット映画『サニー 永遠の仲間たち』を基に、『モテキ』の大根仁監督と『君の名は。』の川村元気のタッグで再構築したという本作、原作の大ファンでもあるという主演の広瀬すずを、MAG2 NEWSが直撃取材してきました。
広瀬すずが90年代のコギャル女子高生に!?
90年代に一世を風靡したコギャル文化。茶髪のロングヘアに浅黒い肌、細い眉、そして女子高生たちはこぞってミニスカートにルーズソックスを履き、小室ファミリーらのJ-POPが流れる街角を闊歩していた時代。この映画はそんな90年代の日本を舞台に、仲の良かったコギャルたちの22年後の姿を、1990年代の音楽やファッションを交えて描く人間ドラマ。
広瀬が演じるのは、篠原涼子扮する40歳の主人公、奈美の高校生時代。広瀬自身が「弾けすぎて反省しています」と苦笑するほどの熱演ぶり。女優、広瀬すずの女優魂、そして6月に20歳の誕生日を迎えたばかりの彼女の意気込みが伝わるインタビューをお届けします。
「ギャルはわかるけど、コギャルの“コ”ってなんだろう(笑)」
──『ちはやふる -結び-』のときもお世話になったMAG2 NEWSです!
「あ、このインタビュー記事の写真! ネットでよく見ました! ツイッターとかで、すごくいっぱい流れてて」
──ご本人にそう言っていただけて光栄です。今回は打って変わって「90年代のコギャル」に扮してますが、いかがでしたか?
「すっごく楽しかったです。でもギャルはわかるけど、コギャルってなんだろう?って最初は思いましたけど(笑)。頭の“コ”はなんのコ?って」
──確かに(笑)。撮影に入る前にコギャルについて学ぶ勉強会があったんですよね。
「そうなんです。彼女たちがどんなことを話していて、どんなことをしていたのか具体的に聞けました。そこで思ったのは、コギャルの方々はとにかく楽しそうに見えました」
──楽しそうというと?
「今の人たちはたとえば学校がつまらないって思ったら、それをSNSに書いたり、つまらなそうなことに対しては『やめておこう』ってなると思うんですけど、コギャルの人たちって「じゃあ、自分たちで楽しくしちゃえばいいじゃん!」という発想なんです」
──劇中でも学校の先生に言われてましたね。『今の生徒は何を考えてるかわからないけど、昔のコギャルはみんな顔に書いてある』って(笑)
「そうそう。下を向くんじゃなくて上を向く考え方なんですよね。この文化がもう1回カムバックしてくれたらいいのにって思ったくらいです」
──広瀬さんらの女子高生グループからその空気はすごく伝わってきました。
「現場ではちょっとしたことでも大笑いすることが多くて、その雰囲気も映画の中で生かされていると思います。サニーのメンバーとは、何も喋らなくても全然きまずくないんです。信頼関係がすごくあって、なんとなくでも、ずっと一緒にいる、まさに仲間のようなメンバーでした」
──その中での異色といいますか、主人公の奈美の女子高生時代をどう演じようと思ったのですか?
「中途半端にやるより、この際だから弾けた芝居のほうが面白いと思って思い切りやりました。エネルギー全開で、帰りの車の中では、いつも爆睡していました(笑)。家まで起きていたことはないです」
──広瀬さん、白目むいてましたよね(笑)。お好み焼きを投げるシーンで。広瀬さんの女優魂を感じましたよ。
「監督に『左右の目玉を真ん中に寄せて』というようなことをたくさん言われながら(笑)、あのシーンは夢中になってやりました」
──あのシーンはオリジナル以上のインパクトかも(笑)
「オリジナルの韓国版は、ナミが徐々にジワジワ壊れていく感じの描き方なんですよね。私が演じる奈美の場合は、突然爆発する感じで(笑)。『うおおおおおーーーー!』って(笑)」
──どうしてまたそんなことに?
「奈美の家族のインパクトがすごいじゃないですか。あのおばあちゃんの孫だからこれぐらいやってもいいかなって(笑)。全体的にあまりに弾けすぎて、私、大丈夫かな?って心配になったぐらい。昔の奈美はもともと弾けた役なのですが、私はどうやったらこの後の大人になった奈美を演じる篠原(涼子)さんにつながるんだろう?というくらい本当に弾けてしまって。反省しています(苦笑)」
──違和感なく篠原さんにつながっていきましたよ。
「よかった(笑)」
──でも確かにお好み焼きのシーンも、あの家族にして、あの奈美の行動なんだって、話を聞いて自然と納得できました(笑)。
「奈美と家族のシーンは、全部で3シーンぐらいなんですけど、取材していただくと、みなさん、印象的なシーンで家族の話をするんですよね。みなさんの中で、それぐらいインパクトがあったってことですよね」
「監督にブスな広瀬すずを見せてほしいって言われて……」
──大根監督の演出も良かったのですか?
「お芝居の部分でのこだわりはもちろん、ダメなところははっきりダメだって言ってくださって、演出がすごくわかりやすいんです。そうすると、私の中で緊張感が生まれるし、もっと頑張ろうっていう気持ちになります」
──監督から言われて印象的だったことは?
「クランクイン前に、『ブスな広瀬すずを見せてほしい』って言われました。プロデューサーの川村元気さんにも同じようなことを言われたんですけど、周りのコギャルとは違ってモサッとした女子高生を求められているんだなって」
──自分で意識して演じた部分とかあったのですか?
「監督には、『主人公っぽくなくてごめんね』って言われたんですけど、私は自分がっていうよりはみんなが主役、という意識でいました。完成作を見ても、本当にその通りでひとりひとりが変化していって、いろんな表情を見せていました」
──完成作をご覧になって率直な感想を。
「すごく面白かったです。普段は自分のことが気になって反省ばかりですが、今回は内容的に物語の半分しか出ていないこともあって、客観的に観られました。この作品はみんなが好きになるなって思いました」
──観る人の胸を熱くさせる作品だと思います。
「私と同世代の人やもう少し下の人は、『こういう仲間がほしい』って思えるだろうし、大人の方々は『自分たちの学生時代はどうだったかな?』って劇場からの帰り道の間に一回は考えるのではないでしょうか。
──90年代がリアルタイムな学生世代でなくとも、自分のことを振り返りますね。
「誰にとっても、共感できる瞬間が必ずある作品だと思います。90年代の音楽も本当に楽しくて、気分があがるので、ぜひ楽しんでもらいたいです」
PLAYLISTS
「SWEET 19 BLUES」 安室奈美恵/「Don’t wanna cry」 安室奈美恵/「強い気持ち・強い愛」 小沢健二/Don’t wanna cry 安室奈美恵/「LA・LA・LA LOVE SONG」 久保田利伸/「CANDY GIRL」 hitomi/「survival dAnce ~no no cry more~」 trf/「EZ DO DANCE」 trf/「そばかす」 JUDY AND MARY/「これが私の生きる道」 PUFFY/「やさしい気持ち」 Chara/「ぼくたちの失敗」 森田童子
──広瀬さんには“サニー”のような仲間はいますか?
「小学生のときのバスケ部の友達です。今はたまにしか会えないんですけど、時間は関係ないぐらい仲がよくて、私にとって大切な存在です。これからもずっと続くと思います」
──6月には20歳の誕生日を迎えましたが、これからどんな役を演じていきたいですか?
「20歳になったし、大人っぽい役も演じていきたいです。急に大人っぽすぎる役を演じるのは難しいかもしれないけれど。年齢とともに、どんどん女子高校生役が合わなくなっていく気がしていて(笑)」
──制服はもう難しい感覚ですか?
「そう感じてきています(笑)」
──いやいや、まだまだお似合いです。
「本当ですか? 嬉しいです(笑)。現役の女子高生には敵いませんが、オファーをいただけたら頑張って着こなしたいと思います!」
インタビュー・文/杉嶋未来
撮影/能美潤一郎
広瀬すず(HIROSE SUZU)
1998年6月19日、静岡県生まれ。2012年雑誌「Seventeen」のオーディションでミスセブンティーンに選ばれ、専属モデルとしてデビュー。13年ドラマ「幽かな彼女」で女優デビュー後、同年公開の映画『謝罪の王様』で映画初出演。15年放送のドラマ「学校のカイダン」では初主演を務めた。『海街diary』(15)での演技が高く評価され、数々の映画賞で新人賞を受賞。ほか主な出演作に、『バケモノの子』(15)、『四月は君の嘘』『怒り』(16)、『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』、『三度目の殺人』、『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(17)、ドラマ「anone」『ラプラスの魔女』(18)などがある。
information
8月31日(金)より全国公開
監督・脚本: 大根仁
出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生、三浦春馬、リリー・フランキー、板谷由夏ほか
音楽:小室哲哉
配給:東宝
(C) 2018「SUNNY」製作委員会
ヘアメイク:牧田健史
スタイリスト:丸山晃