ゴーン前会長逃亡、トルコで初公判 実態解明に期待―関与の7人

2020.07.03
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by 時事通信

日産自動車のカルロス・ゴーン前会長=1月8日、ベイルート(EPA時事)

日産自動車のカルロス・ゴーン前会長=1月8日、ベイルート(EPA時事)

 【イスタンブール時事】トルコ・イスタンブールの裁判所で3日、日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を日本からトルコ経由でレバノンへ密航させた罪で起訴されたトルコ人7人の初公判が開かれた。被告は有罪が確定すれば、最高で禁錮8年の実刑が下される見通し。公判を通じて逃亡の実態解明が進むことが期待されるが、トルコ検察は黒幕とみられるレバノン人実業家らの身柄を確保しておらず、どこまで真相に迫れるかは不透明だ。
 起訴状によると、昨年末の逃亡に使われたプライベートジェット(PJ)を手配した運航会社元幹部のオカン・キョセメン被告やPJ操縦士ら5人がゴーン前会長を密航させた罪、客室乗務員2人が密航を知りながら通報しなかった罪に問われた。
 7人の中で中心的な役割を果たしたキョセメン被告の銀行個人口座には逃亡事件前、合計で約3300万円相当のユーロと米ドルの不審な入金記録が残されており、これが逃亡に協力した謝礼だった可能性がある。
 キョセメン被告は公判で「金銭的な利益のためにやったことではない」と述べ、無罪を訴えた。入金については以前のフライトの謝礼金だと主張した。
 キョセメン被告は検察に対し、レバノン人実業家のニコラス・メザロス容疑者の依頼でPJを手配したと説明し、「ゴーン前会長が乗っているとは当初認識しておらず、知った後は協力を拒まないようメザロス容疑者に脅された」と主張。「自分も事件の被害者だ」と訴えている。トルコ検察はメザロス容疑者が逃亡を手引きしたとみてレバノン当局に捜査を要請した。
 メザロス容疑者は、音響機器の箱にゴーン前会長を潜ませて日本から密出国させた元米軍特殊部隊員マイケル・テイラー容疑者らに対し、逃亡への協力を事前に要請していたという。テイラー容疑者については東京地検が逮捕状を取り、米国で身柄を拘束された。(2020/07/03-20:48)

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