自動車学校教習にAI 指導員負担軽減へ、全国初―福岡

2020.10.21
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by 時事通信


走行経路や速度を測定する装置が搭載された教習車(ミナミホールディングス提供)

走行経路や速度を測定する装置が搭載された教習車(ミナミホールディングス提供)

  • 運転者の視線や顔の向きを把握するカメラと、改善点の動画を表示するタブレット(ミナミホールディングス提供)

 福岡県大野城市にある自動車学校が、人工知能(AI)を活用した運転指導を試験的に始めた。走行した経路や速度、ドライバーの目線などをAIが解析し、運転技術を評価する。自動車学校が運転技術評価にAIシステムを導入するのは全国で初めて。高齢者向け講習の増加が見込まれる中、指導員の負担軽減や評価基準の適正化を狙う。
 システムを導入したのは、同市のミナミホールディングス(HD)が運営する南福岡自動車学校。自動運転システム開発会社のティアフォー(東京都品川区)やブレインフォー(名古屋市)と共同開発し、10月から運用を開始。当面は営業車を持つ企業向けの講習で使用する。
 教習車のルーフには、光を照射して周囲と車との距離を計測する装置を設置し、ドライバーが走行した経路や速度、車線変更のタイミングを測定する。車内にはカメラを設置し、顔の動きや目線を把握。これらのデータを解析して、AIが運転技術の評価を算出する。運転終了後には、車内のタブレットに改善点の動画が表示される。
 開発の背景には高齢者ドライバー講習の需要増がある。70歳以上のドライバーは30年前と比べ約10倍の1130万人に増えており、2022年には免許更新時、一部の高齢ドライバーへの運転技能検査が導入される。一方、全国の指定自動車学校はこの10年間に100校近く閉校しており、今後の指導員の負担増が懸念されている。
 このためミナミHDは、22年を目標に新規免許取得向けの講習にもAIシステムを導入したい考えだ。運転技術の評価はAIが担い、指導員は教習生の性格に合ったアドバイスなど「人間にしかできない仕事に集中することができる」(同社)という。江上喜朗社長は「人とAI、二つがあって新しい価値が生まれる」と、今後の展開に期待を示している。(2020/10/21-07:09)

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