金ラッシュ、追い風期待 祝意ツイート連発、感染拡大懸念も―菅首相

2021.07.27
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by 時事通信


東京五輪柔道男子60キロ級で金メダルを獲得した高藤直寿選手と電話で話す菅義偉首相=25日、首相公邸(代表撮影)

東京五輪柔道男子60キロ級で金メダルを獲得した高藤直寿選手と電話で話す菅義偉首相=25日、首相公邸(代表撮影)

 東京五輪で日本人選手の金メダル獲得が相次ぎ、首相がその都度ツイッターで祝意を投稿している。報道各社の世論調査で内閣支持率が過去最低水準に沈み込む中、日本勢の活躍を政権の追い風につなげたいとの思惑がにじむ。ただ、新型コロナウイルス感染拡大は止まらず、27日は東京都の新規感染者が過去最多の2848人に上った。五輪が政権運営にどういう影響を与えるかは予断を許さない。
 首相は、日本勢初の金メダルを獲得した柔道男子60キロ級の高藤直寿選手に25日に電話で祝意を直接伝え、その様子をツイッターを通じて公開した。その後も日本人が金メダルを獲得するたびにツイッターを更新。27日は柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手に「けがを乗り越えて、見事な金メダル獲得、おめでとうございます」と書き込んだ。
 コロナ禍での五輪開催には批判的な世論が多かったが、政権はメダルラッシュで国民の五輪祝福ムードが高まることを期待。「雰囲気がいい」(自民党幹部)、「政権に追い風になればいい」(官邸幹部)など歓迎する声が広がる。
 自民党の閣僚経験者からも「内閣支持率が好転すれば衆院選も早くやってほしい。(首相には)パラリンピック(8月24日~9月5日)の最中に『終わったら衆院を解散する』と言ってほしいくらいだ」との声も上がる。
 一方、別の自民党幹部は「大会は盛り上がるが政権には何も影響しない」と冷静だ。「五輪を政治利用している」との批判を受けかねないことや、コロナ感染が深刻化していることがある。政府関係者は「五輪開催で感染が広がったということは今の時点ではない」と強調するが、感染拡大が医療逼迫(ひっぱく)を招けば、政権への打撃は避けられない。
 このため、首相は五輪応援とともにコロナ対策にも引き続き全力を挙げる。首相は27日、記者団に「強い警戒感を持って感染防止に当たっていく」と表明。国民に対し「不要不急の外出は避け、五輪はテレビなどで観戦してほしい」と呼び掛けた。(2021/07/27-21:42)

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