自民に補正予算編成論 緊急事態対応、衆院選も意識

2021.04.21
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by 時事通信


閣議に臨む菅義偉首相(中央)ら=20日、首相官邸

閣議に臨む菅義偉首相(中央)ら=20日、首相官邸

 新型コロナウイルスに関する3回目の緊急事態宣言に備え、自民党内で20日、2021年度補正予算編成論が浮上した。宣言が出されれば経済への打撃は避けられないとみて、新たな支援策を講じて国民生活を下支えするのが狙いだ。秋までに行われる衆院選をにらみ、アピール材料をつくる思惑もちらつく。
 幹事長は20日の記者会見で、補正予算案を今国会で成立させる可能性を問われ「あらゆる選択肢を否定しない」と表明した。この後、官房長官は会見で「現時点で補正予算の編成を検討しているわけではないが、適切な対応を図っていきたい」と語った。
 3月に成立した21年度予算は一般会計総額106兆6097億円と過去最大。機動的に使えるコロナ対策予備費5兆円も盛り込んでいる。財政規律を重視する財務省内では「当面、補正予算を組む必要はない」(関係者)との声が強い。
 それでも自民党から補正を求める声が上がるのは、3回目の宣言となれば疲弊する中小事業者などに致命的なダメージを与えかねないとの懸念が強まっているためだ。実際、大阪府は幅広い業種への休業要請を検討しており、政府内にも「新たな協力金が必要」(関係者)との声がある。
 衆院議員の任期が満了する10月21日まで残り半年。補正編成論について自民党関係者は「衆院解散が近づいているという意識も当然ある」と解説する。自民党幹部は「会期延長もあり得る」と語り、6月16日までの今国会会期を補正処理のため延長する選択肢に言及した。
 野党からも同調する声が出ている。立憲民主党の幹事長は会見で、21年度予算に問題があるとした上で、補正編成について「100%否定はしない」と述べた。国民民主党の代表は「現役世代に一律10万円を給付すべきだ。補正編成に着手すべきだ」と話した。(2021/04/21-07:09)

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