「客遠のく」「仕方ない」 広がる不安と戸惑い―新型肺炎で国内観光地

2020.01.25
0
by 時事通信

多くの人でにぎわう札幌市内=24日午後

多くの人でにぎわう札幌市内=24日午後

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、国内各地の観光地には不安感が広がっている。中国で春節(旧正月)の連休が始まり、多くの訪問客が見込まれる中、「日本人の客足が遠のく」などと戸惑う声も上がる。
 中国から年間30万人以上の観光客が訪れる札幌市。「二条市場」は、鮮魚店や水産会社が立ち並ぶ人気スポットだ。佐々木一夫理事長(69)は、混雑の中での感染リスクの高まりを懸念するが、「店を閉めるわけにいかない。仕方がない」と話した。
 来店客の約7割が中国人だという市内の薬局では、マスクや除菌剤の品薄状態が続く。従業員の健康を考慮し、接客時のマスク着用を認めたといい、担当者は「多くの人に商品を供給したい」と気を引き締める。


観光客らでにぎわう「錦市場」=24日午後、京都市中京区

観光客らでにぎわう「錦市場」=24日午後、京都市中京区

 千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートにも、中国など海外から多くの人が訪れる。5歳の娘と来園した東京都世田谷区の40代主婦は、連日の報道に不安を募らせており、「目の前でくしゃみをされるとドキッとする」と話した。
 近くのJR舞浜駅周辺の飲食店で働く千葉市の男子大学生(20)も「接客中はマスクができない。仕方ないが怖い」と語った。
 外国人に人気がある京都市中京区の「錦市場」。京野菜や鮮魚などを扱う120以上の店舗が所狭しと軒を連ねる。京都錦市場商店街振興組合の担当者は「(加盟店舗からの)危機感は正直、伝わってこない。様子見だ」と楽観的に構える。
 場内の店舗には、マスクの着用や手洗いの励行などインフルエンザと同じ感染症対策を呼び掛けている。状況の推移を慎重に見極める方針で、「日本人の客足が遠のく可能性があるのは少し心配」と話した。(2020/01/25-13:01)

print

人気のオススメ記事