熊本地震、14日で3年半=心のケア、続く模索=被災の子ども「支援長期に」

2019.10.14
0
by 時事通信

益城中央小学校で行われている心のケアの取り組み。肩に置かれた手で人のぬくもりを感じ、安心感を得る=1日、熊本県益城町

益城中央小学校で行われている心のケアの取り組み。肩に置かれた手で人のぬくもりを感じ、安心感を得る=1日、熊本県益城町

 の前震から14日で3年半。心に傷を負い、落ち着きがなくなって学習に集中できない子どもが依然としている。県教育委員会は児童生徒が震災体験と向き合うことで自己回復力を養う長期的な取り組みを進めているが、ケアが必要な子どもは今も新たに現れ、教育現場は模索が続く。
 震度7に2度見舞われた益城町の町立益城中央小学校。地震から3年の今年4月、3、4年の児童4人が家庭や学校で突然泣きだすなどの症状を示した。
 子どもの心のケアのため、県と熊本市は専門家と協力し自己回復力を高めるプログラム作成を進め、心と体の観察調査も年3回行っている。県内公立校の17万人以上を対象とする調査で、2016年5月の初回時にケアが必要とされたのは4277人。19年5月調査でも1882人が該当、うち半数の952人は新たに必要と判断された子どもだった。



 県教委に助言する兵庫県立大大学院の冨永良喜教授(臨床心理学)は、回復過程では子どもが安心感を得られた後に体験を分かち合うなど、段階的なケアが必要だとする。
 今年7月上旬、町立益城中学校2年7組で生徒が被災体験を分かち合う授業が初めて行われた。緊張をほぐす体操や深呼吸をした後、5、6人の班に分かれ、自宅の倒壊などつらかった体験を話す。その上で「クラス写真の笑顔に救われた」「兄とサイクリングに行った」といった心の支えになった出来事を共有した。
 益城中央小でも深呼吸や人の手のぬくもりを感じ安心を得る方法などを週1回行っている。しかし川瀬さゆり養護教諭(32)は、今年4月の事例から「本校ではまだ授業で地震を語らせるのは怖い」と話す。
 阪神大震災や東日本大震災では、サイレンを聞いて当時を思い出し過呼吸で倒れるなど、4~5年後になって心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したケースも報告されている。冨永教授は「PTSDを発症させないよう、子どもが自分のペースでトラウマと向き合う必要がある。長期的なサポートが必要だ」と話している。(2019/10/14-08:09)

print

人気のオススメ記事