日中韓首脳会議、年内見送り 「徴用工」溝埋まらず

2020.12.05
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by 時事通信

 日中韓3カ国による首脳会議は、年内開催が見送られる見通しとなった。持ち回りの議長国を務める韓国は年内開催に意欲を示していたが、韓国人元徴用工訴訟をめぐる日本との協議で溝が埋まらず、調整は難航。韓国政府は早期開催を目指して働き掛けを続ける構えだが、展望は開けていない。
 韓国最高裁は2018年の判決で日本企業に元徴用工への賠償を命令。これに当時の安倍政権が「国交正常化の基礎が崩れる」と猛反発。韓国側が差し押さえた被告企業の資産を売却すれば「深刻な事態を招く」と警告してきた。
 関係筋によると、韓国側は首相の就任後、原告への賠償を韓国政府が肩代わりする案などを非公式に打診。先月来日した朴智元・国家情報院長は菅首相に「日韓首脳共同宣言」を提案し、文在寅大統領との政治決着を促した。
 しかし、不信感を強める日本側は「まず韓国側が判決を修正するなど原状回復する必要がある」(政府関係者)との立場を譲らなかった。共同宣言案についても「具体的な提案はなかった」(官房長官)と突き放した。
 対面での日韓首脳会談は、中国・成都で日中韓首脳会議に併せて行った昨年12月が最後。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、1年近く実現していない。
 韓国外務省は3日、日中韓首脳会議に関し「速やかな開催」へ協議を続けるとのコメントを発表したが、「年内開催」には触れなかった。日本外務省幹部は「今は首相が韓国へ行く状況にない」と語った。(2020/12/05-14:26)

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