「安全経費、削減しないで」 遺族がコロナ影響懸念―軽井沢バス事故から5年・長野

2021.01.15
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by 時事通信


スキーツアーバス転落事故の発生から5年を迎え、献花する遺族の大谷慶彦さん=15日午後、長野県軽井沢町

スキーツアーバス転落事故の発生から5年を迎え、献花する遺族の大谷慶彦さん=15日午後、長野県軽井沢町

 長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡、26人が重軽傷を負ったスキーツアーバス転落事故は15日、発生から5年を迎えた。遺族らは現場近くに建てられた「祈りの碑」に手を合わせ、犠牲者の冥福を祈った。
 亡くなった大谷陸人さん=当時(19)=の父親、慶彦さん(55)は献花後、「事故がなければ、息子と普通の人生を歩んでいたのではないか」と話した。バス業界に対しては、コロナ禍で経営が厳しくなっても「安全に関する経費は削減しないでほしい」と訴えた。
 事故では、バス運行会社「イーエスピー」(東京)の高橋美作社長(59)らが2017年に業務上過失致死傷容疑で書類送検されたが、長野地検は刑事処分を決めていない。
 犠牲となった田原寛さん=当時(19)=の父親で、遺族でつくる「1.15サクラソウの会」代表の田原義則さん(55)は「5年たっても責任が明確化されていないのは、つらく、耐え難い」と指摘。教え子4人を失った尾木直樹法政大名誉教授(74)も献花に訪れ、「多くの命を奪ったことに対する責任を取るのは当たり前だ」と強調した。
 現場を訪れた赤羽一嘉国土交通相は「安全第一、最優先の自動車行政、交通行政が貫けるよう取り組みたい」と話した。
 事故は16年1月15日未明に発生。乗客の大学生13人と乗員2人が死亡し、26人が負傷した。県警は同容疑で高橋社長と元運行管理者を、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で死亡した運転手を書類送検し、長野地検が捜査を続けている。(2021/01/15-20:28)

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