再建の動き、本格化 寄付50億円超える―防火、管理体制に課題・首里城火災1年

2020.10.31
0
by 時事通信


有料で一般公開している焼失後の首里城正殿付近。「見せる復興」を掲げ、工事の様子も見せながら進めていく=30日、那覇市

有料で一般公開している焼失後の首里城正殿付近。「見せる復興」を掲げ、工事の様子も見せながら進めていく=30日、那覇市

  • 有料で一般公開している首里城正殿付近。「見せる復興」を掲げており、工事の様子も見せながら進めていく=30日、那覇市

 那覇市の首里城が炎上し、正殿などが焼失してから、31日で1年。復旧のための寄付金はこれまでに50億円を超え、内閣府や沖縄県による復元計画が本格的に始動している。一方、出火原因は不明のままで、管理責任があいまいな状態は解消されていない。
 火災は昨年10月31日未明に発生。正殿から出火し、木造の正殿とコンクリート造りの北殿、南殿などに燃え移り、建物と門の計7棟を焼いた。
 復元計画では2026年の正殿完成を見込む。木材調達に向けた調査や基本設計が進められており、22年に着工の見通しだ。計画を主導する内閣府の沖縄総合事務局は、復元を段階的に公開しながら進める「見せる復興」を掲げている。
 再建に掛かる費用は、来年以降に概算される予定。1992年に完了した前回の正殿復元工事には約73億円を要した。県内外から寄せられている寄付は、柱や梁(はり)などに使う木材や赤瓦の調達、屋内外の装飾物の復元費用などに充てる。
 課題は防火対策だ。焼失前の首里城正殿にはスプリンクラー整備の法的義務はなく、焼失した正殿にも設置されていなかった。出火や延焼の原因などを調査する県の第三者委員会は、夜間の火災を想定した警備員らの訓練の不足などが初期消火の遅れにつながったと指摘。再発防止には最新の防火設備に加え、管理側の体制確保が重要とした。
 火災当時の首里城の管理は、9カ月前に所有者の国から県に移管されたばかりだった。県は設備面や管理の体制を国からそのまま引き継ぎ、運営を「沖縄美ら島財団」に委託していた。現在もこうした状況に変化はなく、責任の所在は依然不明確だ。
 県警や消防は出火原因を特定できず、事件性はないとされた。県は、第三者委が今年度末にまとめる最終報告を踏まえ、国や財団とも連携して具体的な再発防止策を検討していく方針だ。(2020/10/31-07:32)

print

人気のオススメ記事