野党から東京五輪中止・延期論 菅首相「準備進める」

2021.01.21
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by 時事通信

 新型コロナウイルス感染拡大が止まらず、東京五輪・パラリンピックの中止や延期を求める声が野党党首から相次いでいる。日本維新の会代表の松井一郎大阪市長が延期論を唱えたのに続き、21日の衆院代表質問では、共産党の委員長がコロナ対応に集中すべきだとして五輪中止を迫った。首相は「準備をしっかりと進めていく」と予定通り開催する姿勢を崩さなかった。
 志位氏は衆院本会議で「首相は一体何を根拠に夏の五輪開催が可能だと言うのか」と疑問視。ワクチン接種による「集団免疫」を今年中に実現するのは困難とする世界保健機関(WHO)主任科学者の見解を取り上げ、「五輪は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中すべきだ」と訴えた。
 国民民主党の代表も21日、首相が日本人へのワクチン接種に明確な展望を示せていないとして「開催は難しい状況になってきていると言わざるを得ない」と指摘。「きょうの答弁姿勢を見て、五輪はやる気がない、諦めたのかなと感じた」と記者団に述べた。
 立憲民主党の代表は20日の衆院代表質問で、五輪開催が望ましいとしながらも「感染拡大が収まらない以上、希望的観測だけで走るのは無責任だ」と述べ、「万一の事態」に備えるべきだと主張した。
 首相と良好な関係にある松井氏も20日、大阪市役所で記者団に、ワクチン接種を夏までに終えるのは「不可能」として、2024年への五輪延期を提唱。「楽しみが先延ばしになったと捉えればいい」と語った。
 7日の緊急事態宣言から2週間。感染状況に改善は見られず、五輪の在り方は今後の国会論戦でも焦点になりそうだ。聖火リレーが始まる3月25日が開催の可否を判断するめどとみられているが、政府関係者は「(仮に)聖火リレーをやらなくても五輪はできる。競技が減ったとしても五輪は行うと思う」と予防線を張った。(2021/01/21-20:33)

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